ウェブ2.0の科学コミュニケーション
すっかり「ウェブ2.0」という言葉は耳にしなくなった。そもそもこの言葉が流行り出したのは、2005年頃のようだ。もう20年近く前になる。ウェブ2.0については、以下の記事などを参照されたい。
最近では、「ウェブ3.0」という言葉も耳にする。
さて、2005年という時期は日本で「科学コミュニケーション」が広がり出した時期とも重なる。
今回のnote記事では、いくつかの文献を参照しつつ、ウェブ2.0と科学コミュニケーションについて考えたことをメモしておきたい。
ウェブ2.0では「知の集積」や「集合知」がキーワードとして語られる。それらと同じく注目すべきキーワードに「Consumer Generated Media:CGM」がある。このCGMは、
と説明される。では、そのCGMの存在は何をどのように変えたのだろうか。
ウェブ2.0時代では、マスメディアや一部のウェブサイトを通した一方向的(あるいは欠如モデル的な)な情報伝達の存在感が弱まり、一人ひとりは発信者としても振る舞うことが可能となり、双方向的な情報のやり取りの存在感が相対的に強まっている。このような状況が、科学コミュニケーションに対しても強い影響を与えている。
とはいえ、マスメディア経由の情報伝達は未だに力強いし、ネットメディアやCGMといったものだけに頼ることにも危険性はある。それらは現在のところ、「相補的な関係」であると言えよう。以下のウェブページにおいては、「表現力やディベート能力の向上のためにもWeb2.0の有効活用が必要だと考える」やマスメディアとCGMの関係について「現在は相補的な関係も見られるのも事実」と述べられている。
ウェブ2.0が取り沙汰されて久しい2022年現在において、メディアの進化は、科学コミュニケーションをどう進化させたのか、分析が必要かもしれない。それにしても、ウェブ2.0と科学コミュニケーションの両者が広がり出した時期に、いち早く論考を発表している本間・石村両氏の嗅覚には脱帽である。
最後に、石村源生氏が科学技術コミュニケーションに関する示唆に富む文章を記しているので、それを引用し、今回のnote記事を締めたい。
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