ボードゲーム「1位以外は負け」問題について
という話題がボードゲーム好きのツイッターで盛り上がっていた。
ボードゲームもいろいろあるので、「どのゲームなの?」ということが重要なはずだが、SNSではこういった「主語(対象)が大きい」タイプの話題が盛り上がる。
みんな、好き勝手に対象を特定して異論反論喧々諤々(←誤用)やる場だからだろう。話は噛み合わずとも好き勝手言って拡散していくのだ。
「1位以外は負け」かどうか「2位も勝ち」かどうかは、それぞれのゲームデザインによる。
もし、プレイヤー間ですれ違って困るのであれば、それはゲームデザインのミス(もしくは曖昧さ)だろう。
ぼくが作っているゲームは「1位以外は負け」のゲームが多い。「1位以外は負け」と言うと厳しい世界観のようだが、そういう意図ではない。「ビリッケツをつくらない」ほうがいいと考えるからだ。
勝者がひとりいて、それ以外の順位は気にしない。みんなで勝者を称える。というエンディングのほうが、気楽に遊べる。
1位以外が「負け」であるとも明記しない。1位は勝ちで、勝ちを称えるけど、それ以外の人は負けでもないし、2位も3位もない。というのがゲームとしていいかなと思うことが多い。
気をつけているのはゲームの勝利条件とモチーフのマッチングだ。
たとえばモチーフ的に「お金を集めよう!」というゲームにしちゃうと、勝利条件に「一番多くお金を集めた人が勝者です」と書いてあっても、「2番めにお金を集めた人は2番だ」と考えたくなる。
モチーフが誘導する勝利条件と、ゲームシステムの勝利条件がズレていると気持ちよくない。
たとえば、いま制作している『走れメロスたち』というゲーム。太宰治の「走れメロス」をモチーフにしたカードゲームだ。
王の城から出発して、マップ上をぐるっと回って王の城に一番最初にもどってきた人が勝者となる。
現状、マニュアルのゲーム概要にはこう記している。
ちょっとユーモラスな設定で、「1位を目指すゲームです」って直截に言わずに実感として手渡すようにしている。
アナログゲームがいろいろな人に遊ばれるようになってきたので、「ゲームのシステムから自然に読み取れますよね」っていうのが伝わりずらくなってきている。
もっと明確に「このゲームの目的はなにか」を書くほうがいいだろうし、モチーフとちゃんと同期させて実感として手渡す重要性が増してきた。
以下、『走れメロスたち改訂版』の制作記録。
↑これの続き。
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