犬の悪い癖をやめさせるには?

家にいる時間が増えると、犬との時間が増えてきますよね。でも、リモートワークの最中に「遊んで遊んで~♪」とせがまれて集中できなかったり、気が付いたら家の中をめちゃめちゃにしていた!なんてこと、ありませんか?

今日は飼い主さんが犬の困った癖をどうやって修整していくか、ということをお伝えします。


1.飼い主さんからの無意識のご褒美を止める

まず気を付けなくてはいけないのが、飼い主さんがしている仕草でご褒美になっていることがないかということです。何気ない仕草が犬にとってはご褒美になって悪い行動が強化されていることが多いんですよ。例えば・・・

・悪い行動をした後「ダメ」と声をかける
・せがまれたときに視線を向ける
・本を読んでいるときに邪魔されて、犬を抱っこして移動させる
・モノを盗られたときに追いかける

声をかけたり、抱っこしたり、目線を合わせたりするのは、飼い主からのアテンションが欲しい犬にとっては、ご褒美になっているかもしれません。追いかけるのは遊んでくれると勘違いしている可能性もありますよ!

詳しくはこの記事も見てみてくださいね。


2.無視する

じゃあ、無意識のご褒美を止める代わりに何をしたらいいかというと「無視する」というのが最善の方法です。目線も合わさず、声もかけず、静かにすっと立ち上がって背中を向ける。「私は今そういうことをしませんよ」という意思をボディランゲージで表現します。これは犬同士でも行われるカーミングシグナルの一種です。

Tip:カーミングシグナルとは?
テューリッド・ルーガス氏による著作で、一気に有名になりましたが、「カーミングシグナル」とは、他の犬や動物との争いを止めるときに見られる行動です。このシグナルは、「不安」「恐怖」「葛藤」を犬が感じていることを示します。カーミングシグナル同様の行動は犬の祖先のオオカミにも見られ、「カットオフ」シグナルと呼ばれます。

犬のボディランゲージはこの記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。


3.その悪い癖が起きないように徹底的に環境を管理する

一番楽なのは、この「環境操作」だと個人的には思います。1と2は犬の悪い行動が出た時の対処法ですが、3は予防法です。例えば、

・スリッパを盗む犬がいるのであれば、スリッパをそもそも犬が盗めないようにしまいましょう。
・仕事中に「遊んで」とせがまれるのであれば、その前にお散歩にいって適度に疲れさせて、ケージに入れましょう。きっとお昼寝してくれますよ。
・家のものをカジカジしてしまうというのであれば、カジカジしてよいおもちゃだけ渡して、それ以外は犬が触れないよう、フェンスなどで囲いましょう。
・トイレを失敗するのであれば、犬が排泄しやすいタイミングにトイレスペースに連れていきましょう。

この予防ができれば、そもそもその行動が表出しないため、悪い行動の学習が進みません。一回でも楽しい思いをすると、犬はその行動をもっとやろう!と学習してしまうんですね。言い換えると、悪い行動を犬がしている=犬の一つ学習が進む=悪い行動の頻度が増えるということなんです。(このことを行動学ではオペラント条件付けと言います)

4.1~3をやっても止められない場合、他の行動を教える

そもそも行動を起こさせない3を最初にやって、もしその行動が起きちゃったときは1や2を実施するということをお勧めしていますが、それでもその行動の頻度が低くならないという場合があります。あるいは、環境操作が行えないということがあります。例えば・・・

チャイムが鳴ったら吠えるという場合、チャイムを切るわけにはいかないですよね。犬は吠えたら見知らぬ人が帰っていったという成功体験を重ねるので、どんどん行動が強化されていくパターンです。

こういう場合は、吠える代わりに他の行動(例えばオスワリ+マテ)をしていたら、さらによい結果が待っているという学習をさせるやり方があります。吠える以外の行動であれば、なんでもよいので、吠えずにいたというときに、ちょっとランクの高いご褒美(例えばささみやレバーのゆでたものなど)をあげてみてください。


5.1~4をやっても止められない場合、ダメなことをダメと教える

1~4をやっても、ダメな行動が止まらない場合は、その行動をすると犬にとって嫌なことが起こるよ、という学習をさせて、行動の頻度を減らす方法があります。例えば「吠える=大きな嫌な音がする」と結びつくと、悪い癖が徐々に直っていくことがあります。

Tip
この「犬が生理的に嫌がることやもの」を嫌悪刺激と言います。

ただ、この方法を一番最初に試してはいけません。嫌悪刺激が大きすぎると犬にとってのトラウマになりかねませんので、プロと一緒に使用していくことをお勧めします。

この記事でも嫌悪刺激の使い方は詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

せっかく犬といる時間ですので、よりよい時間を過ごすために、いろいろ試してみてください。もしこんな行動で困ってる、解決法を知りたいなどあれば、コメントでご意見ください!今まで受けた相談やよくある問題行動の具体的な改善方法はこちらでも紹介しています。



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