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愛情友情リミットレス漫画、NANA。

NANAを全巻買って読んだ。
この作品は、ふたりのナナが出会ってつよく結びついていく話だ。

ふたりのナナ以外の関係も濃度と密度激重でしっかり描写されているのでキラキラ青春少女漫画だと思って読み始めると痛い目をみる。読んだだけで朝からこってりピザと激甘アイスクリームを食べたかのような胃もたれをおこす高カロリー漫画だ。

しかし、人と人とのむすびつきの強さ怖さ恐ろしさだけでなく、愛しさ幸せ思いやりまで学べる素敵作品なのでまだ読んだことがない方にはぜひおすすめしたい。できればメンタルが整ってる時に…!!

以下は感想です。

タクミについて

まずはわたしの推しキャラタクミについて語りたい。

彼は女遊びが激しく、ナナとの間に子供が出来たあともふつ〜に外で他の女の子と遊ぶしナナ以外にもう1人どうしようもないほどに大切な女の子がいるような男なんだが、仕事のためならプライベートも自分の気持ちも迷わず犠牲にするような覚悟の強さが魅力的なキャラだと思う。

前評判で「タクミはクズ!!!!!」と聞いていたけど、大事なものを守りたい、その意志の強さと行動力だけは作中の誰にも負けないし、健気な人だと思う。

“誰かと付き合い始めたらどんなに信頼し合った関係だとしても、他の異性との関係を諦めなければいけないのか”

“唯一で1番好きな相手は必ず達成できるのか”

タクミはそういう疑問に対してひとつのアンサーをくれるキャラだ。

世では付き合ったり結婚したら他の異性とは手を切るか関係をセーブするのが一般的という見方があるかもしれない。実際、わたしの周りでもそういう行動が「常識的」で「誠実」とされているような気がする。

ただ、わたしはそういう見方に対して前々から「本当にそうかな?」と思っていて、なくしたくない関係を守るためなら切り捨てた関係に対しては冷酷で非誠実な対応をしてもいいのかな?と思うし、同時にその悲しみや傷つけた事実に対してしかたないね〜と片付けていいものなんだろうか?とも思うんだよね。

これは別に恋愛だけでなくていろいろな人間関係にも同じことが言える。でも、そんなことを挙げていったらキリがない。

生きていればそんな葛藤がたくさんある中で、自分の大事な人全員失いたくないのがタクミなんですよね。

作中でタクミは「ほんとうに好きなのはナナだけだ」と言いながら「俺にとっておまえ(レイラ)は誰よりも特別な存在なんだ」と言っている。

ナナだけが好きなのになんでレイラが誰よりも特別なんだよ!って感じだが、たぶん言葉通りなんだよね。わたしは大事な何かを守るためにタクミくらい身体を張れる気がしないし、真似しようと思ってもできない。

ふつうの人が誰もできないような、他の人だったら諦めてしまいそうなところでも諦めないのがタクミなのだ。わたしは彼のそういう姿がとてもかっこいいと思うし、応援したくなる。

まあ、「そんなの非誠実だ!」「責任感がない!」「子供じみている!」と言われればそれまでなんだけどさ。笑

でもやっぱりわたしはタクミのことをかっこいいと思うよ。

ヤスについて

ヤスはみんなのまとめ役兼相談役で、いつも優しくみんなを見守る兄のような存在だ。温厚な彼がたまに怒っているととてもびっくりするんだけど、彼が感情を露わにするときは決まって誰かのためなので、思いやりに満ちた人だと思う。

わたしには大好きなヤスのセリフがあり、それは「おれが大事なのはレンなんだ おれたちの関係なんてどーなったっていいんだ」である。

このセリフを初めて見た時、人を大事だと思う時、わたしはその人自身のことだけでなく、自分とその人の関係もひっくるめて大事だと思っているのだと気付かされた。

わたしは大事な人となるべくなら一緒にいたいし、これから先もずっとそうであればいいと思っているから、関係性も大事だし、そこには多少の自己愛が含まれている。ヤスのそれにはわたしのような自己愛は含まれていないんじゃないか。

ヤスはレンを大事に思う気持ちと、レンと自分の関係を切り離して考えていて、レンが幸せなら自分との関係が損なわれたとしてもかまわないとたぶん本気で思っている。ヤスは大事なものがはっきりしているのでその潔さがかっこいいキャラだと思う。

ただ、その後のヤスのセリフに続くように、「それが冷たく感じる人もいるんだろうな」というのも同時にわかってしまう。

自分を大事に思ってくれているのがわかっても、それが自分が思うような関係性にむすびつかなければもどかしさに繋がるしね。

これ、物語ではよく出てくる概念だが、いまいち理解されなかったり、冷淡に思われたりしがちな概念なのが悲しいところだ。

でも、最近公開されたONE PIECE FILM REDでシャンクスがウタに対して抱いていた感情がわりとヤスの言ってることに近いように感じたので、あの映画を機にまた「大事なひとは大事だが、その人を守るためなら自分と相手の関係性はどうなってもいいよ。(だってどうなっても大事なことに変わりはないからね)」という概念の素敵さが世に広まればいいと思う。

…と、まだ二人のことしか話してないのに2000字を超えてしまったのでもうここらへんでやめておくが、NANAにはこのほかにも魅力的なキャラがたくさんいるし、一度読むだけでは楽しみきれないほど楽しい漫画なので、最近面白い漫画読んでないな〜って方でNANA未読の方がいれば、ぜひ読んでみてほしい。

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