書き方の前に、読み方を身につけよう
先日、社内で行われた新人研修に参加しました。講師はシノで、わたしはお手伝いとして。
研修では、実際の業務にも活かせるようなワークショップと、わかりやすいメールの書き方について話しました。
最後に「何か質問はありますか?」と新人さんに聞くと、1人の子が尋ねました。
「わかりやすい文章を書くためのトレーニング方法って何かありますか?」
聞かれて少し考えました。メールの書き方について話がありましたが、書き方だけを教わっても良い文章が書けるわけじゃないな、と思ったんです。
泳ぎ方を知るだけでは、泳げるようにならない
たとえば、水泳で初心者にクロールのやり方を教えたとします。
(1)体をしっかり伸ばして水平にする。
バタ足はひざを曲げない。
(2)腕を回すときは、肩をひらくイメージで、
肩から大きく回す。
(3)息つぎは、水中で「ンー」と鼻から
吐いて、「パッ」と口をひらいて吸う。
(4)伸びている腕を枕にするイメージで、
腕を回し始めたら横を向いて息つぎする。
さて、上の説明だけで初心者は泳げるようになるでしょうか?
答えはNOです。
説明だけで泳ぐイメージを掴むのは難しいですよね。実際にきれいに泳いでいる人の姿を見せた方がクロールの動きを理解しやすいはず。
言葉も同じです。良い文章を書く前に、どんな文章が良い文章なのか?を知る必要があります。
良い文章を書くには、良い文章にたくさん触れる
わたしは大学生の頃、青山にある宣伝会議でコピーライター養成講座に通っていました。養成講座は、広告業界やコピーライターを目指す人に、コピーのいろはを教えてくれるところです。
最初の授業で、講師の方にこのようなことを言われました。
良いコピーを書くには、
そもそも何が良いコピーか
自分でわからないといけない。
わからないと自分がコピーを書いたときに、
はたしてこれは良いコピーなのか?
と判断することができないから。
良いコピーを書く前に、
良いコピーにたくさん触れて目を養いましょう。
その通りだと思いました。
そんな教えを受けて、わたしも1年目のときはコピー本(広告コピーを集めた本)を買って、キャッチコピーを書き写したり、「なぜこのコピーは有名なんだろう?」と自分なりに分析していました。
最初はやりながら本当に効果があるんだろうか?と半信半疑でした(生意気ですね)。なぜなら、良いコピーかどうか全然わかったような気がしないから。
しかし、これには量と時間が必要で、後から効いてきます。量をこなせば「こんな言い回しができる」と知識がたまり、少し寝かせることでふとしたときに「こういうことかも!」と少しずつわかるようになるのです。
読み方のトレーニング方法
コピーライターの方、もしくは将来なりたい方であれば、上記のようなトレーニングをおすすめします。ここからは、だれでも使える読み方のコツをお伝えします!
(1)ゆっくり読む
速読で年に何十冊も本を読む人がいるかもしれませんが、文章をさらっと読んでは、なかなか良い文章には気づきにくい。なぜなら、書き手は一文一文と丁寧に向き合って書いています。広告であれば、一字単位でこだわっている。この文章いいかも!と思ったら、一度ゆっくり読んでみましょう。
(2)意識して読む
ゆっくり読みながら、文章がどのように書かれているのか?意識して読んでみましょう。なんとなく読むのでは身になりません。
(3)メモをする
参考にしたい文章や使えそうな言い回しがあれば、メモしてみてください。余裕がある人は、その文章を書き写してみるといいです。時間がなければ、スマホのスクリーンショットを使うなどして、自分が文章を考えるときに見返せるようにしておきましょう。
では、(1)〜(3)を実際にやってみたいと思います。
こちらは、「治一郎」という会社が販売しているバウムクーヘンの商品紹介です(おいしいですよ)。
言葉をじっくりと、追っていきましょう。
二十四層 もの うすく レアな 層を じっくりと 焼き重ねました。
「二十四」という数字が細かくて、品質の高さを感じさせます。「薄く」を「うすく」とひらいている、あえてでしょうか?
続けて読むと、
飲み物が要らないほどのしっとり感と、
ケーキのようなふんわり感を実現した
「しっとり感」と「ふんわり感」で文章にリズムが生まれています。そして、「飲み物が要らないほどの」という言葉。聞いたことがない表現!ですが、しっとり感がとても伝わってきます。これはメモしよう(笑)
といった感じです。文章をじっくり味わうって楽しくないですか?わたしは楽しいですね〜。
読んだらまねをしよう
そもそもどんな人の文章を読めばいいの?という疑問もあるかもしれませんね。
冒頭の新人研修の話に戻りますが、「わかりやすい文章を書くためのトレーニング方法って何かありますか?」という問いに対して、わたしは「いいな・上手いなと思う人の文章をまねしてみてください」と答えました。
たとえば、
・プレゼン上手な先輩がつくる企画書
・競合他社がつくったチラシやパンフレット
・わかりやすいと思ったメールの文章
・お気に入りのビジネス書
文章に限らずですが、ものの良し悪しがわからないうちは、上手な人の文章を参考にしましょう。本を読まなくても、身近なところにヒントはありますので、自分なりに資料を集めてみてください。
ちなみにわたしが広告をつくるときに参考にしているのは、ピンタレストというWEBサイト。「広告 ポスター」などで検索すると、広告賞を取っているような有名作品をたくさん見ることができます。
読み方のコツまとめ
(1)ゆっくり読む
(2)意識して読む
(3)メモをする
定期的にライティングのコツをコピーライターの視点で解説しますので、よかったらスキとフォローお願いします!(とっても喜びます)
それでは、また。
文:ハギ
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