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小此木啓吾・河合隼雄「フロイトとユング」一言感想文

フロイトの精神分析の第一人者である小此木啓吾(おこのぎけいご)と、ユング心理学の第一人者である河合隼雄(かわいはやお)の対談集。フロイトの精神分析とユング心理学とは対照的に論じられるし、その精神分析としてのアプローチも違い、分析家の立場も異なるとされる。日本におけるその両者の黎明期を作り上げた二人の対談なのだから、おもしろくないわけがない。当然両派閥の違いを語り合うのはもちろん、両者に共通する日本における精神分析の課題にも話は及ぶ。特に印象的だったのが、日本人の女性原理と父性原理の話である。日本は女性原理が強いとされるが、時にそれは誤解されるという。その真意と、日本に必要な父性原理についての意見の交換は、現代日本においても全く変わっていないテーマのように思えた。フロイトとユングはもちろん、クラインやラカンについても勉強した上で、また振り返りたい対談である。

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