米国版エヴァンゲリオンと人類補完計画。ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞、終わりなき平和・ジョー ホールドマン
刊行が1997年になっているから、日本でTV放映された「新世紀エヴァンゲリオン(1995~1996年)」と1年くらいしか違わない。同時期に書いていたというべきか。どこかで誰かが指摘したかまでは調べていませんが、妙に似た背景で描かれていてとても面白いと感じました。
ストーリーは驚くほど似ていませんが、複数の人間の意志で遠隔操作する機械兵ソルジャーボーイ(人間程度の大きさ)たちの戦争・政府要人に潜む人類滅亡を目指すカルト集団・宇宙全体を破壊する可能性を秘めた木星軌道上の粒子加速機実験。なんとなく「新世紀エヴァンゲリオン」を連想しませんか。旧エヴァと新エヴァのDVD全部集めてる私が言うのだから間違いないです。そして「終わりなき平和」は全く異なる面白さの小説でした。
機械兵への神経接続とは、映画『マトリックス』や『攻殻機動隊』のように後頭部のジャックにプラグを差し込んで繋がることです。人間は戦闘区域から遠く離れた場所に寝た状態で動かします。ガンダムみたいに操縦するわけではなく、意志の力で動かすという意味でエヴァンゲリオンに近い。
機械兵を動かすために体力や運動神経は関係なく、小隊を指揮し兵役を務める主人公の本業は大学の物理学の教授。30代の黒人男性、恋人は同じ大学で科学の教授である50代の女性。この辺は日本と異なり大人な設定。
主人公たちはある日、粒子加速機に関わる科学者からの要請で、この実験が地球だけでなく宇宙全体を破壊する可能性があることを検証し始める。その結果をもとに、実験を中止させるべく論文を発表するが、人類滅亡を目論む「神の鉄槌派」がそれを阻み、暗殺者を送り込んで来た。
一方、ソルジャーボーイに長期間神経接続することによって起きる人間性の重大な変化に気づいた学者は、人類を永遠に平和な世界へと導く可能性を模索していた…
半分読み進めた辺りからクライマックスにかけては物凄くスリリングで面白くて、これは傑作だと思っていましたが、終盤のまとめ方が強引すぎてちょっと興ざめしました。故に★3つ。
人類を滅亡させようとする一派と、人類を平和な種族へと変革しようとする人々の戦い。まるでもう一つの人類補完計画のようでした。
<(ↀωↀ)> May the Force be with you.