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〈コラム〉学生の目に福祉はこう映っているらしい 後編

みなさんは、「福祉」ときいて、どんなイメージが頭に浮かびますか?

ヨコヨコでは、運営する大津市障害者自立支援協議会で学生を対象に実施した〈障害福祉の仕事に対するイメージの調査〉の結果をもとに、「学生の目に福祉はどう映っているのか」をテーマにした連載をしています。

その1では福祉の仕事全般、その2では障害福祉の仕事に対して学生がもつイメージのデータを紹介しました。

その3では、アンケートの自由記述と個別インタビューの、学生の生の声をいくつかご紹介していきたいと思います。
※今回のアンケートでは、福祉・非福祉問わずさまざまな学生から回答を頂きました。()で、コメントをくださった方の学部を参考につけております。

どうする、マイナスイメージ

たとえば、
■ 利用者一人一人と向き合い、その人に合った生活を共に考え作っていく素晴らしい仕事だと思います。(教育学部)
のように、「尊い仕事」というイメージにつながるポジティブな見方もありました。しかし、ネガティブな声が自由記述には、多く見られました。

■ 正解がなく個人のやり方で決まるというイメージがあるため精神的な面で大変そうだなと思う。(社会学部)
■ 私は福祉について触れる機会があまりないので正直ポジティブな印象があまりないのと、生涯ずっと福祉の仕事をするイメージが湧いていません。(教育学部)
■ 将来の仕事にするか問われた際には少し戸惑ってしまった自分がいた。やはり周りの目とか気にしてしまう時もある。(政策学部)

福祉に対するネガティブなイメージをもっている人が少なくないのは、アンケートの数値にもあらわれたように実情です。ですが、この事実はどのくらい前提とすべきなのでしょう。ハッとさせられるコメントがありました。

■ 就活でも福祉関係の企業の説明を聞くと福祉と聞けば「マイナスイメージを持つかも知れませんが」という話題から始まることがほとんどである。そのような場所に行くと私は授業を通して福祉について学ぶ機会があったからそんな偏見もなく素直に受け止める事ができるだけであって大体の人は福祉をマイナスイメージで捉えているのかなと実感する。(社会学部)

マイナスイメージを前提とした語りが、その前提のない人にそれを認識させたり、イメージを固着する可能性には注意を払わなければなりません。

家族や家庭の影響

福祉の仕事に対するイメージを、家族や家庭の影響を受けて形成されている人も少なくないようです。

■ 母が老人ホームで介護福祉士として働いているが、体力的・衛生的にとてもキツいと言っているので、その印象がある。(社会学部)
■ 私の父は市役所の子育て支援課で、姉は社会福祉法人の障害者施設で、母は高齢者施設で働いています。夜勤も多い介護職で、身も心も疲れ果てて帰ってくる家族を見てきました。忍耐力と使命感がなければ、長くは務まらない仕事だと感じてます。(経営学部)

家族のキツそうな姿を間近で見て、イメージを形づくってきた人もおられます。その一方で、

■ 友人が福祉の仕事に就いていて、両親ともに福祉の仕事をしていると言ってたので、家族で同一職に就く方も多いのかなというイメージ(農学部)

のように、家族の影響で福祉に就職する人もおられます。

アンケートも一つの接点

アンケートでは、最後にこんな質問も設けていました。

障害福祉の仕事

■ 最後の設問により、福祉にも大小関わらず、いろいろな仕事があるんだなと気づいた。(経営学部)

その他にも、
■ 自分は老人ホームのボランティアには行ったことがありますが、障害のある人に関わる経験は少なかったことに気づきました。障害福祉にも関心があるので実際にボランティアなどの経験をしたいと思いました。(社会学部)
■ 回答した通り、精神的にも身体的にも障害福祉の仕事はキツいと考えていますが、それでも障害福祉に携われる仕事に私は就きたいんだと改めて気付かされました。(社会学部)

といった感想もいただきました。

このアンケート自体が、一つの気づきの機会になったのだとすれば、とても嬉しいことだと感じます。貴重なお時間を割いていただいた学生のみなさん、本当にありがとうございました。

おわりに

3回にわたって、〈障害福祉の仕事に対するイメージの調査〉の結果をご紹介してきました。みなさん、どのように感じられたでしょうか。

共生社会においては、社会全体で福祉に対する意識が高まり、一人一人がより福祉的なあり方を暮らしのなかで実践していくことが大切です。より多くの人たちと福祉・障害福祉との関係づくりの一つのヒントに、この調査がなればとても嬉しく思います。


*よければ、ヨコヨコのインタビューも覗いてみてください!*


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