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「お金」の本質を考えてみる。暗号資産やトークンはなぜ不安定なのか

人生に必要なものって、何でしょうか?

ぼくは、「自分と自分を取り巻く人たちの健康」「信頼できるパートナー」「生活に必要なお金」の3つだと考えています。

健康は、自分だけの問題ではありません。妻や子どもが病気だったらと想像してみれば、わかりますよね。信頼できるパートナーは家族・友人・恋人ほか、いろんなケースがあるでしょう。ぼくの場合、会社の重要な部分を任せられるほど信頼できる仕事のパートナーがいるおかげで、こうやって海外で生活することができています。

この2つを得るには、縁や運なんかもかかわってくるでしょう。

ただ、「生活に必要なお金」だけは、自分の力で得ることができます。

今回は、そんなお金の本質について考えてみます。暗号資産に関するぼくの考えや、開発期間などの関係で実現できなかった『TEKKON』の課金アイデアの一部も、明かしちゃいますよ。

お金は水や酸素と同じ。ないと生きていけないもの

お金があるだけでは、人は幸せにはなれません。

一方で、水や空気と同じで、「ない」と生きていけません。生きるためのツールとして、必要なんですね。お金があることで回避できる不幸もたくさんあります。

ただ、昔に比べて物価や年金のバランスが悪くなっていて、真面目に働いているだけでは十分なお金を得るのは難しい時代になりました。だからぼくは、YouTubeで資産の増やし方やお金に対する考え方を発信しています。

理想の資産の増やし方は「配当株」

ぼくはWeb3のゲームにおいて、「Play to earn(遊んで稼ぐ)」の「Play(遊ぶ)」に主眼を置いています。「ゲームで楽しく遊んでいたら、自然とお金も貯まっていた」、そんな世界をつくりたいからです。

ただ、Web3.0の現在地と「安心してお金持ちになる」未来に必要なこと 【TEKKON開発者対談】 でもお話したように、Web3の世界には投機目的の人が大勢います。暗号資産はまだ安定通貨ではなく、乱高下を繰り返している状況でもあります。

ちなみに暗号資産が不安定な理由は、全体の流通量がまだ少ないこと、そして多くの人にとっての「信用」がないからです。

一方で、Web3ゲームにおけるぼくの理想の資産の増やし方は、株式投資でいうところの「配当株」を実現すること。元手となる株を長期で保有し続けることを前提に、「おこづかい」として配当金が出るようになれば、市場は安定します。

そんな「早期に買って、売って、抜ける」というお金儲けだけの目的にならない、安定したトークンの設計を、ぼくは『TEKKON』で実現できると考えていました。

『TEKKON』ゲーム制作で、ぼくが考えた企画

現在リリースされている『TEKKON』は、プレイしながらポイントを稼ぎ、それをトークンに換金することができるゲームです。ポイントを稼ぐには、マンホールや電柱の写真を撮影して投稿する方法と、ほかの人が撮影した画像にレビューする方法があります。スタート時に無料でもらえるNFT化した「犬」のレアリティやレベル、数によって、可能な写真投稿数(つまり、ポイント数)が変動します。

ただ、ぼくがもともと提案していたのは、オンライン上につくった架空世界の土地を分割し、現実に存在するマンホールと紐づけたうえで、その土地(地図)を販売するというものでした。

土地の値段は現実世界の人口を反映した価格になっており、土地を買った人は、地主になります。価格は当然エリアによって変動し、同じ広さの土地ならば、地方よりも都会のほうが高額になります。実際に、人口とマンホールの数は比例するので、バランスもいい。

そしてゲーム内では、「金」が埋まっている特別な土地がいくつか用意されています。土地から金が発掘されたとき、地主は「地代」として、最初に発掘した人は「発見者報酬」として、それ以降に掘った人も「発掘料」として、投資額が高い人ほど多くのインセンティブがもらえる仕組みになっています。

「転売で儲ける」を防ぐ方法

土地を買って地主になれば、ほかのプレイヤーが自分の土地から金を見つけるたびに収入が得られ、自分で掘らなくても手持ちのトークンが増えていく。

この地主が得られる対価の仕組みこそが、先に説明した「配当株」に当たるのです。

地主が土地の「転売」で儲けることを防ぐために、運営側は定期的に世界各地の土地を売り出します。新たに売り出される土地の値段が毎回ほぼ一定であれば、転売で儲ける道はなくなります。そうなると、一度手に入れた土地をなかなか手放さなくなります。

これでようやく、トークンの価値も変動しにくくなり、流通量も少しずつ増えて安定し、ゆっくりゆっくりとトークンの価値も上げていくことができます。ちょっとずつみんなの資産が増え、誰も損をしない。そんな経済世界が生まれていくと考えました。

この企画案は、開発期間との折り合いがつかず採用されませんでしたが、今後「続けることで、緩やかに資産が増えていく」タイプのゲームは、どんどん生まれてくるのではないでしょうか。

お金とは「信用」

お金とは何かを改めて考えるほど、「信用」であることがわかります。そして、暗号資産の価値とは、その背後にどれだけ信用があるか。それがすべてです。

たとえば、どれだけ円安が進んでも多くの人が円を信用しているのは、日本銀行およびその背後にある日本という国 が破綻しないと信用しているから。
暗号資産では、ビットコインやイーサリアムは流通量も多く、マーケットも耳慣れしています。一度暴落はしましたが、運営側への信用はあるからまた戻ってくるはずです。

逆に、ビットコインとイーサリアム以外の暗号資産は信用が低いため、その効力を失いかけています。でも、もしも、国境概念のない巨大資本であるGAFAMが組んで、ビットコインとイーサリアム以外の特定の暗号資産を選んだとしたら、それが世界で一番安定した暗号資産になるでしょう。GAFAMという「大きな信用」が、背後にあるわけですからね。

巨大資本であるGAFAMへの一種のカウンターとして生まれたWeb3ではありますが、結局のところまだまだ「信用できない」からこそ、不安定な状態がいつまでも続いているのです。

巨大資本という信用がないせいで、自由なはずのWeb3が安定しないのは、なんとも皮肉なことですよね。

歩いて、撮って、ポイント貯める! 位置情報ゲーム『TEKKON』


編集協力/コルクラボギルド(文・ぐみ、編集・平山ゆりの)

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