「ゆめおさんの家」 はらまさかず
「ゆめおさんの家が、また見つかったよ」
ある日、沼水さんから電話がありました。
『ゆめおさん』と、ぼくらが呼んでいるのは、建築家の夢尾五郎のことです。
といっても彼のことを知っている人はほとんどいません。
趣味で建築家をしていたのですが、彼の家はどれも普通だったので、誰も気にとめなかったのです。長く住んでみないと、彼の家の良さはわからないのでした。
「すぐいく」
ぼくらは、早速待ち合わせて、その家に行ってみました。
それはやはり、普通の家。
家主さんは、
「わたしも、この家