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人権課題の洗い出しと評価

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 昨日、役員をしている会社の女性活躍推進PTに出席してきました。
 女性に限らず男性も含めて全社員が働き易い職場にするにはどうしたらいいか、将来的に女性管理職や女性役員を増やすにはどうしたらいいか、という問題について、女性従業員が中心となって月に1回集まり、各地の事業場ともテレビ会議でつなげて話し合いをしています。

 昨日の会議では、現在起こっている事象について、「それは人権問題ではないか」という取締役の発言がありました。

 「人権問題」と認識できる意識の高さに感動し、それをなんとか良い方向で解決しようとするメンバーの真剣さに心を打たれました。

 やみくもに女性を抜擢して数字合わせをするのではなく、現場の隅々にまで配慮した働き易い職場環境づくりを地道にすることの大切さを感じました。

 人権デューディリジェンスを推進していくために、昨日のnoteではまず「人権方針」を作って公表することから始めましょう、という話をしましたが、次にやるべきことは、人権課題の洗い出しです。

 課題の洗い出しと言っても、当然、企業活動と無関係なところまで把握する必要はありません。

 他方で、自社の内部だけの話で完結させることもできません。
 ビジネスは、他社との取引が欠かせませんが、その取引先にもさらに取引先があります。そのサプライチェーンの各段階において人権課題がないかまで確認する必要があります。

 とはいえ、「THE 人権課題!」として目の前に現れるものはそんなに多くなく、日頃から意識していないと人権課題を発見することは難しいプロセスです。

 経営者が一人で人権課題を発見しようとするのではなく、政府、国際機関やNGO等から出されている情報を参考にしたり、従業員や取引先から話を聞いたりアンケート調査を実施したりして課題を洗い出してみてください。


 洗い出し作業がだいたい終われば、次は、どの人権課題から解決していくかという優先順位をつけていきましょう。

 優先順位を付ける時には、重要性と緊急性という2つの判断軸を使い、重要かつ緊急の課題から取り組んでいくことになります。

 自社の属する業界において今現在取り沙汰されている問題や、NGOが問題視していることについては、早急に対処しておかないと大事に発展する可能性が極めて高いといえますから、世の中の情勢にもしっかり目を配っておくことが求められます。

 社外の専門家の助言を受けることも大切です。

 社内だけで検討していると、広い視野で客観的に課題を把握して評価することは困難です。
 積極的にステークホルダーと対話をする機会を確保したり、外部の専門家のアドバイスを受けるなどして、課題の抽出と評価を行うようにしましょう。

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