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エンジニアの未経験転職を希望する方へ未経験転職した経験から伝えたいこと

GMOペパボ CTO室 鹿児島エンジニアリングチームの よしこ @yoshikouki_ です。

この記事は、「🎅GMOペパボエンジニア Advent Calendar 2022」の1日目の記事です。アドカレが始まりました!実は会場が2つあるので、よかったら🎄GMOペパボエンジニア Advent Calendar 2022の方もチェックしてみてください。
明日はやんまー @yammerjp さんの「JSON processor」の話です!乞うご期待

この記事は、「自社サービスを運営している企業のソフトウェアエンジニアへ未経験転職したい人」へ送る私のエッセイです。

私が、自社サービスを運営している企業のソフトウェアエンジニア (以降、単に「エンジニア」と記します) へ未経験転職してから本日でちょうど2年半が経過します。その中で、採用活動や人材育成・コミュニティ活動などを経験し、またTwitterなどを通じて同じように未経験転職をしたい方からの相談を少なからず受けてきました。その経験から見えてくるものがありましたので、言語化したいと思います。


伝えたいことまとめ

  • 未経験転職はポテンシャル採用なので、自身のポテンシャルを適切に伝えることで採用の可能性を上げられる

  • エンジニアは勉強し続ける仕事であるので、独学を身につけられない人には茨の道になる。なお、独学する習慣は身につければいい。

  • どのように自身のポテンシャルを認識して採用担当者へと伝えるのか

  • 「どこまで勉強して求人活動したら良いか」などの良くある質問に答える


注意事項

この記事で、「企業は」や「採用担当者は」のように企業や採用担当者を代弁するかのような表現を使っておりますが、「Webサービスを運営しているかつ私が見知りしてきた企業のいくつかは」くらいの意味で使っております。採用基準が企業によって異なることは自明ですし、私がどこかの企業の代弁者になるつもりもありません。

記事の内容は、できるだけ公正な内容を心がけたつもりですが、私個人の見解であることを踏まえながら読み捨てていただければ幸いです。
(なお、私が従事しているGMOペパボ株式会社の意見を代弁しているわけでもありません)



未経験転職はポテンシャル採用

まず、自明でありつつ前提であり重要なため改めて明文化しますが、未経験の方の採用はポテンシャル採用です (エンジニアに関わらず)。採用担当者が未経験の方の採用を判断する基準の一つに、その方が入社後も継続的に成長してパフォーマンスを発揮してくれそうか、というところがあります。

少なくとも、入社後も成長しなさそうな未経験の方を採用する企業は極めて限られる (よほど喫緊かつ深刻な事情がない限り) と考えられるので、逆説的に「企業は、入社後も継続的に成長できる人材を求めている」と言えます。またこの主張は、直感的にも確からしいことが理解できると思います。

そのため、未経験の方の求職活動では、採用担当者に対して、自身の成長に関するポテンシャルを適切に伝えられることが必要です。



エンジニアは勉強し続ける仕事

厳しいようで当たり前のことですが、他の職種と同様にエンジニアにも向き不向きがあります。不向きな特性は一つではないと思いますが、その中でも特に、独学を身につけられない方にとってのエンジニアという職業は茨の道であろうと私は考えています。

企業が継続的に成長する人材を求めている理由にも繋がりますが、エンジニアは勉強し続けなければならない職業であり、その範囲も広範囲に渡ります。エンジニアに求められる技能は、roadmap.sh が体系的にまとまっていて参考になります。

2022/11/30 時点のバックエンドのロードマップ。このスクショで全体の1/4くらい


エンジニアに求められる技能が広範囲であることに加えて、これらは日々変化・拡大して行きます。一度獲得した技能であっても、このような変化によってアンラーニング (学び直し) が必要です。

技能の研鑽を積み続けられることは、エンジニアに限らず他の職種でも同様に必要ではありますが、エンジニアはその中でも特に重要であると考えています。私個人の感覚では「食いつなぐために勉強しなければならない」という感じです (逆に言うと、勉強しなかったら近い将来エンジニアという職を失うだろうと感じています)。


とはいうものの、もし未経験転職を希望する方が、現時点で独学する習慣がなくとも過度に悲観しなくて良いです。なぜなら、独学はこれから身につければ良いからです。実際、私もエンジニアになる前は今ほど自己研鑽に時間を使うような人間ではありませんでした。

勉強していく内に楽しくなっちゃって、徐々にのめり込んでいく感覚が近いです。作るのって楽しい!

私はエンジニアには4つの志向がある (技術志向・マネジメント志向・プロダクト志向・その他) と考えており、どのように自己研鑽を積むかは、この志向によって変えた方が良いと考えています。長くなるのでこの話はまた別の折に。(私が書いた過去の記事なので4つの志向について言及できていませんが、参考までに置いておきます)



どのように自身のポテンシャルを認識して採用担当者へと伝えるのか

エンジニアは継続的に成長できる必要があり、企業もそのポテンシャルがある方を求めていることは分かりました。では、未経験転職を希望する方は、どのようにして自身のポテンシャルを企業 (採用担当者) へ伝えられるでしょうか。私は3つのステップがあると考えています。

  1. 自身のポテンシャルを認知し、適切に言語化する

  2. 言語化したものを、適切かつ効率的な形で伝える

  3. 自身の主張が論理的に通っているかを今一度確認する


1. 自身のポテンシャルを認知し、適切に言語化する

認知と言語化などと言っていますが、言うは易く行うは難しです。おそらく、ここが最も大変であり最も重要です。


自身のポテンシャルを認知するために、他者の考え方は参考になります。たとえば、弊社 (GMOペパボ株式会社) CTO のあんちぽさん @kentaro が良く引用している能力 x 動機 x 価値観の軸で考えてみると、よく整理できるのでオススメです。

(この資料では、価値観こそが大事と語られており、私もそれに共感しています。ご一読いただけると得られるものがあると思います)


この3軸の考え方の他にも、自身が有する人間の「変わりにくい」部分を認知・言語化できると、他者からも一定の評価を得られそうだと考えます。


「自分にはここに該当するものがない」という方は、深掘りが足りないです。自身で短所だと思っていたものが視点を変えたら長所だった、などは典型の例ですね。家族や友人、同僚などの力も借りて長い時間をかけてでも見つけていってください。必ずあります。


2.言語化したものを、適切かつ効率的な形で伝える

言語化した次は、求職の応募資料やGitHub・SNSなどで企業 (採用担当者) へ伝えなければなりません。

個人的にオススメなのは、GitHub などで一般に公開しておくことです。求職応募時には GitHub アカウントの URL を参考資料として提出したらいいですし、転職サービスや SNS などに載せておけば、そこを見てスカウトしてくれるパターンがあります。

心理的なハードルが高いかも知れませんが、未経験からエンジニアへ転職しようとしているハードルに比べたら低いもんです。個人情報や機密情報などの出回って困るものには留意して、実践することをオススメします。

私が出会った中では、これが上手にできている人は未経験転職を難なく実現している印象があります。逆に、情報がまとまっていなかったり GitHub が未整備だったりすると「自身の何をアピールしたいんだろう?」という感じで苦戦している印象です。


3. 自身の主張が論理的に通っているかを今一度確認する

言語化と伝える用意ができたら、「私は入社後も継続的に成長できる人材です」という主張が通っているか、今一度確認しましょう。数日おいてから見返したり、信頼できる誰かに見せてフィードバックをもらうなどすると良さそうです。



良くある質問に答える

さて、私がエンジニアの未経験転職において前提であり重要であると感じていた「継続的に成長できる人材であるポテンシャルをしっかり主張する」という話ができたので、このエッセイで伝えたいことは大方済みました。

ここからは、これまで私が受けた相談の中で多かった質問を4つピックアップして回答したいと思います。
(本編ではない追加情報で、長いです)

  1. 何を勉強したら良いか

  2. 何をポートフォリオとして作ったら良いか

  3. どこまで勉強してから求職活動したら良いか

  4. 転職先の企業はどこにしたらいいか。またどのように情報収集したら良いか


何を勉強したら良いか

回答を書いていたら超大作になりかけたので、別記事にします🙏

雑に紹介すると、希望する企業や作りたいものによって全く異なります、という前提は置きつつ、以下の教材・スクールは優秀だと考えています。

独学する方

Progate の「スライド検索」

Rails チュートリアル Web アプリケーション

MDN フロントエンド

スクールに通われる方

フィヨルドブートキャンプ


この記事は、とてもよくまとまっており主張に共感するところも多かったです。よかったら参考にしてみてください。


ポートフォリオの一つとして何を作ったら良いか

自身の作りたいもの、興味が沸く方向のものを作りましょう。求職活動の主題だけで考えると、ポートフォリオの目的は、作成者の人となりを採用担当者に適切に伝えることで、採用したくなるように仕向けることです。であれば、自身の人となりが伝わりやすい作品を作るのが良いと思います。「どうしてこれを作ろうと思ったんですか?」と思わせることができると狙い通りです。

また、ポートフォリオをまとめる際に以下の項目を載せるとより多彩な情報が伝わりますので、チェックリストとしてお使いください

  1. 作品の概要と特徴

  2. どうしてその作品を作ったのか。背景や思いなど

  3. 採用した技術。加えてその技術を採用した理由 (これが書けると個人的にポイント高い!)

  4. 開発中に困ったこと。また、それをどのように解決したのか

  5. 作品の今後の予定 (妄想でもいいので、こうなると良いなーなどの姿)


もしポートフォリオとして提出するのが GitHub で、かつ作品が複数ある場合は、プロフィールの README をカスタマイズして作品を一覧としてまとめたり、特に見てほしいリポジトリは Pinned するのがオススメです。

※ 採用担当者が自身の GitHub ページの細部まで見渡してくれると思わないでください。「これを見てくれ!」と自らアピールしましょう。


どこまで勉強してから求職活動したら良いか

結論、継続して成長できる人材だと主張できる準備が整ったら、求職活動を始めていいのではないでしょうか。とはいえ、これだけでは漠然としているためチェックリストを提示します。

  • ポートフォリオは提示できるか

  • ポートフォリオの中に自分で一から作ったものはあるか

    • 完成している必要はない

  • ポートフォリオを通じて、自身の人となりが他者から見えるような作りになっているか

    • これができるかできないかで、主に書類選考の通過率が大きく変わる印象がある

    • この下の項目にある価値観とも重複するが、ポートフォリオを通じて伝えることは大切なので別で切り出している

  • 自身の価値観・能力・動機が主張できているか。また、他者から見て主張が確からしいと判断できる内容になっているか

  • 転職希望先の企業分析が済んでいるか

  • 転職希望先の文化に即した主張ができているか

  • 採用担当者から見て、自分の主張が伝わりそうか、また主張が採用したくなる内容になっているかを総合的にふりかえる

    • 採用担当者は、限られた情報から採用を判断しなければなりません。加えて、情報収集の時間も限られています。

    • それを踏まえて、採用担当者が効率的に情報収集できるかを今一度ふりかえります


転職先の企業はどこにしたらいいか。またどのように情報収集したら良いか

企業形態には、自社サービスの運営企業・SIer・SESなどがあり、取り扱う業界や規模感・働き方など大きく変わります。なので、どこの企業や企業形態がオススメかという質問の回答は難しいです。私は Web サービスの運営会社に入ることができてとても良かった経験があり、またその企業形態しか経験がありません。なので「自社サービスの運営企業は良いよ〜」という主張にはなりますが、他の企業形態が悪いとも思いません。


企業の情報収集を始める前に、企業に求めることと自身の譲れない条件を洗い出し、優先順位を付けてみると良いです。未経験転職の場合は特にそうですが、多くのことを望んでも叶わないケースが多いと思います。とはいえ「自社サービスの運営企業という条件だけは捨てられない」などの判断基準があると、選びやすくなります。

それを踏まえた上で、私が企業選びするときにやることを例示します。

  • 企業の事業内容、業界、収益構造がどのようになっているか

    • サラリーマンの給与は、従事する職種や仕事よりも属する業界や企業によって大きく変化するため。未経験転職の文脈とは異なるが、ここは外せない

  • 研修会・カンファレンスなどを積極的に開催・参加している企業か

  • 企業のオウンドメディアはあるか。あるなら、その内容は開放的かどうか

    • たとえば評価制度や報酬制度、その内訳などを開示しているか

  • openwork などの口コミはどうか。公開されている情報などと相違がないか

  • カジュアル面談を実施して、印象と違う点がないか

言うまでもありませんが、これだけが正解ではありません。参考程度にしてください。



まとめ

さて、「自社サービスを運営している企業のソフトウェアエンジニアへ未経験転職したい人」へ送るエッセイということで、私の思いの丈を述べてきました。

  • 未経験転職はポテンシャル採用なので、自身のポテンシャルを適切に伝えることで採用の可能性を上げられる

  • エンジニアは勉強し続ける仕事であるので、独学を身につけられない人には茨の道になる。なお、独学する習慣は身につければいい。

  • どのように自身のポテンシャルを認識して採用担当者へと伝えるのか

  • 「どこまで勉強して求人活動したら良いか」などの良くある質問に答える


私事ですが、エンジニアになってから2年半、「仕事って楽しいんだな」と感じるようになって人生が好転しました。少なくとも私の性には合っているのだと思います。そのような成功体験があるため、仲間を増やしたい気持ちで、今回のエッセイを書きました。

少しでも参考になったら嬉しいです!


「🎅GMOペパボエンジニア Advent Calendar 2022」の2日目はやんまー @yammerjp さんの「JSON processor」の話です!乞うご期待!!!


関連リンク

未経験転職した際の経験談や学習法について、私が投稿してきたリンクをまとめておきます。見ていただけるととても嬉しいです

未経験転職するまでの体験記


未経験転職するまでの学習法について


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