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これから必要な"バフ人材"とは?

5秒あれば読める 要約

・周りのステータスをアップさせる人材=バフ人材
・今かつてないほどに、バフ/バフ人材が求められている
・大企業もフリーランスも事情は同じ
・むしろ大企業とフリーランスを越境する必須スキル/人材
・バフが無かったがゆえの失敗経験
・明日からできるバフの具体例
・マサチューセッツ工科大学の教授も、バフの有効性に言及

==キリトリ==

※はじめましての方向け

こんにちは。米川(@yoneshi0320)と申します。
現在2社で代表/役員を務め、普段は大企業に対し人事領域の支援をしています。

noteのテーマは、”バフ人材”

2020年代は企業勤め・フリーランス問わず、「バフ=周りの能力を発揮させる」を一つの職として、生き抜いていけるのでは?と思い、その具体を解説しています。

全員複業&パラレルワークで経営しつつ、大企業と複数プロジェクトを行う経験や直近プロジェクトでの実験結果・学びなど、ここでのみ読める内容です。

リモート/テレワークで今までと違う領域・職種の人との仕事が増え、あまりうまくいかない方の参考になれば嬉しいです。

==キリトリおわり==

はじめに ”バフ”とは?

いきなりですが、”バフ”という言葉を聞いたことがありますか?最近のゲーム経験者なら知っていると思いますが、定義は以下です。

バフ(buff)
”コンピュータゲームにおける「ステータス上昇」の効果を指す表現。攻撃力や防御力、素早さといった要素を一時的に高める魔法やアイテムの使用を指すことが多い。バフとは逆の「ステータスの減少」効果は「デバフ」と呼ばれる。語源・由来は諸説ある。”

出典:実用日本語表現辞典

たとえば、ドラクエでいう防御力アップの ”スカラ” 、ポケモンでいうと攻撃力をぐーんと上げる ”つるぎのまい” です。

バフ人材とは?

バフ人材とは上記を行う人材。つまり
”ステータスアップなど、自身や味方の性能・能力を向上させる人”
を指します。

具体的には、プロジェクト全体の士気を上げるマネジャーや、いつも明るい空気を作る新人メンバーです。が、ここで次の疑問が浮かびます。

「なぜ、バフ人材がこれから必要になるのか?」

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複業×リモート/テレワーク = 多様な人員構成

すこし数字の話をします。

総務省統計局のデータによると、2020年の就業者数(=15 歳以上のうち,就業者の人口)は平均6,676万人です。
一方、2010年は6,298万人と10年で就業者数は約300万人増えています。

同じ総務省のデータから、2020年テレワーク導入企業の割合は47,4%と、10年前の 12.1%から約35%も向上しています。

そして2020年のマイナビの調査によると、複(副)業・兼業を認めた企業は全体の49.6%と約半数です。

たった10年で今までの職場・領域で関わらなかった人材と仕事/プロジェクトをする環境になりました。

さらにslackやTeams等のツール普及に伴い、「リモートワーク移行で採用できる層の拡大」や「海外とのコラボレーション増」も含めると、大企業/フリーランス問わず、多様な人材との仕事/プロジェクトはますます拡大していきます。

では、これから成果を出すためにはなにが必要か?ぼくの答えのひとつが、”バフの有無”です。

プロマネはうまくいった。だが……。

たとえば、次の事例をみてください。

A社の人事プロジェクトで、リモート/テレワーク推進に伴い、既存の研修コンテンツを映像教材化することに。

そこでA社の研修担当、A社に研修を提供しているB社の担当、B社から紹介されたフリーの映像ディレクターとクリエイター、4人でMTGを実施。
A社はいつもの研修のように、言い回しや映像エフェクトの仕様を細かく、B社とディレクターに指示。

その後も、クリエイターのデモや仮納品物に対してA社からユーザー目線の感情共有はほぼ無し。相変わらず秒数やテロップのタイミングなど、細かい仕様のフィードバックに終始。

納期に遅れも無くA社の指示通りに映像は完成。しかし、なぜか全員が感動するクオリティではなく……。
その後、ディレクター/クリエイターはA社内での反響を聞くことも無く、A社への心情も良くないままプロジェクトが終了……。

いかがでしょう?

僕が実際に経験した、ある企業の事例です。僕はディレクターでした。もちろん、いま思えば最初の要件定義や期待値調整などできることはありました。

ただ、ここでぼくが学んだのは、人間が出すアウトプットのクオリティに「心理的安全性※の高さ」が最も影響した点 です。
※「心理的安全性」とは何か?はGoogleの研究が有名ですので、詳細は割愛します。ざっくりいうと「お互い、何を言っても安心な度合い」です。

そして、自分は何ができたかを振り返り、言語化したのが”バフ”です。

仕事やプロジェクトにおける”バフ”とは?

 
仕事やプロジェクトにおける”バフ”とは ”ひとの働きにくさを解消し、よいアウトプットを出すために行える行為すべて” を指します。
そしてバフの質と量をKPIに働くのが、”バフ人材”です。

ぼくの例でいうと、クリエイターに対して
”こういう場面で映像を見ると、めちゃくちゃメインメッセージが刺さる!”
”この観点でエフェクトつかうのは、さすが!”
と、とかく「わたしはあなたの一番の味方である。」を示すことでした。
そしてA社やB社からもバフを引き出すことでした。


ここまでを聞くと、
「え、それだけ?」
「もっと具体的なスキルが不足していたんじゃないの?」
「クリエイターをおだてて、本当にいい結果が出るの?」
と思うでしょう。

一方、MIT(マサチューセッツ工科大学)組織学習センター 共同創始者のダニエル・キム氏もまた、バフの重要性を説いています。

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なぜ、アウトプットがいまいちだったのか?

ダニエル・キム氏の論文に「成功循環モデル」があります。

要約すると成果に関わるメンバー同士の高い「関係の質」により、高い「思考の質」が生まれ、ゆえにメンバーの「行動の質」が高まり、最終的に高い「結果の質」が生まれる モデルです。

今回の事例を「成功循環モデル」で説明すると、次の流れです。

1)「関係の質」ステータスが、プロジェクトメンバー全員で低かった
2)ゆえに、プロジェクトメンバーの低い「思考の質」と「行動の質」をもたらし
3)「低い成果=低い結果の質」に現れた

 つまりバフは、「関係性の質」を高めるために必要なのです。

クリエイターは”孤独”と戦っている

以前、「クリエイターはおだてても成果がでない(=だから、甘やかすな)」とする意見に出会いました。

この意見は、ぼくからすると言葉の解像度がすこし荒いです。

ぼくは、スキル面では依頼者・クリエイター双方がクオリティを求めつつ、依頼をしたら、心情面では双方 唯一無二の味方であることが成果には必須 と解釈しています。 

もちろん、クリエイターのスキルが足りず成果が出ないパターンもあります。しかし実績があるにも関わらずスキルが発揮されない場合、クリエイターの心情や人格を理解しないことは「百害あって一利無し」です。

幻冬舎代表の見城徹さんが著書で、坂本龍一さんを語るエピソードがあります。

創造者は、自分を表現したい欲求が他者にどう映るかを常に考える。
そのため、自己肯定と自己否定を、たえず行き来している。その葛藤が何かを生み出すのだ。
(中略)
僕の仕事仲間であり、長年の友人でもある男に、坂本龍一がいる。
彼は誰もが認める世界の大音楽家だ。
(中略)
彼の音楽は美しい。その裏には、彼の深い葛藤がある。両極を絶えず振幅している。あのメロディーの豊かさを支えているのは、彼の自己嫌悪なのだ。

出典:見城徹+藤田晋『憂鬱でなければ、仕事じゃない』講談社、2013年

彼のような超一流のクリエイターですら、創作には孤独からくる自己嫌悪を抱くのが普通なのです。あまつさえ、無名のクリエイターが抱える孤独とは、ぼくたちが想像するよりも遥かに深いのでしょう。

さいごに:次回予告

今回はここまで。
次回以降は、

”これまでも必要だった?Googleも認めるバフ人材の必要性”
”具体的なバフ人材の要件”
”大企業社員とフリーランス それぞれに有効なバフ”

等のテーマで書く予定です。

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がんばるぞ。


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