マガジンのカバー画像

途上国ベンチャーで働いてみた(バングラデシュ編)

22
この記事は、2019-2021年の間にバングラデシュ(ダッカ市)にてとあるヘルスケアベンチャー事業の立ち上げに奮闘した30代女性の記録として書かれたものです。 (すべての内容は個…
運営しているクリエイター

#MA

途上国ベンチャーで働いてみた:検査室、武装警備に至る

途上国ベンチャーで働いてみた:検査室、武装警備に至る

「なにがあったんですか」

病院側のマネジャー層と日本人経営メンバーがかけつけてくれた時、殴り込みをかけてきた5-6人グループのリーダーはあわや医師Aを殴らんとするばかりの姿勢で、私の執務スペースには殺気立った不穏な空気が満ちていた。
殴りこんできた側は猛烈な勢いで自身の行動の正当性を口角泡飛ばして主張し始めたが、医師Aは最後まで冷静さを維持しながら静かに主張した。
「この人たちが急に押しかけてき

もっとみる
途上国ベンチャーで働いてみた:妨害工作と暴力事件

途上国ベンチャーで働いてみた:妨害工作と暴力事件

途上国の、それも職場で、政治抗争からの暴力事件に巻き込まれた、という経験は生涯に一度であってほしいと思う。

でも、きっと直接的な当事者ではなかった私以上に、「日本人がバングラデシュのためになにか成そうというのであれば協力するよ」と、さまざまなリスクを負って仲間になってくれた、検査室のマネジメントを引き受けてくれた医師にとって、公衆の面前で拳を振り上げられ暴言を浴びせられたこの事件は、とても自尊心

もっとみる
途上国ベンチャーで働いてみた:出逢いと政治抗争の狭間

途上国ベンチャーで働いてみた:出逢いと政治抗争の狭間

2020年中頃から、バングラ現地の病院内検査事業を承継し、病院リニューアルオープンに合わせて院内検査室を刷新するプロジェクトが本格的に動き始めた。前回の記事で書いたMOUに基づく準備段階から、コロナ騒ぎで建設作業が滞った半年近くを経て、ようやくといった感覚だった。

(その間、PCR検査室の立ち上げや新規顧客開拓に奔走していて、新しいプロジェクトどころではなかったので、工事が滞っていたのはむしろあ

もっとみる
途上国ベンチャーで働いてみた:M&Aプロジェクトはじまる

途上国ベンチャーで働いてみた:M&Aプロジェクトはじまる

2019年にバングラデシュに渡り訪問健診事業の立ち上げに関わり始めたころから、すでにとある現地病院の開設プロジェクトと当該病院における院内臨床検査室の受託・運用を請け負う計画が持ち上がっていることは聞いていた。

病院側経営陣との間で正式な契約交渉に決着がついていない中、病院から提示される開設スケジュールと現場工事の進捗状況には大きな乖離があり、いったいいつからこちらの資本を投入してプロジェクトに

もっとみる