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【392】限界大学院生@フランスの部屋を映すdiscordサーバー、始まりました/「ちょっと始めて、ちょっと続ける」を繰り返す

限界大学院生(=私)の部屋の風景を映し、音声を垂れ流すだけのdiscordサーバー「監視カメラ(文献を読む在仏院生)」を作成しました。私がどんな感じで勉強・研究しているかがわかるかもしれません。監視カメラです。あるいは場合によってはこちらからの応答もあるかもしれません。研究(哲学・思想史)のことでも、語学のことでも、欧州に留学している大学院生の生態でも、関心をお持ちの方は是非いらしてください。あるいは絵を描いているかもれませんし、オカリナを吹いているかもしれません。

無料アカウントをお持ちで、ログイン済みなら、(ブラウザでもアプリでも)左側の+マーク「サーバーを追加」を押し、ポップアップ下側の「サーバーに参加」を押し、招待リンクのURL:

https://discord.gg/kUTawcfxEx

を入力すれば入れる模様です(いつでも抜けられます)。

……これについて。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、「地味だけれどもあらゆる知的分野の実践に活かせる」ことを目する内容をまとめたもののうちのひとつです。流読されるも熟読されるも、お好きにご利用ください。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


discordは主に音声や画面や文字情報をリアルタイムで共有するためのアプリケーションです。ひとつアカウントを持っておけば複数の「サーバー」——およそコミュニティのようなものです——にメンバーとして加入することができ、加入先では(権限にもよりますが)ビデオ通話・音声通話をしたり、チャットをしたり、といったことが可能になります。

私にはあまり縁がありませんが、ゲーム画面を共有しながら一緒にプレイする、という用途での利用が人気のようです。


さて、「監視カメラ(文献を読む院生)」ですが、楽しいおしゃべりをするつもりは特になく(求められれば応答はすると思いますが)、私の生活上の風景を映すだけです。

当座、半裸でヨガをするなどの見苦しい場面がある場合、また他の人と話す用事がある場合、などを除いて24時間つけているつもりでいます。ラテン語やドイツ語やフランス語や英語を音読したり、猛烈に音声入力したり(ときには絵を描いたり?)するシーンが見られるかもしれません。動物園のようなものです。パンダのように癒やしをもたらすわけでも、ハシビロコウのようにカッコいいわけでもありませんが、それはともかく。

この作業の要は、監視の目を入れることで、何よりも私に怠ける口実を与えないということ、私を(極めて素朴な意味で)価値のある作業へと拘束するためのものですし、いらん音楽やアニメを流して注意が削がれるのを妨げるためでもあります。家(即ち仕事場)の中でダラダラ過ごすのをやめにしよう、ということでもありますし、気詰りが酷ければ、監視カメラをストップさせるよりは、第一に(外出を許可されている時間帯に)外に出るということにしたいと考えています。


これ、私の側としてはプラスしかないのですよね。

まず、自分の部屋の惨状に気づきました。本が多いのはもちろんですが、片付けていない空き箱や、袋が散乱しています。自分が気持ちよく暮らせているので別にいいと言えばいいのですが、見直す機会にはなるでしょう。

あと、曲りなりにも映るので、多少身なりをどうにかしようという気にもなるものです。普段、ヨガの授業以外では人と会いませんし、教えてくれるのも友人ですから、ヒゲなんかは伸びっぱなしになっていたのですが、ようやく剃りました。

それに、辞めたとしても、私の側は1ミリたりとも痛まないのですね。discordは前から使っていましたし、サーバー立ち上げは数分もかかりません。サンクコストはゼロ。

すぐ辞めるのだとしても、1週間もやっていれば、1週間は真面目に色々なことをできるわけで、それだけで得と言えます。

これが果実をもたらさないならまた別の方法を考えればよいわけで、考えるための(否定的な)材料ができるわけです。


こんなふうに、いつ辞めても誰の身も痛まない、誰に迷惑もかからない、しかし何かしらよい変化が少しでも見込まれうることであれば、皆さんも是非始められてみてはよいのではないでしょうか。
 
なんでも気軽に始めて、気軽に辞めればいいんじゃないの、ということです。なんらか良い効果が上手くいけば儲けものでしょう。

もちろん、半導体工場とか、大企業の海外支社とか、省庁とかを気軽に作ってもらっては困ります。しかし、私たちが個人でやることのうちの大部分は、誰にも迷惑がかかりません。

時間と忍耐の必要な趣味でも、価値のある仕事でも、あるいは儲けにつながるプロジェクトでもなんでもよいのですが、多くの場合、最初に投下すべきコストは気合いと時間くらいのものです。

微々たる(?)金銭的費用も必要かもしれません。人によってはその費用は重たいのかもしれません。とはいえ、私たちはなにかにつけ浪費しているので、捻出することはわりとできるものです。

もちろん、捻出するにも或る種の気合いは必要です。捻出するということはどこかを削ることになりますが、削ろうと思うと大事に見えてくるものです。スマホゲームをやめるとか、コーヒーをやめるとか、華金の飲みをやめるとかしなければ、時間や金は捻出しづらいかもしれませんし、人によってはそれらは削ることのできないくらい大切なものでしょう。ゲームによる快楽中枢の刺激とか、脳の器質的変化を伴うカフェインやアルコールとか、あるいは人間関係への(軽度の?)依存もまた、断ち切るのは難しいものかもしれません。

とはいえ、ちょっと削れば、ちょっとできるのですね。私もdiscordのサーバーを作るには、漫画を見たり、文献を読んだりするのに使える数秒の時間を費やしました。普段なら惜しむところです。が、ちょっと削って、ちょっとやってみたと言う感じです。

そして不思議なことに、ちょっと削ってちょっとやると、もうちょっと削れて、もうちょっとやれるのです。5分やれば50分できるというものです。実際私は5分削り、5時間削り、5年、10年削って勉強してきたわけです。笑

なんでも、「ちょっと」やってみる。続けたくなければ(続ける意味が感じられなければ)、やめる。「ちょっと」果実があれば儲けものなので、もうちょっと続ける。……ショボく響くかもしれませんし、もちろんラディカルな変化はどこかで必要になるにしても、実にこうした「ちょっと」始めて「ちょっと」続ける、必要とあらばすぐに辞めて別の「ちょっと」に移るということは、或る種の秘訣ではないでしょうか。

■【まとめ】
・限界大学院生(=私)の部屋の風景を映し、音声を垂れ流すだけのdiscordサーバー「監視カメラ(文献を読む在仏院生)」を作成したので、どうぞいらしてください。

・いつやめてもよい、損失の少ないものを「ちょっと」始めることは大切である。得が生まれれば儲けものである。そしてこれを「ちょっと」続ける。こうした「ちょっと」の反復には大きな価値がありそうなものである。