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円周率πを内接(外接)する正多角形から求める

 あまりにも有名なネタであるが、数ネタとして一度は取り上げておいた方が良いとの考えから一応まとめておく。  なお、正方形または正六角形を元に角を二等分することを繰り返す、というこの方法で、三角関数の所謂「半角公式」を使うのが正解のように言われている。「円周率πを内接(外接)する正多角形の辺の長さより求めよ」という問題なら、三角関数でも何でも自由に使えば良いと思うが、「円周率πを求めよ」というような方法が指定されていない問題の場合、もし三角関数の半角公式を使うのなら、内接(外接

    • コインを投げて円周率πを求める:表の出たコインの枚数を数えることで円周率πを求める

       良く分からない関数の計算とかではなく、物理的に円周率πを求める方法は数多く知られている。もちろん、円を描いて実測するのもそれと言えるが、振り子の周期を測ったり(注1)、2つの玉を壁にぶつけたり(注2)、的にダーツを投げたり(注3)…と色々だ。  特に物を投げることでπを求める方法としては「ビュフォンの針」(注4)が有名だが、線と針が交差しているかどうか判断に困る場合があることや、針で怪我をしてしまうなどの問題がある。  ここでは、コインを投げ、表の出た回数を数えるだけで、円

      • 二つの整数が素になる確率:整数の中から任意に選んだ2つの数が互いに素である確率から円周率πを求める

        整数の中から任意に2つの数を選んだとき互いに素である確率  整数の中から任意に2つの数を選ぶ。このとき、その二つの数が互いに素である(共通の約数を持たない)確率は に等しい。これを確かめてみる。 いくつかの問題  確かめるに当たって、いくつかの問題がある。まず、そもそも任意に2つの整数を選ぶことが本当に出来るのか、ということだ。  いや、「無限集合の中からランダムに取り出すことが出来るのか」というような選択公理が正しいのか?という難しい話ではない。まあ、取り出せたとし

        • 日付を聞いて曜日を当てる方法:合同式

          「大きな月(31日ある月)と小さな月(30日以下の月)は、かわりばんこに来ます。でも、7月と8月だけは大きな月が続くのよ」 「園長先生、それは違います。よくある間違いですね」           ―5歳の頃、保育園の思い出  「1962年2月13日は何曜日?」といった質問にすぐに答えられるだろうか。ある種の天才は何も考えずに曜日が心に浮かんでくるのかもしれない。しかし、そうでない我々も簡単な計算ですぐに答えられる。もちろんちょっとした記憶力と練習は必要だが、慣れれば数秒で答

        円周率πを内接(外接)する正多角形から求める

        • コインを投げて円周率πを求める:表の出たコインの枚数を数えることで円周率πを求める

        • 二つの整数が素になる確率:整数の中から任意に選んだ2つの数が互いに素である確率から円周率πを求める

        • 日付を聞いて曜日を当てる方法:合同式

          誕生日のパラドックス :誕生日が一致する確率

           このパラドックスは、「何人の人を集めれば、その中に誕生日が一致する人がいる確率が50%以上になるるか?」  という確率の問題で、その答が普通に予想されるよりも遙かに少ない、というパラドックスである(パラドックスというが論理的な矛盾があるというものではなく、単に直感に反しているというもの)。これについて紹介する。  よく似た次の問題も考えて欲しい。「人間の髪の毛はせいぜい10~15万本と言われている。何人の人を集めれば、その中に髪の毛の本数が同じ人のいる確率が50%以上にな

          誕生日のパラドックス :誕生日が一致する確率

          πを表す積分 :円周率πは22/7より小さい

           定積分でπを表す式はたくさん知られている。それを元に、πの近似値を求めることや、面白い式を導くことが出来る。これについて紹介する。 よく知られている定積分  一番よく知られているのは、次のものだろう。  これは、 であることから明らかであるが、逆三角関数を習っていない高校数学の範囲で定積分だけは求めることが出来、練習問題として有名である。 円周率πは22/7より小さい  この有名な積分を使った、これまた有名な話に、πが22/7より小さいことを証明できるというもの

          πを表す積分 :円周率πは22/7より小さい

          1089 :ひっくり返る数

           1089は、1089×9=9801という、所謂「引っくり返る」性質で知られている。ここでは、1089や類似の性質を持つ数、並びに他の面白い性質について紹介する。 1089  1089は、以下のように「引っくり返る」計算で有名である。 1089×9=9801  では、他にこのような数はないか?と考えるのは当然であるが、掛ける数(今の場合は9)で場合分けすると、それほど苦労なく見つけることが出来る。4桁の数で探してみよう。  9を掛ける場合: abcd×9=dcba aが

          1089 :ひっくり返る数

          123456790:失われた8

           12345679という数は、12345679×9=111111111という性質で良く知られている。数字の並びに8がないことから、”missing 8”などとも呼ばれている。ここでは、何故8がないのかという一つの理由と、123456790等の他の性質を紹介する。 12345679  12345679は、以下の計算で有名である。 12345679×9 = 111111111  同様に、 12345679×18 = 222222222 12345679×27 = 333333

          123456790:失われた8

          142857:巡回数のある法則について

          「ある数の末尾はmである。この数にnを掛けると、結果は末尾のmを頭に移動したものになるという。この数を求めよ」 ―よくある数学パズルの問題  142857に代表される巡回数は、その性質も含めよく知られている。ここでは、よく知られていることの他に、(おそらく殆ど知られていないであろう)以下の法則を紹介する。  ある数の末尾はmである。この数にnを掛けると、結果は末尾のmを頭に移動したものになるという。このときこの数は、分数m/(10n-1)の循環節で表される。 142857

          142857:巡回数のある法則について