見出し画像

「DX」×「人材育成」リアル最前線レポート vol.1~DX人材の育成は「自己開示」と「Being(ありたい姿)」から始まる~

私の所属している株式会社デジタルシフトが2020年4月に創業してからおおよそ2年が経とうとしています。

その間、ざっと100社を超える企業の方々とお会いさせていただきながら、

「DX」×「人材育成」

という非常に不確か且つ課題の多い、非常にやりがいのあるテーマに取り組んできました。

2020年8月に立ち上げたデジタルシフトクラブもそれらの課題解決手段の一つです。


そこで、これからこの「DX」×「人材育成」というテーマについて、現場の最前線で自分自身がこれまで得た知見や実状をできるだけリアリティをもってnoteにまとめていきたいと思います。

今回はその第1回目ということで、タイトルにも書いたように、


DX人材の育成は「自己開示」と「Being(ありたい姿)」から始まる


という話について掘り下げていきたいと思います。


「DX人材育成の本質とは?」


という問いについて考えていくうえでは、

そもそもDXとは何か?

DX人材とはどういう人材か?

DX人材の育成方法は?

という問いに対してもひとつずつ答えを見つけていく必要があります。

これらについても今後のnoteを通じて解像度を高めていければと思います。


まず、DX人材育成の本質を理解するために、以下の図のように構造整理しました。

図4


DX人材育成について問われると、つい最初に「どんなスキルや知識をもった人材を育成すれば良いか?」といった考えになりがちですが、まず何よりも重要なのは中央上の「自分自身のBeing(ありたい姿)」からアプローチすることです。

そもそもDXとは何か?については過去のnoteでも触れていますが、最も大切なことは「自己変革(トランスフォーメーション)」です。

まずそもそも「DX」という言葉の定義が曖昧で、各社のコンディションによって、あるいは「守りのDX」なのか「攻めのDX」なのかによっても期待される費用対効果はバラバラです。

DXは効果が見えにくいのです。

そういった、見えにくいものに対して経営の舵を切る、変革するには、やはり話は最初に戻りますが何よりも「自分自身を変革すること」が大事であり、そのうえで「企業文化も変革すること」が必要です。そうでないと、DXは儲かりそうだからやる、儲からなそうだからやらない、といった小手先の話にしかなりません。
DXの正体、それはデジタルとかインターネットとか電子機器のような概念的だったり物質的なものでは一切なく、人としての生き方、在り方なのだと思います。

そして、それと同じく重要なのが中央下の「会社としてのDX戦略」です。

会社のDXと経営のパーパス、ミッション、カルチャーは切っても切り離せない関係です。その会社がどうなりたいか?ひいては経営者自身がどうなりたいか?そしてそのためにデジタルをどう活用するのか?を会社として言語化し、一般的に言われているDXではなく、その会社ならではのDXを定義することが必要です。


「自分自身のBeing(ありたい姿)」と「会社としてのDX戦略」が重なるところに、その会社の、その人自身に本当に必要なスキルセットやマインドセットが定義され、それこそが本質的なDX人材育成と呼ばれるものになります。


ですが、それらを結びつけるというのは、簡単な作業ではありません。

自分自身のありたい姿と言われても、そんなに簡単に言語化できるものでもありませんし、経営のパーパスやミッション、カルチャーそしてDX戦略を具体化することも容易な作業ではありません。


そんなBeingやパーパスを結びつけるために、まず始めるべきが「自己開示」です。

一人ひとりが過去の自分や現在の自分、そして未来の自分についてポジティブなこともネガティブなことも含めて自己開示する。そこから共感や協力関係が生まれ、Beingやパーパスの言語化に繋がっていきます。

では、その自己開示をどのように促していくか?

そこで、その会社の人材育成をミッションとする人事の担当やDXを推進する部門の方々と、我々のようなDX支援会社が協力して4つの機会を提供することが重要になります。


<DX人材育成のための4つの機会提供>

①自己開示の機会

②相互理解の機会

③情報交換の機会

④学習の機会

具体的な形は会社によっても異なりますが、勉強会情報共有会といったフォーマットを使って、継続的なインプット⇔アウトプットを繰り返す機会を作ります。また、この会が形骸化せず、本来の目的を達成するためには以下のようなポイントを押さえる必要があります。

・参加やインプット、アウトプットのハードルをできるだけ低くすること(例:月に1回30分などムリのない頻度、事前課題ナシ、発表ネタのヒント提供、発表内容は日々の業務の延長上のものなど)

・リアルな会以外にもSlackやTeamsなどオンラインで常時繋がること

・オンラインコミュニティに対して運営側がタイミングを見計らって火種となるネタを提供すること(その際は敢えてちょっとリテラシー低めのネタ出しや、誰か教えて!といったツッコミどころのあるものにすること)

・発表内容に対して運営が主体的に、熱心にそしてカジュアルにフィードバックすること(カジュアルなフィードバックを受けることこそが最も心理的安全性や成長につながる)

・発表内容に対して表層的なフィードバックだけでなく、発表者の背景や意図に興味をもって掘り下げる(これが相互の自己開示に繋がる)


こういった活動・仕掛けをやり続けることで徐々に自己開示が進み、共感と承認が生まれ、トランスフォーメーションする土台が形成されます。

そして、ここまで見てみると、

「自分の会社はこういった取り組みが全然できていない」

という会社と、

「自分の会社はこういった取り組みは十分できている」

という会社に分かれるはずで、それは何によって違いが出るのか?についても考察してみると、おそらくそれは「外的要因による危機感の差」なのだろうと思います。


デジタル技術の進化やそれによる顧客ニーズの変化がより直接的にビジネスに影響する業界とそうでもない業界があり、さらにコロナ禍や脱炭素といった影響を受けやすい企業とそうでない企業とでも危機感は違います。

「助けて!」、「教えて!」

危機感の高い企業や人はなりふり構っていられません。

結果的に周囲への自己開示が進みます。

そして、その声に対して大抵の場合

「何か手伝えることはないか?」、「こんなアイデアはどうだろう?」

そんな協力や共感が生まれていきます。

スタートアップと大企業でもその差があると思います。

いつどうなるかわからないスタートアップは失うものは何もなく、守るものも少ないので積極的に自己開示(助けて!教えて!)が進み、周囲には自然と情報や人が集まります。

DX人材の育成は「自己開示」と「Being(ありたい姿)」から始まる。

まず一人ひとりができることとして、日常の会話や仕事の中で意識的に「今思っていること」や「なぜそう感じているのか」を「自己開示」することから始めてみると、少しずつ何かが変わり始めるのだと思います。


次回Vol.2では、

「デジタル人材とアナログ人材の分断に気をつけろ!」

というテーマについて触れていきたいと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

これからも拙い知見・経験ですが「DX」×「人材育成」についてのレポートをお届けしていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?