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パンみみ日記「日焼けはコミュニケーションツールのはず」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。



6月23日(金)
会社。先輩キサクさんの、転職前の最終出社日。職場でお別れ会が催される。

キサクさんは別の部署で業務上全く関わりはないけど、見ず知らずのぼくをお昼に誘ってくれたり、飲み会のメンバーに入れてくれたり、ぼくの営業事例を褒めてくれたり、グイグイ関わってくれた。

話した数自体はとても少ないけれど、アニキ的な存在がいなくなるのがとても悲しい。きっとあの人が残っていたら、「この小さな世界が変わる」という予感がしていた。

キサクさんはお別れの言葉を、いつもと同じ明るいノリで話し続ける。

「今日で会社までの道のりが最後なんで、しみじみするかな〜と思って歩いてたんですよね。結果、『あちいな』って感じたくらいでした」

あちいよな。そんなもんかい。まぁ、ちょうど半年前にぼくも前の会社を辞めたけれど、最終日って全く実感湧かなかったなぁ。

他部署なのでキサクさんの実績などは知らなかったけれど、ウチのある商品を1番売っているスーパー営業マンだということが発覚した。

結果残して去っていくってカッコいいな…!そう思っていたら、背中を叩かれた。

「よさくくん!これからも頑張れよ!」

キサクさんは颯爽とオフィスを出て行った。きっといつか、あなたみたいになれますように。


6月24日(土)
よさこいの練習。練習をする公園までチャリで行ける距離だと判明したので、レッツサイクリング。はじめての道のりをシャコシャコ漕ぐのは楽しい。

しかし、坂道も多く練習場所に着く頃にはすっかり汗ばんでいた。とんだウォーミングアップだぜ。

お祭りが近づいてきたので、練習も本格化してきた。「祭りが近づいてきた」というフレーズが大好きだ。こんなにわかりやすくワクワクできる言葉がある?

しっかり腰を落としてキープするトレーニングをしたり、同じ動きをカウントに合わせて何度も何度も繰り返したり。

太陽に見下ろされている中、数々のメニューをこなしていく。しんどいけど、そばにいる人と「暑くてしにそう〜」とか「明日筋肉痛やばいね」って声をかけ合う瞬間が、たまらなく好きだ。

休憩時間にコンビニへアイスを買いに行くのも、塩分チャージをみんなでシェアするのも。夏がギュッとこの瞬間につまっている心地がする。

練習が終わった後は、重い足をペダルに踏みしめて帰路についた。坂道で風になだめられながら思う。まるで、夏休みみたい。


6月25日(日)
今日もよさこいの練習。昨日参加していたメンバーと「筋肉痛で絶望の起床やったな」と痛みシェアの会を開催。

今日の練習もガッツリとメニューをこなしていく。ポイントを確認して、カウントで揃えて、曲で合わせる。動画を撮って、修正点を共有して、もう一度。

なぜぼくがよさこいを好きなのかを考えてみた。やっぱり「上手くなる過程が目に見える」からなんだろうなと思う。

上手い人に教えてもらって意識したポイントは、すぐ動画に反映する。改善点を見つけて試行錯誤を繰り返すプロセスが可視化できることに、やりがいを感じるんだろうな。

最近は色んな人にアドバイスをもらえて、メキメキと上達している実感がある。お祭りまでに、「やるべきことはやりきった」と思って望みたい。

いい年してバカみたいだけど、とことん夢中になれるものに、ここでも出会えてよかった。


6月26日(月)
会社。土日の練習でかなり日焼けした。「お!よさくさん焼けましたね〜!」と言われるかな〜と思ったけど、誰にも言われなかった。

「髪切ったね」と言われなかったときよりショック。かるく落ち込んだ。

日焼けはコミュニケーションツールだと思っている。


6月28日(水)
ニキビができた。毎年この季節になるとできてしまう。夏の風物詩。いつもなら「おい!なんで出てきてんねん!」とニキビを責めてしまう。けれど、ニキビ側からしたら「俺に文句言うな!」ってなるよね。お門違いだね。

そんなわけで、受け入れるスタンスで接してみることにした。「ニキビくん、ぼくの顔へようこそ。キミとは一心同体だし、しばらく生活を共にすることになる。楽しい夏の思い出を作ろう。けど、長居はしないでほしい」。

最後に本音が出てしまった。留学生受け入れるけど、めっちゃビジネスライクなホストファミリーみたいになってしまった。

ぼくとNIKIBIくんの生活が始まる。


6月29日(木)
営業先へ。このクライアントは、ぼくが転職して初めて同行に連れていってもらったところ。「ただの見学」という目的で先輩と一緒に行ったけど、緊張して子鹿のように座っていた。

「なんか頼りないヤツおるな」とでも思われただろう。しかしその後、ぼくがその担当のクライアントを引き継ぎ、問い合わせ対応を重ねてきた。

そして今日、久々に対面での打ち合わせ機会がやってきた。「半年前のぼくとは一味違うぜ」と自信を半ば強引にまとい向かった。

お客様に、準備してきた資料と考えてきた言葉をぶつけていく。この6ヶ月間で、着実に学んできた内容をストーリーにのせる。

ご案内した情報に興味を持ってもらい、打ち合わせはとても和やかな雰囲気で進んでいった。自分の集めた情報が、「目の前の人の役に立っている」という手応えを感じた。

オフィスを出る。転職して、明日で半年が経つ。環境を変えて、自分の非力さや容量の悪さを嫌というほど思い知った。けれど、着実に知識を蓄えて努力できる人間だとも知った。

これまでの道を振り返ると、意外と遠くまで来ていたことに気がつく。誰かの役に立つことが仕事なんだって、当たり前のことに胸をじんわりと温められた。

もっともっと遠くに行こう。ビルたちを背中に、力強く一歩を踏み出した。

明日は、新しい自分の折り返し地点。


編集後記:6月28日と29日が別人。

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