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自己肯定感が他の人よりも高いはずなのに、承認欲求が人一倍強いのはなぜ?

今回は「自己肯定感が他の人よりも高いのに、承認欲求も人一倍強いのはなぜ?」という相談メッセージへの回答です。


自己肯定感が高いという勘違い

<相談メッセージ>
私は子供の頃から「自分を認めてほしい」「評価してほしい」という気持ちがとても強い子供でした。

いつも周りから注目されていないと気が済まなくて、周りから自分が期待しているようなリアクションをもらえないと、途端に不機嫌になってしまうせいで、気づけば自分の周りから誰もいなくなってしまいます。

以前、職場の先輩から「あなたは承認欲求が強すぎる」「自己中だ」と言われたことがあります。

気になって調べてみたら、あるカウンセラーさんの記事に「承認欲求が強い人は自己肯定感が低い」と書いてありました。

私は幼い頃から親からとても可愛がられてきたし、学校の先生からも褒められることが多く、自分で言うのもなんですが自己肯定感は普通の人より高い方だと思っています。

自己肯定感が高い私なのにどうしてこんなに承認欲求が強いのでしょうか?

一概には言えませんが、こちらの相談内容を見る限り「自己肯定感が高い」というよりも、「幼児的万能感に囚われている」「自己愛が肥大化している」ことが承認欲求の強さや自己中的な挙動に繋がっているように思います。

幼児的万能感

万能感とは子どもの頃に持っている、「自分はなんでもできる」「なんでも知っている」「何をしても許される」「自分にはオンリーワンの価値がある」といった、言ってみれば「神的」「自己中的」な優越感覚(ファンタジー)のことです。

子どもは皆、大なり小なり万能感を持っています。
そして、成長の過程で自分の思い通りにいかない現実(社会性)の中で、うまく折り合いをつけながら徐々に万能感を手放し、「等身大の自分(ありのままの自分)」を受け入れていきます。

ですが、子どもの頃から親の称賛的な注目を浴び続け、自分の思い通りにいかない現実と向き合い、ファンタジーの自分と等身大の自分との折り合いをつけるといった経験を積んでこないでいると、大人になっても「万能感」を適切に手放せなくなります。

その結果、「周りから称賛される優越した自分」以外認めることができない不健全な自己肯定感、言い換えるなら「肥大化した自己愛」を育んでしまうわけです。

ちなみに、幼児的万能感に囚われ自己愛が肥大化している状態にあると、誰かに自分の自己中心的すぎる態度や言葉を指摘されたとき、自分という存在そのもを否定された、攻撃されたと受け止めブチギレして怒ったり、人が変わったかのように攻撃的になることがあります。

それくらい自分のことを「神的存在」と思っているのですが、一方では、これまで現実と向き合いうまく折り合いをつけること、等身大の自分と向き合うことをしてこなかったことからくる「脆弱で傷つきやすい自尊心」を隠し持っていたりします。

では、不健全な自己肯定感(万能感)、過度な承認欲求を手放すにはどうすればいいのでしょうか?

感謝ノートのススメ

今回は「自分が称賛されたい」「自分が注目されたい」という自己中的な気持ちを180度転換し、「感謝」に意識づけすることに役立つ方法を紹介します。

誰かに認められなくても幸せになれる

カリフォルニア大学の心理学者エモンズらは大学生の被験者200名を、3つのグループ(仮にABCの3つ)に分け、それぞれ約2ヶ月間にわたって、毎週一回、その週を振り返り、
・Aグループ:ありがたかったことを最大5つ
・Bグループ:イライラしたことを最大5つ
・Cグループ:印象に残ったことをなんでもいいので最大5つ
記録していくという実験をしました。

2ヶ月後、3つのグループの被験者に対して、人生や健康状態についてヒアリングしたところ、Aグループ(感謝を記録したグループ)の被験者は、他の2つのグループに比べて「人生は喜ばしいもの」と回答し、また、他の2つのグループに比べて、健康状態の不調(頭痛、胃痛、めまい、肌荒れ、筋肉痛、下痢など)の訴えが少なく、結果として幸福感がアップしたという結果になったそうです。

他にも、これまで大変お世話になったにもかかわらず、一度も感謝の意を表明したことの無い人に対して、感謝の手紙を書いて直接渡すように指示する実験をしたところ、手紙を書いて直接渡したグループの被験者は、毎週感謝のことを思い出したグループよりも、さらに幸福感が高くなったそうです。

「感謝」の心理学 ~心理学者がすすめる「感謝する自分」を育む21日間プログラム ロバート A.エモンズ著

今回おすすめする方法は「感謝ノート」をつけることです。
「◯◯さんが仕事を手伝ってくれた、ありがたいな」「仕事でミスしたけど周りの人がフォローしてくれた、ありがたいな」「今週読んだ本でたくさん気づきを得られた、ありがたいな」……などなど。
毎週一回、その週間を振り返って、感謝できることを5つ以上箇条書きで書き出すだけのシンプルなものです。

とはいえ、人によっては5つ書き出すことがとても難しく感じるかもしれません。
なぜなら「仕事を手伝うのは当然」「ミスしたらフォローするのが当然」といった、自己中的なフィルターを通して世界を見ているせいで「ありがたいな〜」という気持ちをなかなか得られないからです。

そういう場合、「もしも身の回りにあるものを失ったとしたら?」という視点で振り返ってみるといいと思います。
・もしもコンビニがなかったとしたら?
・もしも電車が予定通り来なかったとしたら?
・もしも仕事のミスを誰もフォローしてくれかったとしたら?
そう考えると「ありがたいな〜」という気持ちが芽生えてきやすいかなと思います。

こんなふうに「感謝」にフォーカスを当てることが癖ついてくると、自然に「私だけを見て!!」といった自己愛的自意識、承認欲求も薄くなっていくと思います^^


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