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芸術と政治、価値と無価値、嘘と真実、想像とポストトゥルースの時代。

芸術家と言われる人。

主に古いタイプの画家や写真家、その他アヴァンギャルド、いわゆる前衛的な事を行おうとするジャンルでは資本主義への批判を行う事がかっこいい、のような風潮がありそういった場ですらなぜかお金とって自らの公演を行っていたり、作品を売っていたりと

「なんで金じゃないとか言いながら金とってんだ 笑 」

となるような事が良くあります。

色々な広告媒体において、書かれているこうした情報、行為。
そこで見る事ができる実際行われている手の込んだ個展、素晴らしい芸術家の絵や写真、映像等、案内されこの作品はこうで、こうで、こうでと説明受けた後に見る「値札」。
それらを見ると頭の中がはてなで埋まってしまう訳です。

こういった商売と芸術の非共存的な関係と実際に行われている事の矛盾。

いわゆるこれらは地域で行われる催し物な訳ですが、そうした場所からでも感じ取れるこの矛盾は、どことなく今の政治や政権、政府による統計隠しやアメリカ大統領のフェイクニュース断定や、もう少しさかのぼるとBrexitや2016年の大統領選挙と繋がっている気がしています。

現代はポストトゥルースの時代、Brexitやアメリカ大統領選挙での話などフェイクニュースや事実よりも、より多様な解釈のできる「真実」に比重が置かれる時代と言われています。

簡単にいうと嘘でも言っとけば、どこかには真実として捉えられる場所があるからいいよね、そのまま行こうぜ、と進んでいく時代。

また、芸術の歴史をたどるとルネサンスであれ、ロマン主義、バロックであれどの時代も、芸術家たちが表わしてきた事は、その世相や時代を表していると言えると思います。

こうした芸術家たちのこの言動不一致さと政治等の言動不一致さはまさにそうした世相、嘘でも言っておけば真実になるポストトゥルースを体現しているのじゃないかと感じています。

お金の話に対する拒否反応、もしくは経済の話をするだけで金の亡者だと批判し出すその極端な様等その批判が実際はどこへ向いているのか、、

金銭の歴史を見てみると、最古は紀元前1000年前の殷王朝の貝殻による貨幣だったそうです。
物々交換ではやはり自分の交換したいものと交換できないので貝殻を使い自分の思うものと交換する道具として使い始めました。

貝殻に価値を付ける、という行為をし始めた訳です。

思えばこの物に対する価値付けは、人間が嘘をつく能力があるからこそ行われるのではないでしょうか。
そこに在るように見せかける嘘を物質に対し付き、貝殻まじすごいじゃん、という価値付けから貝殻のようなその辺に転がっているものに価値が付加され、それの価値あるものなら麦とか米なら変えてもいいぜ、となる。

価値とはあるようでないもの、すなわち嘘ではないか、、

そして、その嘘という能力が貨幣を生み出したのではないか。

また芸術というもの、古くからある物とすると例えば絵画というものは、元々は神様の世界、人間のあると信じた物を想像に置いて実際に存在するようにタブローやキャンバスと言ったものに物に焼き付ける行為だったと言えます。
西洋においてはキリスト教などの宗教画は実際に見ていなかったとしてもそこにあると認識させられるほど素晴らしい物がたくさんあります。

いうなれば、これは人間の想像力、実際にそこには見えないのにあると信じる力、言い換えると嘘という能力において芸術と貨幣の創造がなされていると言えると思います。

人間に嘘をつく能力がある事が、政治を作り、芸術を作り、経済を作り社会を作り続けてきているのでは、、という仮説が行き着くのは哲学者イマニュエル・カントが著書「純粋理性批判」で挙げた「物自体」という概念でもあります。

「わたしたちが直感する事物は<現象であって>、わたしたちがそのように直感している事物そのものではない。わたしたちが直感する事物の間の関係は、わたしたちにはそのように現れるとしても、<事物において存在している>関係そのものではない・・・対象そのものがどのようなものであるか、またそれがわたしたちの感性のこれらのすべての受容性と切り離された場合にどのような状態でありうるかについては、わたしたちはまったく知るところがない」

これの何が言いたいかというと我々はその物事態を見る事ができない、という前提です。
モノがあるように認識してても、そのモノ自体は実際見えないよね、という話。

貝殻の貨幣で言うと、貝殻自体なんて見えてないんだから、これは貝殻であって貝殻じゃないんだな、これはとやった結果が貨幣とも言えます。
神自体なんて見えないんだから素晴らしい神ならこうに違いない、とやった結果が絵画などの芸術になる。
政治でいうならこれはこうだ、と言えばうそでも本当になる。

まとめるとすると、物自体が見えないのに嘘とはなにか、という話になる。

なにを信じ、なにを信じざるべきか、、

資本主義と社会主義、物の交換システムである経済と情念を物化する芸術の矛盾とアンバランスさ、感情、信念の複雑な絡み合い、、

人間社会というのは本当に面白いものです。



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