ショートショートnote杯感想

 みなさまこんばんは。明日は予定があるので、今日のうちにこちらの企画について簡単にふりかえりたいと思います。

 まず、主宰してくださった高橋晋平さま。素敵な企画をありがとうございました。以下の紹介記事に上がっていた「伝説のおっちょこちょい」がクスッと笑えてハートフルで好きです。

 初めて、題名が決まった状態で書くということ、ショートショートというジャンルに挑戦し、いつもと違う難しさと面白さがありました。
 題名が決まっているため、当然他の方も同じ題名で作品を書かれます。自分も書こうと決めたお題の作品は、極力書くまで読まないようにしていました。といっても、フォローさせていただいている方の作品でこの企画を知ったくらいなので、その方々のは先に読むこともありました。読んでしまうと、どうしても、いい作品に引っ張られたり、違うものを書くぞと力んでしまいそうだなと思ったからです。
 私は、題名一覧を見て早々に、完走は諦めました。完走なさっている方が多くてすごいなと思います。苦手分野もあったり、知った時点で時間が足りないなと思ったりしたからです。書きたいものを自分の力で書くため、書きたい!と思ったものを一つずつ、マイペースに、書けるだけ書こうというゆるふわな目標を立て、書いていきました。
 最初の頃は、一つ書くごとに同じ題名の他の作品も読んでいましたが、だんだんその余裕がなくなり、とにかく書きたいものを書くことに専念しました。時間ができたら、タグをたどっていきたいと思います。
 なんとなく全体を通して気をつけていたことは、

・題名が生きる作品にする
・情景、登場人物の人物像や背景を浮かび上がらせる
・臨場感と温かみのある、独創的な作品を書く

でしょうか。
 この前の記事で書いたように、タイトルは大事にしたいので、題名と作品が乖離しないように努めました。
 短い文章の中で、ストーリーを展開させながらイメージを膨らませるのは難しかったですが、とりあえず書いてみて、410字以内に収まるよう削ぎ落としていく作業はなかなか楽しかったです。ぴったり410字にできると快感を覚えました。
 こんな世の中、小説くらいほっこりしたいじゃないと私は思うのと、私が読みたい、かつ書いていても楽しいのは、ほんわかじーんと自分が納得して共感できるもので、その路線が書きやすい(感情を乗せやすい)ので、そういう作品を目指しました。後、わからないものが書けないので、推理物(名探偵のお題)とかは書いてみたかったけど書けませんでした。よくありそうなネタにすると、作家でないので書く技術的にどうしても劣るため、アイデアで勝負しようと思いました。
 縛りがあると、自分だけでは思いつかないような発想が出てきて面白いなと思いました。

 最後に、作品語りをしたいと思います。

各作品について

しゃべるピアノ

 これは、最初のお題ということで、とっつきやすさもあり、参加なさっている方が多かったですね。私も一番に思いつきました。
 題名を見た瞬間に、「しゃべる」→「シャベル」に変換され、ドキドキワクワクするようなものにしたいと書き進めました。ちょうど仕事で「シャベル」「スコップ」のことを調べていたのもあり、関西から関東に引っ越してくる転入生の主人公にしたいと思いました。ピアノを九年、三年間部活動で合唱をしていたので、その頃を思い出しながら、部活動で使っていた音楽室をイメージして書きました。
 「ドキドキしました」という感想をいただけてとってもうれしかったです。

数学ギョウザ

 これも題名を読んですぐ思いついたのですが、まただじゃれか…と思われないか心配でした。妹にはすぐオチが読めたと言われてしまいました(笑)
 「すー」は自分とは全然関係ないです。穏やかで茶目っ気のある、ギョウザが大好物な女性をイメージしながら書きました。勘違いされていないとよいのですが、最初にすーの夫の声を聞いている女性はすーではないです。お盆って、精霊馬もいいけど、好きな食べ物のほうが帰ってきたいと思いそう、いいにおいだったらなおさら、と思うので、ギョウザはぴったりだなと思いました。
 また、始めの方に読まれた方が読み返したら、あれ?と思われたかもしれません。すみません。最後の短歌もどきが三十一文字になっておらず、こっそり改めました。

違法の冷蔵庫

 この作品は、短くするのに苦労しました。少しお堅い話になりそうだったので、初めて妹に事前に読んでもらいました。妹の一言を受け、私が伝えたかった主人公の思いが正しく伝わるように、とある一文を追加しました。妹監修作品です。
 いつもは、小説だけ、公開後にアカウントを知らせず下書きを読んでもらい、生の率直な感想をもらっています。思いもよらない感想に驚くこともあります。書き手の手を離れたら、解釈は読み手それぞれに委ねられるのが小説だと思うので、基本的には感想を受けて内容を変更することはしません。それでも、曲がって伝わってほしくはないので、伝えたいことを正しく受け取ってもらえるよう配慮した上で、感想は思い思いに持っていただけるようにしたいと思っています。この作品は、表現を少しでも誤ると台無しになると思い、調べたり省略の加減に悩んだりと気を遣いました。
 初めてルビ機能を使いました。(このルビが字数カウントされないことを願います…)
 「罪を憎んで人を憎まず」というコメントをいただき、そうだなぁと思いました。いろいろな事情で作品やものが放送・連載中止、販売中止になることになんともいえない気持ちになります。その配慮は消費者に対してなされており、消費者側が違うという声を上げればその風潮も変わるのかもしれないと思いました。

金持ちジュリエット

 お気づきになるかな、ならないかな、気づかれたとして強引だと思われるかな、くらいのロミジュリの人物名、地名、物などを申し訳程度に織り込みました。だじゃれが思いつきやすいですよね。安直かもしれませんが。言葉遊びは優れた作品にも見受けられますしね。
 英米文学の授業で最低限ロミジュリについて教わったものの、イギリスに詳しくないため、身近な話にしようと構想を考えました。「金持ち」と聞いて、普通のお金持ちでないとしたら、銀行か経理か遺失物係かな、と思ったときに、ドラマが起こりやすそうな遺失物係を場面として書き始めました。「ジュリエット」はあだ名っぽいなと思い、あだ名といえば学生かな、やっぱり「ロミオ」は出てほしいな、と考えを膨らませていきました。

よみがえるATM

 実は、「金持ちジュリエット」より前に思いついた作品です。11番のカードを見ていて、「よみがえるATM」という組み合わせがぱっと浮かび、「ATM」から考えられることを連想していきました。登場人物も「M」という小屋にちなみ、「母(Mother)」「まーちゃん(Ma-chan)」と「M」に関連しています。お母さんにとってのまーちゃんは、まだ赤ちゃんくらい小さいままなので、なんとなくやわらかいあだ名にしたいと思いました。
 作品が後出しになったのは、英語の呪文部分に自信がなく、英語に詳しい友人に見てもらっていたからです。彼女曰く、「今回の意味での『よみがえる』という表現を和文分析(日本語独自の慣用句のような言葉を、一般的な表現にすること。今回でいえば、『復活する』『生き返る』『再生する』などにすること。)してより近い表現に置き換えてから英訳することもできるけど、英語圏の文化的に、『よみがえる』は宗教的な表現になりやすい。日本の『よみがえり』という信仰と少しずれる。だから、この作品に馴染むシンプルな単語を使ったほうがよい。」とのこと。彼女の助言を受け、あの表現を選びました。友人監修作品です。

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 少しずつ、また書くということを楽しめたらなと思います。企画への参加は一旦お休みしようと思いますが、代わりに、今回の「ショートショートnote杯」を始めとする、参加させていただいた企画の他の作品を、ゆっくり読んでいけたらいいなと思っています。

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