「クリスマスまでを楽しくするには」  はらまさかず

 寒くなってきました。
 もう、冬です。
 喫茶ギンガには、この時期、昔ながらの丸い石油ストーブが出てきます。あったかーい、いいにおいです。
 「なんだかいやだなー、この季節」
と、ぼく。
 「あれっ、冬はきらい?」
 「冬っていうか、ツリーとか、イルミネーションとか」
 「ああ、クリスマス」
マスターがいった。
 「さみしくなっちゃうんだ。なんだか、自分だけ、取り残されてるような気もするし」
 「みんな、そうだって。でも、それね、いい方法があるよ」
 「なになに?」
 「子どもの時の、クリスマスの写真ってもってる?」
 「実家にあるんじゃないかなあ」
 「それをね、写真立てに入れて、かざるといいよ」
 「それだけ?」
 「そう、それだけ。見てるとね、楽しくなってくるよ。ほら、あのころは、素直に楽しかったじゃない。クリスマス」
 「プレゼントもらえるしね」
 「それもあるね」
 銀河の模型がゆっくりと動いています。
 「実家に帰ってみるかな、写真さがしに」
 「いいと思うよ」
 マスターが湯気の立つココアを出してくれました。
(喫茶ギンガ 第7話)

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