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「王道シンプル」というごまかしの利かなさに降伏

 先日、ピンストライプのジャケットとの長い格闘史について書いた記事が思いのほかたくさんの方に読んでいただけたらしい。というか、自分の記事全体のなかでも、量としては少ない方なのにファッションのことを書くと普段よりかなり閲覧していただけている不思議。

 さて、ファッション記事が好まれているからではないのだが、このグレーの「OLD ENGLAND」のジャケットも1年がかりで着用頻度が増えてきた一着なのでメモっておく。なお、これはスーツでボトムがタイトでなく台形シルエットのスカートなのがアクセントだ。とはいえ、スーツスタイルでの着用は、大変プレーンなシルエットであるからこそ「今日はスーツが必要な特別な日なんで!」という宣言ちっくな服装になるので、セットアップではあまり使用していない。というか、ジャケット単体にするとシンプル、プレーンなシルエットゆえに結構むずかしいということがわかった。

王道シルエットでまじめ、おとなしめの子である

 ただ、この生地と色合い、風合いに一目ぼれして購入したんですよね、このOLD ENGLANDの一着。しかも久方ぶりの最終面接で必要となり、とにかく王道のスーツが必要となった。サイズをジャストにしたくて、数日かけて店舗取り寄せまで依頼した。あと、自分の顔色はこの手の明るめのグレーを着ると非常に冴える。黒を着ると本当に沈むのを承知して普段、黒ばかり着ているのでたまにこの手のグレーを着たときに顔映りの相性をしみじみ感じられる。

美しいグレー。生地の上質さが命

 いいものでそれなりの値段もしたので、着倒してやると息巻いていたのに、どうにも合わなかった1年。「面接用の王道」だったからこそ、ふだんの自分の服のテイストと相いれなかったのだ。しかし、この春は「もしやこれと合わすといける?」と、積極的に袖を通してみている。5回に3回ほどは「やっぱり違う気がする」として、再度すごすごとクローゼットに戻しに行っているがそれでも登板が増えている。そして王道の合わせ方を発見した…!

 この明るいグレーのジャケットだけを色味として、あとすべてを黒でそろえるとめちゃくちゃ締まることがわかった。むしろとてもクールな装いとなって少しのドレスアップが実現するのだ。これは意外な発見。シャツならばレギュラーカラーでもボタンダウンでもOK、でもその場合はボタンを思い切ってほんの少しいつもより多めに開けた方がキマる。オープンカラーだとその点とても楽にキマる。反対にバンドカラーのシャツにすると途端に遊びがなくなって真面目顔になるので避けている。

たとえばこんなオープンカラーのテレン~とした生地のもの


これはボタンがパールなので一枚で着てもドレッシーに見えてお得

 ボトムスも当然黒なのだが、型を変えるとかなり印象が変わる。ワイド目のパンツか、ストレートシルエットのパンツが相性よく、スキニーまでいかなくてもタイト目は合わない。これは色合わせの問題ではなく、ジャケット丈との相性によると思う。自分は最近、この組み合わせにオープンに開けた襟元にスキンジュエリーをつけることが好きだ。信じられないほど小さいひと粒ダイヤのネックレス、肌色との相性でチェーンはピンクゴールド一択。よくよく見ないとつけていることがわからないが、動いたときにダイヤが光をきらっとさせるのがよいのだ。こんなに小さいのに、顔回りに花を添えるパワーがある。真実として、年取ってきて威力を思い知る、ジュエリーの力。

写真撮って気づいた、左のダイヤのチェーンがダマになっている…!ほどけるのか?

 足元だけど、白のスニーカーもしくは黒のローファー。フラットシューズの方が遊びがあってカジュアルダウンとなるのだけど、スキンカラーのハイヒールシューズを合わせてしまうと…おそるべし女っぷりがあがる合わせになる。やりすぎ感が出るので恥ずかしくなってしまい、滅多にやらない…笑

 さらに、である。ふだん在宅時しか眼鏡を使わないが、この合わせのときにあえて9999でつくったお気に入りの眼鏡をかけると途端に自分的にはコスプレ気分が爆上がり。

最高のかけ心地。自分はブラックより茶系の方が顔映りがよいです

 なんのコスプレか?というと海外ドラマの(特定のドラマではなく)報道秘書官とかFBIの配役っぽい雰囲気が出てくる。これでちょっと良いハンドバッグを携えてしまうとやりすぎ感が否めなくなるため、あえてビジネスリュックではずす。これはもう本当に遊びの感覚で合わせたいとき。

 服の方に合わせにいく、っていう最近のあそび。さらにひと型、着こなす定番の合わせができるとイメージが膨らんでコスプレしたくなる不思議。
 そうそう、こういうシック・シンプル・プレーンなスタイルのときに香りを2極化で使い分けると近くで薫るときの印象を変えることができる。

 装いのイメージを裏切らないのはオークモスとかグリーン系のアルデヒドでうんとスパイシーにするとメンズライクさが強調されて想像を掻き立てると思うし、反対に「わざとイメージに反する」香り、たとえばアイリス(イリス)系とかのパウダリーでフェミニンなものにすると女性らしさが強調される。自分はもっぱらキレッキレのグリーンかスパイスフルな方一択です。
 シャネルのエゴイストとかディオールのオーソヴァージュなんかが香るとファッション的いい女度があがりそう。


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