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神影鎧装レツオウガ

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2019年3月の記事一覧

神影鎧装レツオウガ 第二十九話

神影鎧装レツオウガ 第二十九話

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Chapter04 交錯 06「……、」
 風葉は絶句した。
 信じられないのだ。目の前の光景が、あまりにも。犬耳を初めて見た時の方が、まだ現実感があったかもしれない。
「ええ、と」
 軽い頭痛。頭を振って追い出す。しかる後、風葉は状況を改めて思い出す。
 つい数分前、翠明寮の食堂で禍《まがつ》の鎮圧任務を受けた。それは良い。ごはんを食べ損ねた事も含めて

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神影鎧装レツオウガ 第二十八話

神影鎧装レツオウガ 第二十八話

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Chapter04 交錯 05 時間は少々さかのぼって、風葉がおあずけをくらう少し前。
 農業校なので敷地だけはやたら広い県立日乃栄《ひのえ》高校、その地下。数十メートル単位の分厚い土とコンクリートの向こう側に、ある施設が存在する。
 正式名称、第二十番貯霊地。
 今まで何度か辰巳《たつみ》の話に出ていた、日乃栄の霊地がここである。
 この日乃栄霊地に限

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神影鎧装レツオウガ 第二十七話

神影鎧装レツオウガ 第二十七話

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Chapter04 交錯 04 欺瞞、目算、権謀術数。
 どこかで、誰かが、思惑を練っている。恐らくは今、この瞬間も。
 神影鎧装を、Eマテリアルを、それらの筋道上にある利権を。
 飽きもせず、懲りもせず、虎視眈々と狙っている――。
 天来号《てんらいごう》へ出入りする度、凪守《なぎもり》の同僚と顔を合わせる度に、そんな空気を辰巳《たつみ》は嗅ぎ取ってい

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神影鎧装レツオウガ 第二十六話

神影鎧装レツオウガ 第二十六話

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Chapter04 交錯 03 チン、とエレベーターが到着を告げる。目的地、とある高層ビルの最上階に到着したのだ。
「では、参りましょうか」
 そう言ったのは黒いスーツに黒メガネの男、サトウである。今日も能面のような笑顔を貼り付けながら、サトウは誰も居ない廊下へ躊躇無く踏み出す。
「うぃーす」
 次いで気だるげに言ったのは、仮面の男ことグレンだ。コツコツ

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