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2022年、緩和から適用へ

新しい年が始まりました。今日は仕事始めの日でしたね。相当昔の事ですが、私の会社では、この日は社長の年頭の辞と社員同士の挨拶だけで、その後は帰宅するなり、飲み会に行くなり自由でした。私は仲間と連れ立って鎌倉の鶴岡八幡宮にお参りに行ったことを覚えています。のんびりした時代でした。また、右肩上がりの成長の時代で、未来に希望を感じていました。

時代を表すキーワード

さて、過ぎ去った2021年のキーワードは人によって様々でしょう。共通なものは、新型コロナ、東京オリンピック、岸田政権、COP26、脱炭素、カーボンニュートラル、憲法改正、防衛、中国問題、拉致など、大変な1年であったことを思い出します。

これらの問題は単発的なものではなく、長きに亘って継続されています。政官産学などを見ていると、主体性がなく時代の波に翻弄されており、従って進展が見られない状態が続いているように感じます。今年も、同じことを繰り返してしまうのでしょう。我々国民も声を上げるべきでしょうね

過去の技術開発

さて、私の関係する分野、エネルギー&環境についてです。2021年は、脱炭素、カーボンニュートラルがキーワードとして定着した感があります。CO2が気候変動の元凶である(そう思っていませんが)という前提の下、莫大な税金をつぎ込み、対策を取ろうとしています。2030年、2050年までの対策として、政治、経済、社会的な取り組みなどがありますが、脱炭素に係る技術開発も重要な対策の一つです。

脱炭素技術については、多くの技術が開発途上であり、2050年までに具体的な技術として検証され実用化されるのか、首を傾げます技術的に成立するものは多いと思いますが、それが実用化され、経済的にも成り立つのか、そこが甚だ疑問です。また、地政学的にも、現在の取り組みは問題が多いと思います。

かって、通産省のサンシャイン計画というものがありました。膨大な税金を使って未来志向の研究を行いました。最初の10年間は参画していました。開発期間の20年間で2,000億円以上の税金を使って基礎研究、設計、パイロット試験、実証試験、データ整理・解析、報告書作成などを行いました。結局、実用化されませんでした。こういう研究が多かったと聞いています。上手く行かなかった理由については、色々検討されたようですが、はっきりとした形で公開されていないようです。

日経新聞に、「現在、水素についての技術開発を行っているが、過去、国プロに失敗した理由を明らかにすることなく新たな技術開発を進めるのはどうなのか!」という趣旨のコラムが出ていたといわれました。脱炭素技術の開発が、その二の舞にならないことを祈るばかりです。

脱炭素技術、「緩和」か「適用」か?

脱炭素技術には、「緩和(Mitigation)」技術と「適応(Adaptation)」技術があります。「緩和」技術とは、CO2排出を減らそう、ネットゼロを実現しようという取り組みです。我が国が、どれほど税金やリソースを投入し、CO2を減らしても、世界に対する影響は微々たるものです。Apple-to-Appleの関係が成立していないので、気温も下がりません。費用対効果を実感できない。

一方、「適応」技術は、「緩和」よりもはるかに有益だと思われます。これは、費用対効果のはっきりした取り組みであるため、「適応」技術や対策にもっと焦点を合わせるべきです。例えば、大雨などに対しては治水対策、森林管理などを徹底的に行うという事です。費用対効果のはっきりしない「緩和」対策に、多くの焦点を合わせるべきではありません

「適応」はその価値を十分に証明していますが、「緩和」は非効率的で費用がかかることが判明しています。従って、気候サミット中に提唱されてきた、コロナ危機からの「グリーンリカバリー」(Build Back Better)は、「緩和」に重点を置いたものであるため、誤解を招くメッセージだと思われます。緩和への投資は最小限の利益しかもたらさず、貧困につながります。

まとめ

我が国はCO2削減に莫大な投資をしようとしています。因果関係のはっきりしない「緩和(Mitigation)」対策にお金をかけようとしています。その効果がほとんど見えないため、何のために我々の税金を投入するのか、甚だ疑問です。課題と対策の相関関係がはっきりしている「適用(Adaptation)」により重点を置くべきです。費用対効果も出やすいのです。

我が国には、貧困や教育、家庭の問題、また、安全保障など、直接的に被害を被る恐れのある事案が目白押しです。国土強靭化のために、私たちの税金を使うべきではないでしょうか。


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