私たちが”恐怖”を感じている時、身体の中で起きていること【ホラーの科学】
昔から疑問でした
なぜ、人間は”恐怖”なんていう感情を持ってるのか?
なぜ、実際には起こっていないこと(映画、ゲームなど)で”恐怖”を感じることができるのか?
なぜ、わざわざお金を払ってまで”恐怖”を感じたがるのか?
そもそも、”恐怖”とはなんなのか
子供の頃から、怖がりだった私は、これらの問いに決着をつけたいと思って、とある本を購入しました
今日はこちらの本を参考にして「恐怖とは」「ホラーとは」という問いに、答えたいと思います。
なお、上記の本は”哲学”や”脳科学”をベースにしているため、難しい概念が多いのですが、本記事では、なるべくシンプルに紹介したい思います。
怖い画像を貼ることもNGとしますので、安心してご覧ください。
※参考にしているだけであり、本の内容を代弁するものではありませんので、ご了承ください。
「恐怖」はなんのため?
あなたはどんな時に”恐怖”を感じたことがありますか?
まず考えたいのは、恐怖ってなんのためにあるのか?ということです。
人間は恐怖を感じると、冷静さを失います。
ハァハァと息は荒くなり 手は震えて上手く動かず 考えなしに逃げ出したり。
こうみると思います、そもそも”恐怖”って必要なの?
では、もし”恐怖”がなかったらどうなるのでしょうか?
少し考えてみましょう。
例えば隣の家の猛犬に襲われる時
我々は”経験”や”記憶”によって恐怖を感じ咄嗟に逃げ出します。
恐怖のもっともシンプルな順序は、こんな感じです。
【脅威の出現】→【脅威の認知】→【恐怖感覚】→【恐怖行動】
これはわかりますね、とても自然な流れです。
では”恐怖”がない世界ではどうなるでしょう。
これは少し考えづらいです、恐怖というのは生まれ時から当たり前にあるものですから。
人間は生まれた時から持っているものを捉えることが苦手です。
ですがしっかり意味があります。
恐怖は脅威に対する危険信号として、働きます。
この危険信号が私たち人間が生きていく過程で役に立っているのです。
恐怖という危険信号がなくなったとき、どうなるのでしょうか?
私たちは「分析」したり「思考」することによって脅威を認知することになります。
危険信号がなければ、逃げるための理由を見つけるのに時間がかかります。
つまり恐怖が必要な理由は、恐怖という反射的な危険信号が「生存」に必要だったから、というもの。
それが、冷静な判断を欠いたり、非合理的な行動に繋がるのは不適切なタイミングで恐怖を感じるため
つまりは「適切な恐怖」と「不適切な恐怖」があるということ。
ただ邪魔者なわけではないのです。
恐怖の目的は「生き延びる事」です。
ここからもう少し考えを広げていきましょう。
「生き延びる」を阻害してくるかも知れない存在
恐怖の目的が「生存」であることが分かれば、人間がなにに恐怖を抱いているか見えてきそうですね。
ホラー作品などに出てくる、「怖いもの」を思い返してみてください。
今、画像検索で「怖い」と調べてみてもいいでしょう(本当に怖いものが出るので注意してください。)
どれもこれも「害をもたらす」「何をしてくるかわからない」「痛み」「不安定」「非日常感」といった要素が含まれてないでしょうか?
人間は「異常」「異形」といったものに本能的に嫌悪感を抱くようにできています。
原始時代の頃から「異」というのは危険なものの象徴です。
「異なるもの」だから、”仲間”ではないですし。
仲間ではないなら「敵」かもしれない・・
エイリアン、貞子、ゾンビといった「異形」のものから
ジェイソン、シザーマンといった「異常(サイコパス)」なものも
ホラー映画やゲームでおなじみのキャラクターはすべてそう言った、「異」を抱えています。
抱えた分だけ恐怖は増幅します。
わからない、理解できない、ということが恐怖においては重要になります
「復讐を目的にした殺人犯」「なぜか殺しにくる殺人犯」
では圧倒的に後者の方が怖いです。
ちなみに、ゴキブリなど”虫”に嫌悪感を抱く理由も同じ理由だと言われています。
やつらも極端に異形ですからね・・
”恐怖”するとき、体の中で起きていることとは
私たちが「生存」を阻害する(かもしれない)ものに対して恐怖を覚えるということがよりわかってきました。
次はその恐怖というシステムそのものについて触れます。
恐怖したとき、私たちの身体にはなにが起きてるのでしょうか?
恐怖時に感じるあの、「ドキドキ」とか「血の気が引く感じ」とか「背筋が凍る感じ」と言われる”怖い感じ”っていうのはなんなのでしょうか?
これは「闘争/逃避反応」と呼ばれる現象で説明されます
「闘争/逃避反応」とは、目の前に現れた「脅威」に対して、「逃げるか」「立ち向かうか」となったときの身体の一連の変化のことで
この一連の変化が「汗をかいたり」「ドキドキしたり」「震えたり」な怖い感じ、につながっていく
その時、身体の中では、様々なことが行われています。
脅威を認識した時、逃げるにせよ戦うにせよ、これから大量のエネルギーを消費する、ということを体は認識します。
そのエネルギーを確保するために、体内に貯蓄されていた”脂肪”が分解され、血糖値が上昇し。
身体の代謝が上昇し、心拍数・血圧・呼吸数が上昇
この時に「ドキドキしたり」「ハァハァ」と息が荒くなります
顔は赤くなり、筋肉は緊張して「ブルブル」と震え
立毛筋が収縮すると鳥肌が立ち、動くのに必要な部分に血液が回されるので、血の気が引きます。
大雑把に説明しましたが、これが恐怖したときに訪れる「怖い感じ」の正体です。
こうすることで筋肉がより早く動くようになり、目からの情報が増大し、末梢神経の収縮によって、出血時の出血量を抑えたりもする。
この高度な恐怖システムが、私たち一人ひとりに組み込まれています。
恐怖の面白い現象
・人間が恐怖を感じるのは「生き延びるため」「危害から逃れるため」
・恐怖の「怖い感じ」は「闘争/逃避反応」による一連の流れにより起きる。
ここまで聞いて、恐怖に対するイメージは何か変わりましたか?
少し怖がってる自分を一歩引いて見ることができるようになったのではないでしょうか。
「今、エネルギーを確保するために脂肪が分解され、血糖値が上昇し、心拍数や血圧が上がってるわ」
とか言えますね。
ここからは、もう一つ恐怖の面白い現象に触れます
恐怖というのは知れば知るほど不思議な感情であることが、わかると思います。
恐怖は「情動」の一種です。
情動とは「悲しみ」や「喜び」も含まれる感情の急激な動きのこと
怒り、恐れ、喜び、悲しみなど、比較的急速に引き起こされた一時的で急激な感情の動きのこと
恐怖を含め、情動というのはとても曖昧なものです
例えば、”痛い”などの”感覚”は「どこが痛い?」と聞かれても、比較的はっきりと答えられるのですが。
「身体のどこが怖い?」と聞かれると、あまりはっきりとしません
ドキドキという感じや、血の気の引く感じ、いうならば全身に怖い感じがあるのです。
情動って曖昧なもの。
「吊り橋効果」というものをご存知でしょうか?
これは人間が自分の感じている情動を勘違いすることがあるということを表した有名な実験です。
「吊り橋効果」については知ってる人も多いかと思いますが。
かなり省いて説明しますと
男子学生に 吊り橋又は固定橋 を渡らせて、橋の途中で女子学生と出会わせたあと、橋の種類によって好意に変動があるのか、というのを調べたユニークな実験です。
結果的には”固定橋”を渡った男子学生よりも、”吊り橋”を渡った男子学生の方が女子学生に関心をもち、実験の後からアプローチをかける確率が高かったそうです。
この実験結果に対して、学者たちはこう説明しました。
不安定な吊り橋を渡る際に生じた緊張や恐怖といった身体的反応(ドキドキ)を恋愛感情の感覚と勘違いしたのだ、と
とても、面白い現象です
つまり、人は体に現れるドキドキ(心拍数の増加)などの感覚に対して、後から意味づけを行うということがわかります。
何にドキドキしてる?は後から特定する
直感的には、何か怖いもの見つけてから、ドキドキするという順番だと思いますよね。
それは、それとして正しいのですが。
でもドキドキした後にドキドキの原因を再度特定するという現象もあるのです。
こう言った現象を知ることにより、我々の身体の中で起こっていること、その全体像が見えてきますね。
なぜフィクションを怖がれる?
では恐怖そのものについては、わかってきたところで、恐怖の謎はまだ続きます。
それは映画やゲームなどのホラー作品で起こる現象。
なぜ、我々は虚構(フィクション)に対しても”恐怖”を抱くことができるのか?
目の前に脅威が現れなくても、「闘争/逃避反応」が起きるのか。
ゴジラやらライオンやらなんであれ、脅威が現れた時、人々は逃げ惑い、時に立ち向かいます。
これこそ「恐怖」のあるべき姿です。
でも映画館では同じことは起きません。
同じことが起きれば、映画館の人々も一斉に映画館を飛び出すはずです。
この違いってなんなのでしょうか?
さらに、なぜ恐怖というのは不快であるはずなのに。人間は恐怖を「楽しむ」ことができるのでしょうか?
ということで、次回の記事は「恐怖がなぜ娯楽になるのか」というテーマで記事を書きたいと思います。
また、今回参考にした本は今日話したことより、もっともっと深い議論で、”恐怖”を探究しています。
この記事で少し世界観を知ったあとで、読むとよりわかりやすいかも知れません。
興味ある方は、是非とも、その目で”恐怖の哲学”を楽しんでみてください。
では、次回の記事で会いましょう。
【次の記事】
https://note.com/yorimiti_gaku/n/na37a42c54834
サポートいただきましたら、記事のための参考書の購入に充てさせていただきます。