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【いちごる読書note】イノベーションのDNA

この本を読んだのは2回目であった。

1回目読んだときは、特段の印象はなく、2回目を読むつもりはなかったのだけれど、どいうわけか、ふと「読みたいな」と思いたち、読んだ。

そうするとどうだろう。
1回目に読んだ時とは、その本の中に広がっている世界が全く違って見えた。

1回目に読んだときはまだ、この本を読む心の準備が整っていなかったのだろう。

世の中にある本の中には一度読んで、「これは素晴らしい! 」と感じれば、もちろん何回も読んでみることが大切だということは理解していたが、1回読んだだけではその良さがわからないものも中にはある。

今年の2月の転居に伴い、かなり多くの本をBOOKOFF に納めたけれど、その断捨離の危機をかいくぐるだけのご縁が、この本にはあったのだろう。

さて、今回紹介するのは『イノベーションのDNA 』(著者 クレイトン・クリステンセン他)。

これはイノベーションの大家であるクリステンセン教授が共著者とともに、「イノベーティブな会社を率いるリーダーたちは、どうしてイノベーティブたりえたのか」、また「そのようなリーダーはどのようにしてイノベーティブな組織を築いているのか」という点を掘り下げた本である。

そして、その結論を先取ると、「だれでもイノベーティブな発想をすることが出来る(少なくとも、その方法を採用しないよりはよほどイノベーティブになれる)」というもの。

確かに、この本に出てくるイノベーターは今を時めく偉人たちであり、そもそもの才能が違いすぎるのでは?と思われるかもしれない。

だが、著者はその偉人たちには、生まれ持った才能だけでなく、そもそものマインドセットと、それらを活かすだけの「行動」をとってきたからだ、という。

マインドセットを端的に言うと、イノベーターたちは「現状に満足せず、それをより良い方向に変えていけるはずだ」という信念がある。

(この点は、「成功曲線を描こう」の「見えない枠をとり払う」話と共通する点である。自分の可能性に蓋をしてしまっている限り、その可能性が花開くことはない。詳細はこちら☞LINK)

また、人が思いもしなかった発想をする源は、才能というよりはむしろ、その行動力によって引き起こされている、と結論付けている。

つまり、行動する(問いを立て、世の中を観察し、人と会うことでインスピレーションを得、それらをもとに立てた仮説を検証すべく世の中に働きかける=実験する)ことは、才能の問題ではなく、 考動する意欲の問題だということである。

マインドセットと各行動的スキルを簡略化して図示した画像を以下に貼り付けておく。

『イノベーションのDNA』p49図1-1より


しかしながら、この図を見ただけではもちろん、何も理解は深まらないだろう。

というのも、人は自身の経験をもとに得た既存の知識などを通して物事を見るため、この図1つ見ただけでは、そこにあるキーワードを、自身の経験の中で得た知識や理解に置き換えるだけで、新たなことを学習することにはならないからである。

何が言いたいかというと、もしもこの本に何かを期待するのなら、必ず一度通読しよう。

そして、そのうえで生じるこの本に対する評価についてもいったん保留をし、何かきっかけがあればもう一度開いてい見るとよい。(そうすると、「行動的スキル」の本当の意味が分かるかも)

何しろ、クリステンセン氏の本である。
そこに書いてあることは、必ず人生の役に立つはずである。

まだ、その良さに気付くことができないなら、それはいちごるが1回目にこの本を読んだときにそうであったのと同様、まだ受け入れる準備が整っていないだけだと思われる。


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