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自分らしく生きるためのセルフコミュニケーション分析と改善のヒント#6「自尊心」傷つきの連鎖

これまでの人生、周りに振り回されてばかりの「他人軸」のしんどい毎日を送っていたとしても、心の中の自己対話(セルフコミュニケーション)を見直すことで自分軸に軌道修正できるということをコンセプトに、シリーズでお届けする記事の6回目です。

前回の記事では、もっと自分らしく生きたいのになかなか思うように思考も行動も変えられない、自分の古い殻を脱ぎ捨てられないと感じるとき、「ありたい自分」を探求したり新しいことにチャレンジするよりも、これまで親からどういうことを教わってきたのかを一度しっかり探求し、内面化した親の信念・価値観を明らかにすることに取り組んだほうがスムーズに古い自分の殻を破りやすいということ。

特に、自分の意志とは関係なく「なぜかいつもバットエンドに向かってしまう」というジャンル(恋愛・友達関係・仕事・夫婦生活など)が明確になっている場合は、そのジャンルについて「親からどんなことを教えられてきたのか?」をしっかりと振り返ってみることが大切ということで、親に埋め込まれたダブルバインドの呪いについてお話ししました。

今回も「内面化した親の呪い」をテーマにセルフコミュニケーションを変化させることで自分軸に軌道修正するヒントをお伝えします。


親の傷ついた自尊心を癒すために利用される子どもの悲劇


劣等感や無価値感などなんらかの理由によって自尊心が傷つき、それを癒すことなく抑圧した状態のままで親になると、傷ついた自尊心を癒すために子どもを利用していることに無自覚でいることがあります。

たとえば子どもに、
・ことあるごとに恩着せがましく振る舞う
・ことあるごとに「すごいでしょ」と賞賛を要求する
・親の都合で理不尽なルールを押し付ける
・家族のために自分を犠牲にしていることをことさらアピールする
・悲劇のヒロインをアピールする
・自分が話題の中心から外れるような状況になると途端に不機嫌になる
……などなど。

他にも、親が「みんなと仲良くしなさい」「人が嫌がることはしてはいけません」「人に迷惑をかけないように」「相手が謝ってきたら許しなさい」「いつもいい子にしていなさい」など、子どもの気持ちにお構いなく理想論を命じ、「君主」のように振る舞うことで、自分の傷ついた自尊心を満たそうとするなど、現れる事象は親の自尊心の傷つき度合いやキャラで変わります。

こうした理不尽な要求に子どもがいくら応じたとしても、自分で自尊心を満足させることができなければ、まるで駄々っ子のように「もっと欲しい」「どうしてもっとくれないの!」と欲求はエンドレスに続くのです。

このように、子どもが親に甘えるのではなく、親が子どもに甘える(依存している)親子の役割が逆転した家庭環境の中で子どもは、「子どもらしさ」「自分らしさ」を抑圧させられことによる欲求不満を心の中にどんどん蓄積していきます。

その結果、親と同様に子どもも劣等感や無価値感などから自尊心が傷つき、大人になってから
・必要以上に周囲の顔色を伺う
・周囲の期待に過剰に適応しようと頑張る
・自分が他者からいつも評価、監視されているように感じる
など、自分らしく生きられないといった「自尊心の低さ」から生じるさまざまな悩みを抱えることになります。

他にも親子の役割逆転家族の中で生じる問題については、こちらの記事も参考にしてください。
アダルトチルドレン・毒親サバイバーの方が自分らしい人生を取り戻すヒント#4「毒を生み出した環境をメタ分析する」

抑圧された親への敵意と幼児的万能感


親子の役割逆転家族の中で自分らしさを抑圧されてきた子どもは、大人になってたとえ経済的には親離れができていても、心の奥底には子ども時代に満たされなかった「甘えたい」「ちやほやして欲しい」といった強い欲求不満から、「情緒的な親離れ(情緒的な自立)」ができていないケースは少なくありません。

ですが、経済的な自立(自活)と精神的な自立を混同しているせいで、親に依存していることに無自覚なことがあります。

精神的に親から自立できていない典型的なケースに「幼児的万能感」があります。
※幼児的万能感については、こちらの記事を参考にしてください。

幼児的万能感に囚われていると、自分の思い通りにならない状態に人一倍イライラしたり、他人を自分の思い通りにコントロールしないと気が済まないといった「自己中」な欲求に執着していることを自覚できず、それによって人間関係のトラブルが多くなるなど、日常的にイライラしてストレスフルな状態に陥りがちです。

その背景には「親に対する抑圧された敵意」があります。

著名な精神科医のライヒマンは、

偏頭痛持ちの人は、最愛の人に対する深く抑圧された敵意(怒り)を偏頭痛によって表現している印象がある。

と言ってます。

実際、マンツーマンのセッションをしていると、ライヒマンが抱いたのと同じような印象を受けるケースは本当に多いです。
病院に通って頭痛薬をもらっても偏頭痛がぜんぜん解消しなかったのに、セッションを通じて親に対する気持ちの抑圧が薄まってくるのと並行して偏頭痛が治るケースや、肩こり、便秘や下痢、不眠、人によってはアトピー症状が改善していくケースをこれまで何人も見てきました。

ここから推察されることは、親に対する抑圧された敵意が自己嫌悪として自分に向けられた場合、偏頭痛などの身体的な症状や適応障害や鬱など心理的な症状として現れるし、自分ではなく身近な人に向けられた場合は人間関係でトラブルを繰り返し生じさせるようになるということです。

なお「親に対する敵意」を抑圧し自覚できていない場合、思春期頃にいわゆる「反抗期」があったかどうかを振り返り、反抗期がなかった場合は敵意を抑圧している可能性が高いと言えます。

ちなみに次のフレーズを声に出して言ってみたときの自分の感覚的な違和感をチェックしてみると抑圧した敵意の有無に気付きやすいです。

<フレーズ例>
「私はお母さん(お父さん)が大好き」
「私はお母さん(お父さん)から愛されている」
「私の人生は私のもの、お母さん(お父さん)の人生はお母さん(お父さん)のもの」

声に出して言ってみたとき、まったく心が動かない、他人ごとのように思える、嘘っぽく感じる、イライラしてくるといった感覚を感じる場合、敵意を抑圧している可能性、親に執着(依存)している可能性が高いと言えます。

では、どうすれば抑圧された敵意を癒す(手放す)ことができるのでしょうか?

抑圧された敵意を癒す(手放す)ヒント


親に対する敵意が自己嫌悪や人間関係のトラブルを生み出してということを、はっきり自覚することがはじめの一歩となります。
人によっては自覚できた瞬間に「そんなことのせいでこれまで振り回されてきたなんて馬鹿らしい」とスパッと手放せることもあります。それくらい抑圧してきた敵意が生みだす問題事象との関係性をはっきり自覚することは大切なことと言えます。

そのうえで考えたいことは、敵意や依存心の根っこには「欲しいものが満たされていない」「足りてないからもっとくれ!」といった欠乏感があるということ。

つまり、敵意からくる幼児的万能感や依存心を癒すには「すでに十分ある」「すでに持っている」「すでに足りている」「いま、このままでもぜんぜん足りているし大丈夫」と思える感覚、言い換えるなら満足感・安心感を育めばいいということです。

「すでに十分ある」「すでに持っている」「すでに足りている」「いま、このままでもぜんぜん足りているし大丈夫」と思える感覚を育むことを、もう少し具体的に言うなら「ありがたいな~」と思えることに意識を向け「感謝筋を鍛える」ということです。

私たちはなんでも習慣化する生き物なので、今日あったことは当然のように明日も繰り返すと思いがちです。そのため日々の生活の中で「あって当たり前」だと思っていることに、いちいち「ありがたいな~」とはあまり感じることがありません。

実際、普段生活している中で、シャワーを浴びつつ「今日もお湯が出てありがたいな~。満たされているな~。足りているな~」なんてことはほぼ考えません。
むしろ「シャワーの水圧が足りない」「温水が出るまで時間がかかりすぎだ」などと不平不満を抱いたりします。

どうやら私たちは、昔から言われるように「実際に失ってみるまでありがたさに気づかない」というのがデフォルトとして設定されているようで、自然災害などによって満足にシャワーを浴びることができない、水すら出ないといった環境に置かれてはじめて「水ってありがたいな~」「シャワーってありがたいな~」「安心ってありがたいな~」としみじみ実感する生き物のようです。

つまり、「もしも◯◯を失ったとしたら?」「もしも◯◯ができなくなったとしたら?」と意識的に考え感謝筋を鍛えていけば、「いま、このままでもぜんぜん足りているし大丈夫」と思える感覚を育むことができるということです。
※感謝筋を鍛えるヒントについては、こちらの記事も参考にしてください。

なお、感謝筋を鍛えるのと並行して取り組むことで自己改革を加速させるものに

・抑圧した敵意をノートに書くなどして意識化(言語化)すること
・無自覚に表現している幼児的万能感を振り返ること

など、前向きな自己分析に取り組むことが挙げられます。

ということで、今回の記事が親に刷り込まれた無自覚の反応癖から抜け出すヒントになれば嬉しいです。

最後までご覧いただきありがとうございます。

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