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私にとっての池坊いけばな~立ち戻れる初心を書き留めておく~

みなさんが大好きな、力を注いでいる仕事、趣味はありますか?それらの初心って覚えていますか?

こんにちは、週末華道家「よぴ」です!

今回の記事では、私が2023年1月頃に書いた、池坊の家元が運営する池坊中央研修学院のエントリーシートの課題文をご紹介します。

▼池坊中央研修学院とは
全国にとどまらず全世界の人々が、いけばな発祥の地 六角堂を望むいけばなの殿堂に集い、さらなる研鑽を求めて自らを高める場所・・・。それが池坊中央研修学院です。学院生たちは、池坊いけばなの総合的な理論体系を学び、ハイレベルな実技面の指導を受け、いけばな技術の向上に精励しています。

池坊中央研修学院HPより

早いもので先月2024年5月に池坊いけばな歴が丸5年間となりました。
いけばなの発祥の地、京都の池坊中央研修学院の門を叩き、「いけばなをもっと勉強しよう」と思ったあの日の想いが詰まった文章なので、節目節目で読み返したいと思い、備忘録として投稿できればと思います。


私にとっての池坊いけばな~池坊中央研修学院のエントリーシートより~

私にとっての池坊いけばなは「好奇心の源」です。

そう思うに至った背景を3つほど記します。

私は令和元年5月に池坊の門を叩きました。東京本校のビギナーズレッスンのお試し体験レッスンが初めての池坊いけばなでした。
生ける中で強く感じたことは「花材一つひとつが異なる顔を持つこと」。手に持った花をさまざまな角度から観察していると、たとえ同じ花材であっても異なることに気が付きました。これは個人的にはものの見方が大きく変わる発見ともいえるものでした。
池坊いけばなでいうところの「出生の美」は漠然と感じ取っている世界を見つめ直すことで見つけることができるものであると認識しています。池坊いけばなは世界を見つめ直すきっかけをくれる「好奇心の源」です。

日頃稽古に励む中、また花展に赴く中で毎回感じることは「同じ花材であっても生け方一つで見え方が変わること」です。自由花であればそれは顕著ですが生花、立花であっても生ける人の意思がそこにあります。
通常、生ける時には同じ種類の花材を複数用意し特定の花材を選ぶという工程が発生します。なぜそれを選んだのか。そこにはその人の意思があります。剣山等に挿しその花材を振り出す時、そこにはその人の意思があります。
花器を選び、生け、最後は飾るまで、全ての工程にその人の意思が宿る池坊いけばなは、他者の内面を垣間見るきっかけとなる「好奇心の源」といえます。

作品に作者の意思が宿るのであれば、もちろんそれは自分自身にもいえることです。
私は自由花であると斜めに生けがちで、毎回この癖をどう打破しようか苦心しています。生花であれば頭ではわかっているのにどうしても副を長く振り出してしまうのですが、その生け方は自由花では前後に花材が振り出されることで作品に奥行きが生まれます。
池坊いけばなに取り組むことで、作品には自分のことが鏡のように映し出され、自分自身を再発見、自分の可能性を模索するきっかけを得ることができます。己を深掘り己を知る池坊いけばなはその点でも「好奇心の源」といえると考えています。

このように世界、他者、自分自身に対して目を向けて理解を深めていくことができる池坊いけばなは自分にとって「好奇心の源」と思えるのです。

立ち戻れる初心を書き留めておくこと

京都に稽古に行くようになって1年が経過しました。今年もおそらく来年以降も稽古をしに京都に赴くことになるだろうと思います。きっと楽しいことだけでなく大変なこともあると思います。仮に大変なことが続いたら、大好きないけばなが、心血注いでいるいけばなが嫌いになってしまうかもしれません。
その時のために、「なんでいけばなが好きなのか」「どこに惹かれていけばなをやっているのか」を思い出せる初心をここに残しておくことで、立ち直れるきっかけを作っておきたいと思います。

京都の稽古で生けた花

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