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駐在員が直面する「異文化」は海外でのみ存在するのか?~夫婦間の改善から学ぶ、異文化対応方法~

こんにちは。よしです。最近ありがたい事に「これまでの海外経験について話をして下さい」と登壇依頼を受けたりしますが、「実はまだ現在進行形で海外業務に苦労してますよ」と心の中で呟やきながら登壇を引き受けております。

さて、今回は「海外業務の中で異文化対応に困っているんです」と思っている方々に私の考えを伝えてみたいと思います。

1.「異文化」は海外でのみ存在するのか?

異文化の話をする際、それは2つのケースに大別できます。それが「原因系」と「結果系」の話になります。

「原因系」とは?
異文化がそもそも発生するのはなぜかという背景の話。代表的なところでは宗教の違い、生活環境の違い、国の発展状況の違いや社会保障制度の違い、etc。
「結果系」とは?
異文化が要因で発生した具体的な事象、つまりムスリムがするようなお祈り習慣の有無や、仕事上でのコンフリクト、仕事のやり方が異なり物事がなかなか前に進まない、身近な生活では食べもの制限(豚肉を食べない)、お酒を飲むか飲まないか、etc。

私の中で考え抜いた結果、異文化をもっとシンプルに定義すると

「異文化」=「私の当たり前があなたの当たり前ではない状態」

と言うことが出来ます。

さて、こう定義すると、ある事実が見えて来ます。それは

「異文化は海外だけに存在するものではなく、日本でも身近に存在する」

という事実です。その代表格がとっても身近ですが「夫婦」です。

結婚している人は経験があると思いますが、一緒に住み始めると明らかに違う生活習慣が見えて来ます。最初に違いが見えるのが食事です。例えば味噌汁が赤味噌なのか白味噌なのか。うどんは薄口醤油なのか濃口醤油なのか。海苔が焼き海苔なのか味付け海苔なのか、etc。

日常生活の中でもトイレ後には男女関わらず便座を下げるのかどうか、夜寝る時は真っ暗にするのか照度の低い常夜灯をつけて寝るのかどうか、etc。

子供が大きくなると、教育方針の違いも明らかになり、考え方にもギャップが見え始めます。子供にさせたいスポーツなども意見が異なる事も多々あります。

背景として、夫婦双方これまで歩んで来た人生も異なり、それぞれの中に当たり前、もしくは潜在意識の中で既に当たり前になってしまっている考え、価値観があるからに他ならないのです。そうです、異文化環境が一つ屋根の下には存在するのです。

「究極の異文化は海外ではなく、夫婦間に既に存在する」

極端な表現ではあるが、そんなにズレていないと思います。なので、海外に出た途端「異文化」という言葉を口にする人が極めて多いのですが、異文化は日本にいても既に身近に存在するというのが私の意見です。夫婦でなくても、隣の人、隣の部署、違う会社、違う業種、それぞれに既に異文化は存在するのです。

2.夫婦間の改善から学ぶ、異文化対応方法

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そう考えると、異文化への対応もここにヒントがあります。夫婦間をどのように改善したか?もしくは改善できなかったか?それを思い返してみれば良いのです。以下は事例です。

改善できた時の事例
 ①まず話し合う(とりあえず、なぜ白味噌がいいか聞いてみよう)
 ②実際違いに触れる(赤味噌好きだけど、白味噌を試してみる)
 ③違いを認める(おっ、白味噌もうまい)
 ④違いが自分のものになる(赤味噌も白味噌もイイね!)

②はダイバーシティー、そして④はインクルージョンに近い概念。I&D(インクルージョン&ダイバーシティ)と言って大々的に世間に発表している企業もあるが、I&Dもこうやって考えるとシンプル。

一方、改善できなかった時の事例はどうか?

改善できなかった時の事例
 ①違いを非難する(なぜ、白味噌なの。信じられない)
 ②違いから距離を置く(赤味噌にこだわり、白味噌を試さない)
 ③違いを抹消しようとする(俺に白味噌は出すな!)
 ④もう話さない

結婚前は「君をもう離さない」と言っていたのが結婚後「君ともう話さない」という状態になる。海外で失敗している人も同様。現地社員とほとんど話さなくなってしまいます( ゚д゚)

海外で「異文化」に直面した時も、改善ができるかどうかのプロセスは、基本夫婦間の改善プロセスに似ています。複雑性の違いは勿論あります。例えばイスラム教を認めたとしても、実際自分がムスリムになる事はないし、ムスリムの信仰心を本当に理解するのは難しいかもしれません。そんな複雑性を差し引いても、改善プロセスは夫婦間の改善のように実は極めてシンプルなのです。

だけど結婚している人にはわかるはずです。この極めてシンプルなプロセスを実際に行うのがどれだけ難しいか。。。その改善難易度も実は似ています(笑)。そう、シンプルなことほど、実際の行動に移すのが難しいのです。

最後にもう一つ、異文化対応の必殺技を紹介したいと思います。これも夫婦間と似ているのです。それは

「相手をどれだけ好きになれるか?」

相手を好きになれば違いは違いでなくなります。それは海外でも全く同じです。その国を好きになり、そこに住む現地の人を好きになれば違いは違いでなくなり、その文化をそしてその人をもっと知りたいと思うはずです。改善プロセスなど意識しなくても違いを認められるようになります。

実はこれが究極的な異文化対応方法と思っています。7年間の駐在経験を通じて辿りついた現時点の結論がこんなシンプルなことなのです。

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