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パンみみ日記「お姫様抱っこしてもらってもいいですか?」


好きなnoterさんたちに憧れて、日記を始めました。いつもは明確に書きたいことが浮かばないと文章にできない。それなりに中身がないと投稿できない。



けれど、日々のできごとをかき集めたのなら。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。名付けて「パンみみ日記」。


12月3日(土)
よさこいの練習終わり。チームメンバーでファミレスへ。高校生の部活終わりのように、なんでもない話をだらだらとおしゃべり。

「最近やったガチャガチャ」の話に。ぼくは「木彫り熊vs木彫り鮭」というクマとサケが色んな構図で戦っているものだったのに対し、メンバーは「ナカムラくん」が良かったとのこと。

「ナカムラくん」ってキャラ知らないな。というか、斬新なネーミングセンスすぎるだろ。と思っていると、「絶対知ってるよ」との追い討ちが。

まさか…と思いながらスマホで検索してみる。

知ってた〜!

懐かしすぎて、脳みそのどこかしらが激しく光った。この子「ナカムラくん」って言うんだ…!小学校でTシャツ着てる子いたわ…!

世界にはまだ知らないことと、実は知っていることで溢れている。

12月4日(日)
会社の後輩であるツキコが退院した。フットサルで半月板を損傷し、手術していたのだ。1ヶ月ぶりくらいの再会。

会社の若手たちで、快気祝いの飲み会をした。ツキコはとても楽しそうで、変わらない。よかったよかった。

お店を出て、それぞれの帰路に。手術後なのでツキコに「足大丈夫?ちゃんと帰れそう?」と声をかける。すると、ツキコが振り向きざまにイタズラっぽく言葉を置いていく。

「ちょっとダメそうなので、お姫様抱っこしてもらってもいいですか?」

(キャーーー!!!!)

「お姫様抱っこ」という湧き立つコメントに、よさくの心の中の給湯室でたむろしているOLたちが騒ぎ出す。

(ねぇ聞いた!?お姫様抱っこだってぇーー!!)

完全に冗談のノリなんだけど、照れてしまう。少し考えて、こう返した。

「お姫様抱っこはダメだけど、組体操のサボテンならいいよ」

サボテン

恥ずかしさが裏目に出て、謎の回答をしてしまった。こういうとこです。誰かベストアンサーを教えてください。

「1番膝にくるやつじゃないですか!もう!」

ツキコはケラケラと笑いながら、帰路についた。早く元気になってな。


12月8日(木)
会社。休憩スペースで、ノミコ(飲み好きな後輩)がお昼を食べていた。ここまではよく見る光景。

しかし、手元にはお弁当箱が。手づくりではないか!いつも買ってきたものを食べていたので、思わず声をかける。

「ノミコ!手づくりじゃん!すごい!!」

「社会人生活4年目にして、初めてお弁当作りました。ハリキリすぎて、昨日6品も作っちゃいました」

ロケットスタートすぎるよ。何が君をそうさせたんだ。すごすぎるよ。

嬉しそうにおかずを1つ1つ頬張っているのを見て、ほっこりした。手づくりっていいね。

12月12日(月)
仕事終わり。会社を出ようとすると、ノミコもさっき終わったようで、待っていてくれた。自然と駅の方に一緒に歩き出す。

「よさくさん、飲み行きません?」

平日にあんまりお酒は入れたくないので、いつもなら断るか、ごはんにする。けれど、もうこの子と一緒にいれるのも少しなんだよな。

「行こっか!なに食べよっかー!」

「えっ!えっ!?絶対断られると思ったんですけど。待ってる時から諦めてたんですけど。やったー!!えっ、嘘じゃないですよね?」

どんだけノリの悪いヤツだと思われてたんだよ。

この子はぼくが転職することをまだ知らない。飲みながらのおしゃべりが楽しくなればなるほど、切なさが深いところに落ちていく。

仕事が変わっても、ここにいられればいいのに。


12月13日(火)
会社。転職に伴い、12月26日が最終出社となる。でも、色んな事情で、今まで周りには辞めることを口止めされていた。

そして今日、上司から職場のみんなに、ぼくが退職することが伝えられた。

みんな晴天の霹靂レベルの驚きっぷりだった。「嘘だろ…!」って顔に書いてあった。

自分で言うのもなんだが、よさくはこの会社をめちゃくちゃ「辞めなさそう」なのである。

真面目にやってるし、会社のことを好きそうだし、「あの部署に行きたい」なんて言ってたし。

びっくりさせてごめんね。人には人の乳酸菌、よさくにはよさくのやりたいことがあるんです。

ツキコがトコトコと近づいてきた。仲良くしていた後輩だ。驚いたよね。思うこと色々あるよね。

「東京行っても、会ってくれますか?」
「当たり前じゃん」
「今度住むマンション、何て名前なんですか?」「?」

ツキコは、今ぼくが住んでいるマンションを「黄色い家」とからかっていて、マンション名を何度も呼んでいた。何ならぼくのことをたまにマンション名で呼んでた。先輩を居住地で呼ぶな。

ぼくのアイデンティティが大きく変わってしまうことに、戸惑っているのだろう。これから何て呼んだらいいのか、わからないのだろう。

いや、もっと聞きたいこと他にあるだろ。

不思議な後輩たち含め、この職場の人たちが好きすぎるんだ。残り少ない日々を噛みしめていく。思い出にしていく。この人たちと働いていたことを、忘れないように。

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