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パンみみ日記「バチェラー評議員会の発足」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


8月12日(土)
最近通っている喫茶店でモーニング。夫婦と青年バイトの3人でお店を営んでいる。さすがに顔を覚えられた気がする。

本を黙々と読んでいると、マスターが話しかけてきた。「お兄ちゃん、田舎には帰んないの?」

不意を突かれて驚いてしまったけれど、すぐに笑みが溢れる。「今日実家に帰るんですけど、同じ神奈川なので近いんです」

マスターはさらに声のトーンを上げて返してくれる。「そっかぁ〜、じゃあすぐ"ただいま"って感じだね〜」

何気ないやりとりだけど、心がホクッと熱を上げた。こっちに引越してから、初めてフランクに話せる店員さんに出会えたかもしれない。これは常連認定でいいよね?いいよね!

8月13日(日)
実家に泊まったあと、帰り道に親友のミネくんと合流。よく2人で行く図書館で待ち合わせる。

お互いに読書を楽しみつつ、休憩がてらランチや散歩を楽しんだ。2人で会うと毎回「どうやったら恋人ができるのか」を真剣に話し合っている。

いつもお互いにアドバイスをしあっているのだけど、どちらかに恋人ができてしまうと「気軽に声をかけてすぐに会う」という関係性が変わってしまう気がする。

恋人を求めているのに、どこかでそんな状況を危惧している2人。2人でお互いを応援すると同時に、足を引っ張り合っている。

「何も考えず適当に会える関係」って人生でとても貴重なんだよな。きっとそれが叶わなくなってから、より実感するんだと思う。彼の未来の恋人よ、もうちょっとだけ待っててくれ。なんてね。


8月14日(月)
関東に引っ越してきて、車の維持費は爆上がりしたのに乗る機会は激減という都会の不条理に苦しめられている。

愛車が家計に与えるダメージは大きいので、何度か手放すことを考えた。けれど思い入れのある愛車なのだ。ぼくは愛妻でも我が子でもなく、愛車を養うために働いている。そう決心し、車検店へ。

はじめてのお店でドキドキしていると、ネイルをキラキラとさせた店員さんが、笑顔で出迎えてくれた。感じのいいギャルである。

説明を受け、書類を記入して手続きが進んでいく。感じのいいギャルは「法定費用」を噛んで照れながら言い直したり、書類を落として「あぁ〜!」と笑みをこぼしていた。お茶目なギャルである。

1日車検なので、その場で点検は終了。お茶目ギャルに「次回の車検も予約していきますか?」と聞かれる。2年後なので「とりあえず不要です」と伝えるとギャルが「そうですか…」と寂しそうな表情をした。思わず予約した。ザルのように軽い男である。

車のキーを預かり、お店を後にする。お茶目ギャルが「お客様の座席カバー、とってもかわいいですね。あの柄、わたしすごく好きです」とつぶやく。

我が子を褒められたような気分で、わかりやすく照れてしまう。目のつけどころがいいギャルである。

ホクホクとした気持ちで、お別れを告げた。2年後もいるかな。


8月15日(火)
よさこいの度重なる練習により、スニーカーが力尽きてしまった。新たなる相棒を求め、靴屋へ。普段はABCマートで買うことが多いけど、最寄駅近くの個人店に初めて行ってみる。

店頭にスニーカーが置いてあり「1500円」の値札。物価、間違えてない?ここ日本だよね。

店内に入ると、老夫婦が2人。昔ながらのお店みたい。スニーカー売場には、2000円前後の商品が充実していた。この空間だけ令和じゃないのかな。

おばあちゃん店員がタイミングを見計らい、声をかけてくれる。「どれか履いてみっか?」

お言葉に甘え、試し履き。少しブカブカに感じたので、サイズを1つ下げる。おばあちゃんに履き心地を聞かれる。

「前後のサイズ感はいいんですけど、横がちょっと狭いかもです」
「大丈夫。この靴柔らかいから、履いてたら伸びるよ」

安心のコメントをもらったので購入。なんだこの説得力は。流れるような速度で買い物が終了した。

また来るね、おばあちゃん。


8月16日(水)
会社。隣の島の席で、ソメコ(おしゃべりな後輩)とキャリコさん(超仕事ができて気配りも完璧なのに、酔っ払うとおもしろくなっちゃう先輩)がおしゃべりしている。小耳に挟んでしまう。

「バチェラーの誰が残るか予想大会、そろそろやろう」「バネオさんにも連絡しますね。来週やりましょう」

…聞き捨てならない。実はぼくもバチェラーを見ているのだ。しかし自分から身を乗り出して「ぼくも入れてください!」というのはなんか違う。恥ずかしい。

なんでもない顔をして仕事を続けていると、ソメコが驚きの声を漏らした。「キャリコさん…!バネオさんのLINEから情報を入手しました。よさくさんも、バチェラー見てるって…!」

バレた。たしかに、バネオさんとバチェラーの話した。キャリコさんとソメコがこちらを見つめる。そして口々に言う。

「えー!なんで言わなかったの!」「灯台下暗しとは、このことです」「予想大会やるけど、くるよね?」「ローズ持ってきてもらってもいいですか?」

4人で感想兼予想大会を開催することになった。「バチェラー評議員会」というグループLINEを作成。各々言いたいことがたまっているようで、当日は白熱した議論が予想される。

1つの番組についてみんなで話す機会って減ったけど、やっぱワクワクするね。

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