見出し画像

【第一の人生】11の章:移籍した店は不思議な世界だった

*登場人物*
・アンナ←萬里の源氏名
・マスター←L.Sという飲食店のオーナー・萬里の雇い主
・ママ←萬里が入店した時にいたママ(オタフクに似ている・口が悪い)
・社長←夜の街一の繁盛店を経営する社長(L.Sとは関係ないがマスターと仲良し)


移籍した新しい店(L.S)には
カウンター10席と
5つのボックス席があり、
その5番目のボックス席の後ろには
立派な『曼陀羅』が飾られていた、

アンナ(萬里)はなんだか美しい絵だなあ、
という感想を持った程度。

働くうちに気付いた事、
ソファの下に灰が敷いてあったり
あちこちの柱や梁にピラミッドの形をした
シールが貼ってある。
(↑ソファの下、炭じゃないんですよ、本当にサラサラの灰なんです!)

初めて見た光景を不思議に思い
マスターに聞いてみた、

マス「お店が守られて繁盛するようにお世話になってる霊能者のお坊さんにお祓いしてもらって結界を張ってもらってる、
ソファーの下の灰は空間と座った人の浄化用で、
曼陀羅も客やエネルギーを集めるありがたいものなんだ。」
と、

萬里の当時の知識では、
結界は外界からのマイナスなものや霊をシャットアウト
するものだと思っていた。

それはテレビや漫画で
なんとなく聞いたことがある。

『お店ってこれくらいのことしとかないと
いけないもんなんだな。』

『ん?しかし、それなのになぜにこの店は閑古鳥?』

目的としたことと
お店の繁盛具合が比例していない、
色々と矛盾点はあったが
萬里は特に何も分からないので
快適に仕事さえできればいいのだ。

ある日マスターが
マス「アンナ、うちの店俺の死んだ親父が、
たまに飲みに来てるんで、
気が付いた時は、
水割りをカウンターに出してあげといて!」

アンナ(萬里)「は?何言ってんの?」

ママ「あ〜、あのね私わりと感じる方なんで、
時々気配がするから、お坊さんに聞いてみたらね、
マスターの亡くなられたお父さんが、
時々息子の様子見がてら
飲みに来てるらしいんよ。」

アンナ「は、はぁ。そうなんですね・・・。
気付いたら出しといて。って言われても、
気付くかどうかは分かんないんで、
とりあえず毎日出しときますわ。」

『あれ?結界張ってるのに
幽霊って入って来れるんだ?!』

しかし
この店に来てから
やけにリアルな人の気配や
体の一部が見えた(ような気がした)り、
行った覚えもない所の情景や
会ったこともない顔の人が
突然頭に浮かぶようになり、
頭の中で自分の思考とは違う言葉が連らなることも頻繁に起こるようになった。

でも子供の時から
「気のせいよ、夢見ただけよ。」と
言われて育った萬里は、
記憶にないことや知らない人の顔を頭に浮かべ、
同時に二つの事を考える事のできる想像力の豊かな人間だ
と思っていた。

そして数ヵ月後
閑古鳥の鳴いていたこの店は、
月200万~300万
いい時期には
月500~600万売り上げを叩き出す店になり

この夜の街の
他店舗のオーナー(社長)さん
マスターさん方々とも付き合いが増えて、
彼らはアンナの働きっぷりを
高く評価してくれてた。

この夜の街で
当時ブームになっていたかなりの繁盛店の社長も、
アンナに会いに
よく飲みに来てくれていた。
マスターにもちゃんと紹介して、
更に売上UPのコツや
いろんな事を学んでくれたらいいなぁ、と。

しばらくすると社長とマスターは
地元が同じだったらしく気が合ったのか、
よく連むようになっていた。

商売繁盛のコツをしっかり
伝授してもらいたいもんだ。

L.S(←店舗名)の現ママは口が悪くて、
お世辞にも綺麗とは言えない人で、
こじんまりした店だったからママとして成立してたんだけど、
アンナやアンナと一緒に移籍した女の子たちが抱えるお客さん達はみんな

「あのママは付けないで!」と揃って口にする。

このままだと、また確実に客は減っていくだろうなぁ。
て感じの雰囲気。

ある日、
相手構わず自分の調子で悪態ついて接客をしていたママは、
その繁盛店の社長を怒らせてしまった。

その後
アンナの知らない間に社長とマスター、
ママとの話し合いが行われていたみたいで、

突然
繁盛店の社長から告げられた。

社長「アンナ!お前がこの店のママになれ!」

アンナ「は?ママいるじゃん!」

社長「あいつは降格させる!それが嫌なら辞めてもらう。」

アンナ「いや、ちょっと待って。社長この店関係ないし、そんな権限ないやろ・・・。」

社長「俺が言えばマスターは必ず従う。これについてはもう話は付いとる。」

(社長はわりと暴君タイプ)

アンナ「え?ママは何て?!なんか乗っ取りみたいで嫌よ!そんな状況で一緒に仕事なんかできんやろうし!かわいそうやん!」

社長「いや、そこんところももう本人と話しとる。考える猶予も与えとる。
あんな仕事ぶりで、ママやっていけるような甘い世界じゃないぞ。」

あ、そういえば今日ママ来てないわ・・・。

アンナ「いや、そんな大事な事私抜きで話せんといて!マスターと話してから決めるけん、社長は待っといて!」

という事でマスターと個人面談。

結果、マスターの考え。
「大変な時期を支えて、お店を存続させるために一緒に力合わせてやってきたママに対し、そんな簡単に切り捨てることはできない。」

そりゃそうですよ。ポンと入って来た他所モンの女に
あっさり、権限奪われたら誰だって嫌でしょ。

アンナ「なんで、そんなふうに社長に言わんかったのよ!?」

マス「いや、逆らってまた怒らせるのもまずいし。今まで近くでママを見てきて自分が思ってた事を、少しの期間しかママを見てない社長がズバリ言うてたし、経営者として成功した社長が指摘するって事はよほどの問題やな〜。とも思った。」

アンナ「んじゃ、最終的に情を取るか?売上を取るか?ってことになるよね?」

マス「どうしたらいいもんか・・・。」

アンナ「この件で社長とマスターの関係を悪くするのもいかんしね。
ママはママでお客さん持ってるし、アンナがこの店に来るまでの間のお客さんはママの方がよく知ってるやん?
だから、ママの方から何か動きを示すまでは
ママはママのままで、アンナもママで二人のママがいる店ってのはダメ?」

マス「それで、社長は納得するかいな・・・。」

アンナ「そもそも、社長は客としてママの対応に怒っただけの話やし、人事には関係ないやん。これに関しては私が社長に言うから大丈夫!」

ってことで、
前ママが居ながらも
アンナはママに昇格した・・・。

25歳になったばかりの頃、突然の出世劇。

よろしければサポートをよろしくお願いいたします! 頂戴したサポートは祈祷師活動のエネルギー♪( ´θ`)ノ 賛同いただいたあなたに、ご加護をお祈りさせていただきます。