人にやさしくしたくなる「クリスマスの精神」
クリスマス。よくアメリカ映画で “クリスマスの精神” ということが聞かれるが、なんとなくわかる気がする。胸の奥があたたかくなるような、隣人への愛や人の助けになりたいと思うこと。なんとなくだけど、そんなイメージにあふれている。昔からクリスマスが近づくと、つまりは12月の声をきくと、なるべく人にやさしくしたいと思ったり、少しは社会の役に立つことをしたいと思ったり、小さな親切や愛情表現をできるだけしていこうと思ったりする。そしてあるとき思った。
「いや、なにもクリスマスだけに限定する必要ないのではないか?逆に、1年中、どうやったらクリスマス精神で生きられるかな?」と考えてみた。
まず行ったことは、Appleミュージックでビング・クロスビーのクリスマスソングをインストールした。あの、独特のロマンチックな甘い声で歌われるクリスマス・ソングを1年中耳にしていたら違うのではないか。実際、インストールしたのは数年前だが、やっぱり1年にわたって聴き続けてはいない。でも、たまーに聴く。耳に音をいれる。そうするとすこーし、クリスマス精神が戻る。彼の声は胸に明るく火が灯るイメージ。聴くとやさしい気持ちになれる。
効果的なのはクリスマス映画の名作を観ることだ。私のお薦めは3本ある。まず、最近好きになったのは(それでも公開年は古い)『ポーラー・エクスプレス』だ。
アニメーションなのだが、時代的にギリギリ、今みたいなのっぺりCG全盛アニメになる前の、まだアニメならではのあたたかいぬくもりが素晴らしい作品で、声優にトム・ハンクスが出演している。映像が実に美しく愉快で、クリスマスの楽しさを最高に満喫できる。昨年は3回は観たと思う。真夏にも観た。とにかく子どもの頃の神秘的だったクリスマスを回顧できるし、大人にも観てほしい作品。
次はこれも名作、『クリスマス・キャロル』。
私のイチ推しはスクルージ役を英国の名優、アルバート・フィニーが演じた作品。1970年版と呼ばれているようだ。この作品は、子どもの頃にNHKで観て以来、脳天をガツンとやられた感じで映像作品による感動的な衝撃を味わった忘れじの作品なのだ。ゴシックな味わいがあって映像も素晴らしいし、物語の展開、そして最後のクリスマス精神の発露!と言わんばかりの愛に満ちたシーンはたまらない。リンクは英語だけど全部観られるのでぜひお薦め。どっぷり世界に入れます。
そして最後、『素晴らしき哉、人生!』。いわずとしれた名作。アメリカの良心と言われた名優のジェームズ・スチュアートによるクラシック映画の金字塔。珍しく原題と和訳がそのまんまストレートに訳されてかつ、それが最適となったタイトルで、これを観ると本当に「棄てたもんじゃないな」と思える。
要するに結局、クリスマス精神を味わうのに映像作品は効果的だ、ということ。視覚に訴え、音楽と共に名優の演技によって自分事として追体験できるからだ。また、イルミネーションやデパートの美しい装飾なども楽しい気分になって、あわただしさのなかでも「人にやさしくしたいな」と、仕事に急ぐ足をほんの少し緩めたりしたくなる。
本当なら世界中で、そうやってクリスマス精神によって人にやさしく、隣人に愛を分け与えられたらいい。クリスマス停戦とかいうけれど、本当にたった数日でも、みんながそう思えたらいいのにと願う。
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