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神保町を散歩して、読書家と本を交換したのなら

パンみみ日記から溢れ出してしまった1日を綴りたい。

休日に神保町へ。ランチにカレーが食べたくなり、「まんてん」の店前へ。すると、今日はお店が休みであることが発覚した。「ガーンッ!」という効果音が鳴り響く。

とぼとぼと周囲を歩いていると、「煮込み伝次」というお店が目に入った。店内のお姉さん店員と目が合い、そろそろと扉を開けるとすごく嬉しそうに「いらっしゃいませ!」と声をかけてくれた。

内装がとても綺麗。どうやら最近オープンしたお店らしい。ランチメニューは牛すじ煮込みの肉めしと、牛すじカレー。注文をすると、お兄さん店員が(笑みこぼれちゃってますよ)くらいニコニコとスープを注いでくれた。

お姉さんとお兄さんの接客は、「お店はじめちゃいました!」というワクワクがこちらに伝わってくるくらい素敵な表情だった。このお店、人気になるわ…(ダイヤの原石を見つけたプロデューサーの目)。

肉めしは味がしみしみで最高

その後はぶらぶらとしながら、喫茶店を探す。気になっていたお店は地下にあることが多く、店前まで来て「1人で入ってもいい店なのかな」という臆病が顔を出してエスケープ。

しばらく散策し、古瀬戸喫茶店へ。カウンターに腰を下ろし、ブレンド珈琲を注文。マダム店員に「カップをお選びになってお待ちください」と平然と言われる。え!選べるの!?とアワアワ。マダムがスルっと言葉を付け足す。

「こちらの棚から。カウンターに座った方のみお選びできます」

えええ何それ!この辺の喫茶店はそれが普通なんですか?そんなことないよね?どれにしちゃおう!ワクワクとカップたちを眺める。

個性豊かな仲間たち


「デカいカップ選んだほうがお得なのでは?」とドケチ族の思考がよぎってしまう。

1番好きな色を選んだ


おいしい珈琲を嗜んでいると、外国人のお客さんが2人入ってきた。メニューを翻訳アプリを使いながら解読しようとしている。

それを見たマダム店員が「こういうとき、ほんやくコンニャクがあれば1番いいのに…」とつぶやいていた。ぼくもそう思う。

その後は読書好きが集まるイベントへ。10人ほどで集まり、自己紹介。好きな作家や作品でなんとなく人となりがわかってしまう(気がする)。

その後は神保町を散策。古本屋を眺めたあと、大型書店へ。好きな本やオススメしたい本を各自1冊購入し、メンバー同士でランダムに交換するという企画なのだ。

本を選ぶのにめちゃめちゃ悩んだ。大衆受けしそうな作品でいくか、ニッチな推し本の普及に勤しむか。

朝井リョウの「正欲」とか辻村深月の「傲慢と善良」推したいけど、ちょっと重いかな。そもそも読んだことあるかも。新海誠の「言の葉の庭」の原作小説も個人的には読んでほしい。あ、この本屋にない。

悩んだ挙げ句、「自分にとって選書といえばこの本」というので浮かんだ作品を購入した。

その後は自由行動。共同書店であるPASSAGE by ALL REVIEWSへ。1つの棚につきそれぞれ店主がいて、好みの本が置いてある。

ここで「一文選書」というコーナーに目が留まった。本の中から特徴的な一文だけが引用されていて、タイトルと作者が隠れた状態で売っている。

たくさん置いてある本の中から、ビビッとくる一文を探し出した。めちゃめちゃ想像力を駆り立てられる…!

どんな生活環境の登場人物が出てくるんだろ…?


本好きメンバーたちの目の前で開封した。中身は「ランチのアッコちゃん」(柚木麻子)。「あぁ〜!読んだことあります!」などの声が。さすが読書家たち。あらすじを読んで(絶対好きなやつやん!)となった。ビタミン小説大好き。

その後は各自買った本の交換会。音楽が鳴っている間に隣の人へ本を渡すという、クリスマス交換会スタイル。

ぼくが選んだのは「お探し物は図書室まで」(青山美智子)。選書といえばこの本なのだ。ぼくがこの本に辿り着いたのも母の薦めだった(実家に帰ったら机に置いてあった)。そして、物語としても選書に絡んでいる。図書館司書の人が行う選書が、登場人物の人生に影響を与えるというストーリーなのだ。

受けとったメンバーにこの想いをお伝えすると、「楽しみ!早く読んでみたいです〜!」と喜んでくれた。選書って楽しい…!

ぼくが受けとったのは「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎)。全ての主人公が小学生である短編集。伊坂幸太郎が自身の学生時代にも想いを馳せて紡いだ作品とのこと。人からのオススメだと、普段選ばない作品に出会えるのがよい!

その後も好きな作家や作品トークで大いに盛り上がった。最近知ったブックサンタという活動についてぼくが布教すると、「素敵な活動ですね!」「私もやりたい!」とみんな大いに共感してくれた。

そこから「子どもにぜひ読んでほしい本」をテーマにおしゃべり。「かがみの孤城」や「西の魔女が死んだ」など作品名があがるたびに「あぁ〜!」とみんなの声が漏れる。読書家たちとのおしゃべり、楽しすぎる。

たくさんの読みたい本リストをお土産に、みんなとお別れした。本好きの人たちとは、はじめましてでも深い部分を曝け出していいような安心感がある。

最近、「本好き×おしゃべり」系のイベントをこよなく愛している。スポーツ系から文化系に急速的なモデルチェンジを果たしている、今日この頃。

「東京は冷たい街」という偏見があったけど、足を伸ばせば魅力的な人にどんどん会える場所だ。もっともっと、広がる世界を見に行こう。

本を読むことと話すことは、自分をちょっと遠いところへ連れて行ってくれる。

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