ドンデンガエシEXPO/ギャラリースペースの出展作品ご紹介!
こんにちは!YOMAFIG.です。2023年10月16日から18日に浅草公会堂にて開催された歌舞伎と落語とアートの祭典、「ドンデンガエシEXPO」の「ギャラリーエリア」にて展示した作品をご紹介致します!
作品は、11名のアーティスト・クリエイターが歌舞伎をリサーチ・引用してこのイベントのために特別に制作した新作となります。
以下、当日のギャラリーエリアの動線に沿って、順番にご紹介!
作家本人による作品解説と共に、お写真で当日の雰囲気をお楽しみ頂けますと幸いです。
尚、タイトルの作家さん名はご本人のInstagramアカウントにリンクしております。気になる作家さんがいらっしゃれば是非Instagramも覗いてみてくださいね!
そして展示什器デザインは全て建築みるぞーさん!こちらもお名前にInstagramアカウントをリンクしておくので、是非覗いてみてください。
1 時吉あきな
作家からの作品解説
スマートフォンで撮影した対象の写真をコピー用紙に出力し、 原寸大の立体コラージュとして再現することで、平面の写真を 強制的に立体にし、リアルとフェイクを行き来しながら、不自然な歪みや独特の表情を持つ複製物を制作しています。
今回は動物が主役となる「連獅子」の演目を引用して作品を制作しました。歌舞伎は役者がヒトや動物、幽霊などいろんな役を演じ分けることも面白いポイントだと感じています。
人間にとってもっとも身近な動物のひとつである犬に獅子を演じてもらうことで、歌舞伎役者さんの魅力や凄さをより身近に感じてもらえたら嬉しいです(一説で古代中国では巨大な犬の ことを「獅子」と呼んでいたそうです)。また、そんな重大なミッションを背負わされてしまった犬が、少し背伸びをしてがんばってくれている様子も見どころです。
2 HAMAMOTO NATSUMI
作家からの作品解説
子供の頃、「狂言」「能」「歌舞伎」を鑑賞した時があります。狂言、能は退屈から眠ってしまいましたが、歌舞伎だけは面白く、最後まで夢中だったのを覚えています。
今回このお話をいただき、改めて歌舞伎を鑑賞しました。とても魅了されました!色や衣装はたくさん種類があり、ステージの演出はファンタジー映画を思わせるようなものだったり、役者の表情から動きまで、とても迫力があり、新鮮に楽しめました。
普段アニメや映画、ドラマなどは見慣れていますが、その全てに 通じるような面白さがありました。これをきっかけに能と狂言も、もう一度鑑賞したいと思いました。 今回は伝統芸能に馴染みがない方にも興味を持ってもらえるよう作品を制作しています。皆様にこの魅力が伝わると嬉しいです。
3 AYA × ASARI.
作家からの作品解説
本作は、ビューティー業界で活躍するヘアメイクアップアーティストとヘアデザイナーの2人が、歌舞伎で男性が演じる女性役として象徴的な存在である花魁と、男性をより強く(またはより恐ろしく) 見せるメイクとしての隈取からインスパイアを受け、歌舞伎とビューティー業界に共通するジェンダーと誇張表現について捉え直そうとする作品です。
歌舞伎の舞台では通常、男性が女性役を演じますが、本作では女性モデルが本来男性が演じる花魁役に扮し、男性メイクである隈取を施されています。エクステを使用し連獅子をオマージュしたヘアスタイルや、伝統的な切り絵の手法を用い一枚一枚切り貼りして作ら れた衣装は、歌舞伎と現代のファッションを融合させつつ、彼女の生きる豪華絢爛な世界と彼女の地位の高さを感じさせます。
「男性が演じる女性を女性が演じる」「その女性に男性のメイクである隈取を施す」ことで、作品上で何重にも人物の纏うジェンダーを錯綜させ、揺さぶりをかけながらもその美を強調し、伝統と接続させる新しい表現です。
4 JUN KURAMOTO
作家からの作品解説
普段は自分が描きたいモチーフや形をベースに、「気持ち悪いけれど、ちょっと可愛くてかっこいい」を目指し、思いつくままにペンを走らせてイラストを描いています。
今回はドンデンガエシ EXPO と靴下屋 Tabio さんとのコラボ レーショングッズに使用するイラストデザインのご依頼を受 けたのがきっかけで、本イベントにご出演される市川青虎さ んと市川猿弥さんのお名前には「虎」「猿」と、それぞれ共通 して動物が入っていることに着目し、お名前の虎と猿をモチーフとしたロゴマークのようなシンプルなイラストを作成しました。
制作のポイントとしては、シンプルな線と規則的な図形の組み合わせで作画しつつ、線の太さのメリハリや、口元のみを左右非対称にすることで、歌舞伎らしい表情を作り上げてい きました。
また、一度猿と虎の顔を描いた上で、後から隈取のデザインを行いました。実際の隈取のデザインの特徴を分析、試作を繰り返すことで、それぞれの動物ごとの顔の造りに合うデザインが完成しました。
5 小野久留美
作家からの作品解説
私は、変化と保存の関係に興味があり、写真を土に埋めるという 手法で作品を制作しています。変化が絶え間なく起こっている「土の中」に、事象の瞬間を留めようとシャッターを押し生まれる「写真」を埋め、「変化」と「保存」の関係の可視化を試みています。今回は、歌舞伎や古典芸能と植物の関係を考え、古典芸能によく出てくる松と梅をモチーフに作品を制作しました。
古典芸能の舞台上や演目の中、また、衣装にも植物が刺繍されたりしていて、よく観察するといたるところで植物を見ることができます。植物は、ただ綺麗だから描かれたり使用されたりするのではなく、神聖なものの象徴として使用されたり、我々人間の心情を表すためにも用いられています。
なぜこの植物が使用されているのだろう、など意味を考えながら、我々の身近に古代から現代まである植物を通して、古典芸能、そしてアートを観るのもおもしろいのではないでしょうか。
また、写真は元々は複製が可能ですが、それを土中に埋めると様々な痕跡が刻まれ、全て異なる表情で現れます。古典芸能も、同じ 演目でもその日その日で動きや声量、場の雰囲気が異なると思い ますし、時代によっても変化しているかと思います。そのような 共通点なども探しながら作品を観ていただけたら幸いです。
6 小椿ーこはるー
作家からの作品解説
「うつし」( 四枚組作品 )
隈取や着肉に描かれている曲線に心惹かれました。この作品は曲線に着目し私の中で整理し描きました。 押し隈のようにモノタイプという手法で描きました。
「つながる」( 二枚組作品 )
日本の伝統芸能は長い歴史があり、大切に今日まで継が れています。途絶えることなくこの先も続いていくこと を願い、描きました。また、その時代ごとに新しい手法などが取り入れられ 進化していく様に一色ではなく複数 の色から一つの円に成り立っています。
7 吉見紫彩
作家からの作品解説
私は普段からバレエやコンテンポラリーダンス、ミュージカル、 現代演劇、宝塚歌劇など、舞台公演をよく鑑賞する方だと思います。 歌舞伎も数回観劇させていただいたことがあり、最後に見た演目は「蜘蛛絲梓弓張」という役者が 5 変化するというものでした。
歌舞伎の幕間は他の舞台芸術と比較しても長く、30 分以上あるこ とも面白く、いま幕の裏側では役者さんは隈取をお化粧したり、 衣装を着たり、細工を仕込んだりと様々な準備をされているのだろうなと想像しながら、楽しんでおりました。
そこで今回、幕引きから幕開けまでの幕間 30 分という時間に注目し、私もその 30 分で作品を描きあげるということに挑戦しました。 昭和の浮世絵師である忠雅の「隈取十八番 土蜘蛛の隈」を抽象化しペインティングしました。
今ここで作品をご覧くださっている方も、公演の合間の幕見かもしれません。長いようで速い 30 分という幕間にあるスピード感やドラマを想像しながらお楽みいただけますと幸いです。
8 森丈人
私が普段が制作している作品はインターネット上に存在する人物、 動物、植物な様々な画像を収集し、それらをカッティングマシンという機械を用いて切り取り、コラージュ素材として利用して作品を制作しています。
今回制作した作品は江戸時代の浮世絵師、歌川国貞、勝川春英、 東洲斎写楽などが歌舞伎をモデルに描いた浮世絵のカタチを収集し、ペインティングとコラージュの手法で作品を制作しました。
当時の浮世絵師たちが描いた歌舞伎を再構成することで新たな視 覚的体験、各カタチから当時の歌舞伎の情景を想像しながら作品を鑑賞していただけると嬉しいです。
9 生駒敦 × BON CHIC BON GOUT
伝統とは常に過去と未来に挟まれ 歴史を受け継ぐことと、未来を作ることを同時に強いられる。
作品の見どころは演目上演中に行われる早変わり。 各回上演中に、澤瀉屋 ( おもだかや ) の放つダイナミックな 早変わりに負けず劣らず、大胆な装飾組み替えを行います。 本作品は歌舞伎と同様、伝統文化であるいけ花をアート作品として昇華し、歌舞伎の要素のひとつである” ケレン” 、観 客をあっと驚かす演出から着想を得て制作しています。 澤瀉屋を象徴する早変わりやダイナミックな演出をいけ花に取り入れ、大胆かつ日本の美意識を散りばめた作品です。
日本の固有種である藤蔓を主花材として自然の歪みや曲がり のみを使い組み上げます。 さらに今回は、軽井沢にも拠点を持つフラワーメゾン BON CHIC BON GOUT とのコラボレーションで季節の花々を、現代的にいけ花に取り込みます。
作品の前後だけでなく、ライブ感あふれる” ドンデンガエシ” をぜひお楽しみください。
慈姑 ( クワイ ) とは、澤瀉屋の家紋のモデルとなった澤瀉の 栽培品種を意味します。原種を礎としつつ変化することを意味したこの作品を歌舞伎界へのエールとして送ります。
イベント概要
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