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創業計画書を書いて悶々としてたけど、ある人の出会いをきっかけに原点に戻った話

このnoteは、専業主婦の私が、身体にも自然にもクリーンなスイーツショップ「Yoko Bakes」の開業記録です。

2020年末、賃貸契約を交わしてやっとスタート地点に立ったヨーコベイクスです。お店をやる!と告知すると、

「どんなお店にしたいの?」

と、よく聞かれます。自分でも問いかけてます。そして、もちろん、融資を申請する為に書く「創業計画書」なるものを書く上でも、重要な点となってきます。これまで漠然と描いていた「私のお店」を、具体的に、言葉に、数字に、落としていく作業です。店舗物件を内見して、さくっと創業計画書を書いて、融資を申請するつもりが、全然さくっと行きませんでした。

創業計画書との格闘でやっぱりお店はやめようかと思った

創業計画書は、ほぼほぼ数字です。私の苦手な、数字です。年間売上が何円で、そのうち何円が仕入れ原価で、どれだけが固定費で、変動費で、二年目の年商はどれくらいか、等々。原価率くらいならまだしも、粗利率、変動比率、キャッシュフローなどなど、そもそもこういうお金に関する用語が分かりません!さらに、商圏リサーチなるものもするので、お店のあたりに何人住んでいて、一人当たり年間平均何円くらいケーキに使って、だからお店のポテンシャルはこれだけで…。うんうん唸りながら、エクセルと睨めっこ。

エクセルの年商の数字を変えると、あれ?もっと作らないと!もっと作るには、機械大きくしないと!じゃあ初期費用もっとかかるな。え、でも人も雇わないと出来ないんじゃ?この時期、ネット販売も必須だよな。じゃあホームページ制作費と、人件費と、あれと、これと、えーと、えーーっと。エクセルに叩き込む数字がどんどん大きくなっていく。機械、生産性、効率性、そんな言葉が飛び交う。

「これって、私が本当にしたかったことだっけ?」

私がやりたいのって、こんなに大きな規模だっけ?そもそも、作るのが好きだったら、お家で細々作ってればいいんじゃないの?

やっぱりやめとこうかな…

なんて思い出したその時、ある人と出会うことで、ふっと原点に立ち返り、再び動き出すことが出来たのです。それは、魔法みたいに、「あ、なんだ。たったそれだけのことか」って、今から思えば、めちゃくちゃシンプルなことでした。

原点を思い出させてくれたイタジマさんとフレアちゃんとの出会い

私と5歳の息子は、毎朝電車に乗って、保育園まで行きます。たったの一駅だけど、「これに乗り遅れたら保育園にも遅れる!」という電車があって、冬になって朝の準備がスローになってきた私と息子は、その電車によく乗るようになりました。いつも乗る位置は大体決まっているのですが、ある日、息子が、「あっちから乗りたい!」と言うので、いいよー、と、違う所から乗車。そこはホームの幅が狭くて、私としてはあんまり好まなかったのですが、ま、いっかーという感じで。

そしたら、そこに、盲導犬と、盲導犬を連れた男性が乗っているではないですか。犬好きで、犬を飼いたくてしょうがない息子は大喜びして、近寄りたそうですが、「お仕事中だからね」と言ってそっと見守ることに。そしたら、ラッキーなことに、その男性と盲導犬も、私たちと同じ駅で降りたのです!そして、そこから、もちろん後を追いかける息子(と、私)。たまたま保育園と同じ方向だったので、その後を無言でつける。犬が止まったら、私たちも一歩後ろで止まる。進んだら、また進む。そして、保育園に行く途中で男性とその盲導犬は会社と思われるビルに入って行ったのです。

その次の日も、私と息子は朝の準備が遅くて、「これ逃したら遅刻電車」に乗車。昨日のことを覚えていた息子は、「今日もあっちから乗ろう!」と、同じ場所へ。そしたら、また、その男性と盲導犬がいたのです!そして、同じ駅で降りて、後ろをついていく。その次の日も、またその次の日も。

だんだん罪悪感というか、これでいいのか、という気持ちになってきました。だって、この男性と、盲導犬の後ろを、ぴったりくっついて歩いて、犬が止まる→男性が止まる→私たちも止まる、男性と犬が再び進む→私たちも進む、というサイクルを、ずーっと繰り返しているんです。しかも、盲導犬のお仕事を邪魔しないように、ヒソヒソと。私だったら、誰がついてきてるか、知りたいだろうなぁと思い、一言挨拶したいな、という気持ちになってきました。

そんなある日、今日は挨拶しよう!と決めてその電車に乗り(どうせ遅刻ギリギリ)、最後に男性が仕事のビルに入る前で、呼び止めました。その時になんて言ったのかは全然覚えていないのですが、気づいたら和気あいあいと会話をしていて、お名前も聞いて、ちょっと雑談をして、またね~という感じで別れました。何だか嬉しくて、息子と、「やったね、お話できたね~」とルンルンで登園。

イタジマさんというその男性とフレアちゃんというそのガイド犬は、その次も、またその次の日も、後をつけて、オフィス前で声をかける私たちを、こころよく受け入れてくれました。そして、私がお店を始めることも話すと、「オープンしたら行きたいです」と言ってくれました。私はそれが嬉しくて、店舗を持つことに対して何だかもんもんとしてた気持ちが、パッと晴れたように感じました。「お店を完成させて、イタジマさんに、来てほしい!」と思ったのです。そして、そう思ったら、急にワクワクしてきたのです。

フレア

だけど、ガイド犬ユーザーのイタジマさんに来てもらうには、お店としてどうすればいいんだろう?次に会ったときに、聞いてみました。そうしたら、「そうやって聞いてくれることが一番です」、と返事。

「最寄りの駅まではフレアと行けるので、そこからお店までガイドしてください。駅に着いたら電話します。」とのこと。私は、「駅まで行きます!行きます!」と言いながら、「10分後に戻ります」って感じの、ヨーロッパなんかの店の扉に乱雑に貼ってあるメモを思い出しながら、そして、同じことを自分の店でもしている自分を想像しながら、ワクワクしてしまいました。(ちなみにヨーロッパでは10分経ってもお店の人は戻ってきません!笑)

余裕のあるお店でいたい

そこで、「あ、そっか。」と気づいたのです。

私は、そうやって電話があったら、すぐ外に出て、駅まで迎えに行けるような、余裕のある人でいたいんだ、って。イタジマさんがお店に来たら、お店に出てるケーキの説明を、一つ一つ出来るような、そんな人でいたいんだ。そんなお店でいたいんだ、と。だったら、そういう余裕があるお店作りをすればいいんだ。

なーんだ、そんなことか、と思いました。そして、あ、これって、そもそも私がイギリスでカフェを始めたいと思った理由と、何にも変わってないなって。そしたら、すーーーっと原点に戻れた気がして、「ま、計画書の数字だって、やってみないと分からないしな」ってな感じで、距離を置いて見ることが出来たのです。

今もですが、イタジマさんと出会った最初のころ、「目が見えないって、どんなだろう」ってよく考えました。お風呂に一人でつかりながら、試しに目をつむってみたら、体を動かしてもいないのに、怖くて5秒と閉じてられませんでした。

美しいケーキを仕上げて、それを愛おしむのが生きがいと思っていた私は、ケーキが見えなかったら、どうなるだろう。イチゴとクリームの色のコントラスト、アップルタルトの紅玉が等間隔に並べられた様子、無花果を切ったときに出てくるあざやかな、透き通ったようなあの色…。これが見えなかったら、私、生きていけるかな、と思いました。これがなかったら、生きていけないかも知れない、と思いました。

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それでも、朝一緒になるイタジマさんは、そんなことを感じさせないほど、なんだかさっそうと、さわやかな感じで歩いているのです。フレアちゃんと一緒に、Go!とか、Good!とか指示を出しながら、何だか、楽しそうなのです。イタジマさんの、生きる力みたいなのが、どこから来るんだろうって、何だかそれがずっと頭から離れなくて、私の設計士さんに話してみました。彼女も、色やパターン、ディテールなど、ビジュアル中心の仕事をしているから、共有したくなったのです。そしたら、

「本当にたいせつなものは、目に見えないのよ」

と。

ハッとしました。「本当に大切なものは、目に見えない」。あ、そっか。イタジマさんは、知ってるんだな、本当にたいせつなものが何を。目が見えなくても、イタジマさんは、大切なものが、見えてるのかも知れない。そして、私が大切なもの、ヨーコベイクスが「ほんとうに」大切にしているものって、何だろう、って思ったのです。

そして、その答えは、まだまだ言語化できていないし、無理やりするつもりもないけれど、きっと目に見えるものでもないし、触れられるものでもないと思っています。ケーキが美しいことが、それを見ることが、一番大事と思っていた私にとって、イタジマさんとの出会いは、それが本当は「一番」大事なことではないんだと、気づかせてくれたのです。

大切なものは目に見えない

出典:Pinterest

最初の質問、「どんなお店にしたいの?」に対する私の答えは、

ヨーコベイクスは、イタジマさんが、何も見えなくても、「あ、このお店雰囲気いいな。また来たいな」と思ってもらえるようなお店でいたい。

です。ビジョンとか目標とか、なんとなくはあるけれど、ぶっちゃけ、具体的に言語化も数字化もできていません。今日、生きてる一日一日、どんな人間でいたいか、どんなお店でありたいか。大事にしていることを、大事にしながら、ワクワクして楽しいと私が感じることを、ただ毎日続けること。それが、一年、二年、三年と時が経つにつれて、だんだん私のお店になっていくんだと思っています。

そんなヨーコベイクスの店舗も、2月3日に着工しました!いよいよです!オープンは、2021年3月31日!一粒万倍日と天赦日が重なる、超開運日です!

着工当日

お店のレイアウトや、厨房機器のこと、インテリアのこと、これから綴って行こうと思ってます。これからも応援、よろしくお願いします!

※イタジマさんは、漢字で書いてしまうと、音声に変換された時に読み方が変わってしまうので、カタカナで表記しています。

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