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『リーチ先生』(原田マハ 著 集英社文庫 2019)読書感想文

タイトルにもある「リーチ先生」こと、バーナード・リーチはイギリス人の陶芸家だ。若き日は東京に居を構え、創作活動に勤しんだ。柳宗悦や濱田庄司らとの親交も深かった。

本書は沖亀乃介・沖高市という陶工親子とリーチとの交流を描いた美術史小説である。主人公である沖親子はフィクションらしいが、リーチはもちろん、柳宗悦や濱田庄司といった実在の人物も多数登場する。

本書のメインは若き日の沖亀乃介(カメちゃん)の視点で描かれたリーチの半生である。亀乃介はひょんなことからリーチの弟子となり、彼と共に陶芸家としての人生を歩んでいく。リーチと彼を取り巻く柳や濱田たちの親交からは、彼らの陶芸や芸術に対する情熱を感じることができる。

また、亀乃介の葛藤やリーチとの関係性も瑞瑞しく描かれており、読者を「カメちゃん」と「リーチ先生」の物語へと没入させてくれる。

憧れ、葛藤、友情、情熱、創造、挑戦。。。そういったことを若き陶芸家たちの半生を通して考えさせてくれる作品だった。もし僕に小説を書く能力があるのであれば「こんな作品を書いてみたい」とも感じた。

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