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パワハラの原因追求の難しさ

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 先日、友人が手造りのカゴバッグを販売するというので、顔見がてら行ってきました。
 どの作品も可愛くてステキで上品で、友人の性格がまるまる出ているようでした。
 ありえないくらいの安い値段で売っているところも、らしい!と思いました。

 私もそういう手芸的なことは大好きなのですが、忙しさにかまけてやらないでいたうちにすっかり老眼が進み、今ではたとえ時間があっても億劫な感じになっています。

 それなのに、事務所の行き帰りの電車の中や、ランチが出てくるのを待っているときや、風呂に浸かっている間、ただボーッとすればいいものを、ついつい小説を読んでしまい、老眼はますます進行中です。

 先日読んだ本は、思いがけず、パワハラや女性の社会進出に関する問題意識がぎゅうっと詰まった小説でした。

 県庁の納税事務所といういかにもストレスが溜まりそうな職場で(納税事務所のみなさん、失礼!)、アルバイト職員が追い込まれていく話なのですが、追い込んでいる方もいろんな形で追い込まれていて、受け止めてしまいがちな人にみんなのストレスが集中していった結果、ハラスメントの被害者と加害者が出てしまうという話でした。

 この役所では職場のハラスメントをなくす取組みもされますが、教材に使われる動画は、誰が見てもハラスメントとわかる場面設定になっていて、こんなあからさまなことをする人はいません、と登場人物に指摘される程でした。

 現実世界のハラスメントは、加害者本人も被害者本人も、それがハラスメントだと明確に認識していることの方が圧倒的に少ないと思われます。

 ハラスメントの被害が発覚した後、事実確認や再発防止などという名目で犯人捜しが行われるのですが、加害行為をした人が普段から高圧的なわけではなくむしろ親切な人だったとか、加害者とおぼしき人が何人もいるとか、決定的な出来事があったわけではなく日々の業務中の些細な出来事が積もり積もった結果であるために、犯人捜しは難航していました。

 読み終えた後にもう一度最初から読み直したいと思える複雑で考えさせられる話でした。

 職場の人間関係とか、無口な人が実は何を考えているかとか、自分はその中でどう行動すべきかとか・・・

 興味ある方は是非読んでみてください。

 伊藤朱里さんの『きみはだれかのどうでもいい人』という本です。

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