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僕が本を「精読」する理由と「多読」する理由

過去にも触れたことではあるが、学生時代から30代半ばまで、ろくに本というものを読まずに過ごしてきた僕ではあるが、2021年に運命の本に出会ったことをきっかけに、本を読むことが多くなった。

その中で、本の読み方が徐々に変わってきたり、自分なりの読書の意味が少しずつ形作られてきたかもしれない、と感じる今日この頃、それを一度ここに書き残しておこう。

その運命の本とは、実践!成功曲線を描こう!シリーズで11回にわたり(長いよ…)紹介したタイトトル通りの「成功曲線を描こう!」である。

これを皮切りに、2021年は20冊くらい、2022年は60冊超の本を読むようになった。

本を読む量のレベル感については、人それぞれだが、僕にとっては新しい本に出会い続ける読書は多読、1冊の本を何回も読むことを精読、と分けて考えている。

そして、最近は月に5冊読むのなら、1~2冊が精読(過去に読んだ本をもう一度読み返す)、3~4冊が多読に分類される。

それぞれの僕なりの読書の意味をまとめたい。
そしてそのためには、僕が読書をする目的から始めよう。


1.自分にとっての読書の目的

僕にとっての読書の目的は、「自分の思い描く世界を創りたい」という想いがまずあり、それを実現するための一つの手段として、読書を位置付けている。(もちろん、単に面白いからという娯楽目的の場合もよくある。)

自分の思い描く世界を創るプロセスは、言ってしまえば、道なき道を行くようなものだし、また、そもそもの「思い描く世界」も最初から明らかなものではなく、徐々に姿を現していくような不確定で流動的なもの。

「思い描く世界」を洗練・模索しつつ、その世界を創るための道のりを開拓する作業をする中で、頼りになる手段の一つが本を読むことなのだ。

 そして、そのために、1冊の本を繰り返し読む精読と、新しい本との出会いを模索する多読をすることで、僕は今、その目的に向かっているのだろう。

2.精読~ナゼ、同じ本を繰り返し読むのか?

冒頭に記載した「成功曲線を描こう!(石原明著)」しかり、別のnoteで紹介した「イノベーションと企業家精神(P.F.ドラッカー著)」(☞LINK)しかり、僕には現時点で10冊余りの「繰り返し読みたい本」がある。

本を繰り返し読む理由は何か?

それは、自身の読書の目的(思い描く世界を創るヒントを得る)に照らして良い本であれば必ずその役に立つものだと思っているが、同時にそれを自分の中で消化するためには、1度読んだだけではまず不可能だと思うからである。

さらに、良い本は、単純にはまとめられないし、どこか一部分を切り取ってつまみ食いしても、大して意味もないものだと思っている。

なぜなら、繰り返し読むに値する良い本は、個々の主張もさることながら、それらの内容が個別にではなく、相互に関連しているし、その関連が失われると価値が大きく棄損してしまう、そんな有機的一体なものだと思っているからだ。

この繰り返し読む価値や必要性を、僕が腹落ちして理解できているのは、自分自身にもそういった「伝えたいもの」があるからだ。

それはゴルフ上達のための方法論で、別のサイトで、50くらいのコンテンツとして投稿してきたものである。(☞https://1-golf.com/introducion2/)

これを書き上げて(まだ実は完結していないが、既に新書1冊分のボリュームはある)思ったことは、「とてもじゃないけど、これを1度読んだだけで理解することは無理だな」ということ。

あるところで出てきた概念が、実は多面的な意味があるし、そしてまた別の概念とも深く関わり合っている。

そのウェブサイト内でいろいろと相互にリンクを貼り参照可能な状態にして、理解を促進する工夫をどんなに重ねてはいるものの、やはり一度で理解、体得するのは無理だと思っている。

自分自身にそういったものがあるものだから、ある人がある分野において、その本質を極め、それを物したのであれば、それを自分の中で消化するためには、丁寧にその一文一文に触れ、実践に活かし、そこで得た経験をもとにまた本に戻ってくる、という作業が必要だと思っている。

3.多読~ナゼ、新しい本を模索するのか

精読すべき本が(僕にとっては)割とたくさんあり、それがまだ未消化なのであれば、新しい本に出会うよりも、すでに読んだ本を繰り返し読むことを優先した方が良い、という考え方もあるかもしれない。

だが、僕にとっての読書の目的を考えた時に、新しい本を物色し、それに触れる機会もまた、重要なものであると位置づけている。

その理由は以下の通り。

①繰り返し読むべき本に出会えるかもしれない
2.に記載した通り、すでに精読対象の本は手元に十分にあるのだが、もしかしたら、自分の知らない新しい価値観や考え方に触れ、精読すべき対象の優先順位の上位に食い込む本に出会えるかもしれない。

また、自分の思い描いている世界を創っていくプロセスには、いくつかのフェーズがあり、今はまだ関心のない新しい領域が広がってきた時には、新たな精読するに値する本が登場するのだと思っている。

②自分の信念を貫くためのエネルギーの注入、先人の経験に触れる
何かの信念のある人たち、そしてそれを貫き、世界を変えた先人たちの経験を語った自伝などは、全く別の分野でも悪戦苦闘している人たちの活力になる。

事実、スターバックス成功物語(スターバックス元CEOの自伝)、Airbnb Story(エアビーアンドビーの創業者のドキュメンタリー)といった近年の企業家の話から、果ては「我思うゆえに我あり」で有名な「方法序説(ルネ・デカルト著)」まで、彼らの想い・信念が滲み出たその文章には、共感を覚えることが多く、信念を貫いた先人たちから活力を得る思いになる。

また、その先人たちの直面し乗り越えた障壁は、僕自身の前に今後立ちはだかる障壁かもしれない。

そのような先人の経験に触れることもまた、僕にとっては意義深い。

③会うべき人に会うための、コミュニケーションツールとして
本を読むことと同様に最近大切にしていることは、人と会うこと。

人と会うことはそれ自体が僕にとっては楽しく、心豊かに過ごせる貴重な時間ではあるが、それと同時に、自分の存在に価値を見出してくれる人に出会いたい、という意図もある。

この時に、自分の存在をどのように伝えるかは、なかなか難しい問題のように感じている。特に、実績や肩書きがない段階では、自分という人間をどのように理解してもらうか。その伝え方に工夫が必要だと考えている。

この点、自分の想いを語るだけではなく、共通のコミュニケーションの土台があれば、より理解していただけるのではないか、と思っている。

その一つの手段が、本を通じたコミュニケーションである。

例えば、「僕は○○に関心を持って、このようなサービスをしています!」と伝えるよりも、「ある人がある本を読んだ」という情報があれば、その本を読んで「自分自身は、××の部分で、普段のサービスに照らして、○○の点で共感し、△△の点でヒントを得て、これから□□に活かしたい」などを伝えられたら、自分の考え方を相手に少しは理解しやすい形で伝えられるのではないか、と思っている。

④単なる興味として
①と多少重複するかもしれないが、今時点の僕の読書の目的(思い描いている世界を創る)の範囲の対象外にある、とにかく「何か新しく、楽しそうなもの」などに触れる機会は、常に持っておきたいと思っていて、それが4つ目の多読の理由。

全く新しい分野に触れることは、楽しくもあり、またときに難しくもある(例えばこれまであまり触れてこなかった、国際関係の分野に、少し興味を示して首を突っ込もうとしても、なかなか理解が進まない)。

こういった経験自体も、「初心者の気持ち」を思い出せる意味では、娯楽でもあり、実用的な意味も僕にとってはある。

4.最後に

自分なりの読書論をつらつら書いてみたが、そもそも何故これを書こうと思ったのか。割と思いつきで書き始めたので、言語化しにくいことではある。

だけど、一つ言えるのは、ほとんど本を読まないタイプの人間だった自分が、「読書を通じて豊かな人生を歩めるようになった」という経験は、もしかしたら他の人の役に立つかもしれない、と思ったからなのだろう。

それは、ちょうど僕が、得意とは言えなかったゴルフでコツを掴んだことによってゴルフを楽しめるようになり、それを他の人にも伝えたいと思って、複業ゴルフコーチを始めたことと似ている。

つくづく求められてもいないことをやるお節介者だと痛感するなぁ!

おわり。

(参考)いちごるの繰り返し読みたい本リスト ~いちごるを創った100冊~

  1. 成功曲線を描こう(石原明 著)☞いちごる読書note(LINK

  2. ジョブ理論(クレイトン・M・クリステンセン 著)☞いちごる読書note(LINK)

  3. イノベーションと企業家精神(ピーター・F・ドラッカー 著)☞いちごる読書note(LINK)

  4. 問いこそが答えだ!(ハル・グレガーセン 著)☞いちごる読書note(LINK)

  5. Airbnb Story(リー・ギャラガー 著)☞いちごる読書note(LINK)

  6. スターバックス成功物語(ハワード・シュルツ 著)☞いちごる読書note(LINK)

  7. SHOE DOG(フィル・ナイト 著)☞いちごる読書note(LINK)

  8. ピクサー流創造するちから(エド・キャットマル 著)☞いちごる読書note(LINK)

  9. 習慣超大全(B・J・フォッグ 著)

  10. 社会心理学講義(小坂井 敏晶 著)

  11. 歴史とは何か(E・H・カー 著)

  12. 経済社会の学び方(猪木 武徳 著)☞いちごる読書note(LINK)

  13. 国際標準の戦争と平和(烏賀陽 弘道 著)

  14. 哲学入門(バートランド・ラッセル 著)

  15. 社会学的方法の規準(エミール・デュルケーム 著)

  16. ZERO to ONE(ピーター・ティール著)☞いちごる読書note(LINK)

  17. ブルシット・ジョブ(デヴィッド・グレーバー著)

  18. イノベーションのDNA(クレイトン・M・クリステンセン 著)☞いちごる読書note(LINK)

  19. 脳の右側で描け(ベティ・エドワーズ著)

  20. 文学入門(桑原武夫著)

  21. ディズニーCEOが大切にしている10のこと(ロバート・アイガー著)☞いちごる読書note(LINK)

  22. アントレプレナー マネジメント・ブック(エリック・G・フラムホルツ著)

  23. コーチングのすべて(ジョセフ・オコナー , アンドレア・ラゲス著)

  24. 弓と禅(オイゲン・ヘリゲル著)☞いちごる読書note(LINK)

  25. 教育×破壊的イノベーション(クレイトン・クリステンセン著)

  26. 禅ゴルフ(ジョセフ・ペアレント著)

  27. ポスト資本主義社会(ピーター・F・ドラッカー著)

  28. 経営者の条件(ピーター・F・ドラッカー著)

  29. まなざしのデザイン(ハナムラチカヒロ著)☞いちごる読書note(LINK)

  30. ダイアローグ(デヴィット・ボーム著)

  31. 学習する組織(ピーター・M・センゲ著)☞いちごる読書note(LINK)

  32. ランニング革命(ニコラス・ロマノフ/カート・ブランガート著)

  33. 読書について 他二篇(ショウペンハウエル著)☞いちごるnote(LINK)

  34. 思いがけず利他(中島岳志著)

  35. 世に棲む日日(司馬遼太郎著)


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