見出し画像

パワハラかどうかの判断(業務上必要かつ相当の基準)

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 昨日は、一般社団法人大阪労働協会主催の「職場のメンタルヘルス実践研修セミナー~職場における【STOPパワハラ】最前線」で、「しない、させない、人も組織も守るパワハラ対策とは」というテーマで講師をしてきました。

 私の他に、「叱り上手になるためのアンガーマネジメント活用法」というテーマで、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会公認講師の中川淳先生の講義と、一般社団法人おおさかメンタルヘルスケア研究所代表理事の藤本修先生も登壇されていましたが、大変興味深いテーマで、聞き入ってしまいました。

 アンガーマネージメントについては、結構勘違いしていたことがわかりました。
 それにしても、アンガーマネージメントもコミュニケーションの問題を含んでいたんですね。一人で我慢することではなかったのです!

 さて、私の講義では、パワハラについては何か、という基本的なことから、今年4月に全面施行となったパワハラ防止法を受けて厚生労働省が出しているガイドラインの内容の紹介を簡単に行いました。

 パワハラとは何かについて説明する中で、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラではない、という話をしたところ、「客観的にみて業務上必要かつ相当」というのは、一体誰が見て判断するのか、という質問を受けました。

 確かに、業務の現場においては、どんな行為なら業務上必要かつ相当と言えるのか、迷うことがあると思います。

 一般常識と言ったって、業界によってその常識は違うでしょうし・・・

 裁判になれば、業務上必要かつ相当かどうかは裁判官が「一般常識からしたらこうだよな」という基準で判断します。

 そして、その基準は、結構まともなきちんとした人が基準になることが多いです。
 裁判官は、良いご家庭で生まれ育った方が多いため、世間の中でも中流階級以上の感覚がベースにあるようなのです。

 したがって、業界内ではパワハラにはならないと考えられるようなのでも、裁判になったらパワハラと認定されてしまうかもしれません。

 ですから、会社が確実にパワハラ防止に取り組もうと思うなら、少し厳しめに業務とパワハラの境界線を念頭に置いておく方が良いでしょう。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?