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「ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実」菜食主義のアスリートが大活躍:健康と栄養学の観点から、肉食神話が崩壊し、菜食の良さが余すところなく学べるドキュメンタリー

ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実 (2018 年 1時間25分)

一言でこの映画を纏めるなら


タイトルにも記載した通り、このドキュメンタリー映画を簡潔に私の視点から纏めるとすると

”健康と栄養学の観点から、肉食神話が崩壊し、菜食の良さが余すところなく学べるドキュメンタリー”

と言えると思います。

どんな人にオススメの映画か?

個人的には「アニマルライツ」の観点から、ヴィーガンに興味を持ち始めた私ですが、同時に「植物性ばかりで栄養は健康は大丈夫なのか?」というのは懸念事項の一つでした。

もちろん、この映画で語られている栄養学が全てではないですし、この映画では「植物性の良さに焦点が当てられ」見方によっては「肉=健康に悪いだけ」という印象にも捉えかねないので、フラットな視点が必要かと思いますが、それでも植物性中心の生活が大変健康的であること、には間違いないと確信が持てる映画かと思います。

私がこの映画を観て「こんな人に観てもらいたい?」「こんな人にオススメ」と思ったのは特にこの4点です。

①「植物性の食事を増やしたいが」栄養面や健康面で大丈夫なのか?
②スポーツをしているが、動物性を摂取なしで持久力など、不足しないか?
③「植物性」「動物性」食品がどう健康に影響するのか具体的に知りたい
④「なぜ肉=男らしさ」というイメージになっているのか?
(畜産業界や食品業界の市場戦略の裏側)

情報量が大変豊富なので、メモできる限りし、自身の勉強のためにまとめたので、目次だけでも概要がわかるので、もしご興味がある方はお読みいただけたら嬉しいです。


肉食神話はどこから来たの?

①古代のグラディエーター達が菜食主義

・そもそも実は古代のグラディエーター達が菜食主義であった

②現在の肉食神話は19世紀までさかのぼる

・現在の肉食神話は19世紀に「リービッヒ」という科学者の発表までさかのぼるが、実は科学的には間違いで筋肉を動かすのは植物由来の糖質であったことが後々わかってきた。

多くのアスリートが、肉食のタンパク質がエネルギー源と信じているが、運動のエネルギー源は糖質で筋肉にも貯蔵されるので、糖質を制限してタンパク質に偏る食事をすると、結果としては体内は慢性的な糖質不足に陥り、慢性疲労やスタミナ不足の原因になる。

③1900年代から菜食主義で結果を出すアスリート

・ただし、すでに、肉食神話が世間的には信じられていたが、経験から1900年代から菜食主義で結果を出すアスリートもいた

  1908年8キロ走 金メダリスト E・ボイト
  1920年代金メダル9個 P・ヌルミ
  1956~60 金メダル4個M・ローズ
  1976~84 金メダル2個 E・モーゼル
  1984~96 金メダル9個 C・ルイス(30歳で菜食へ、自己ベスト更新)

これらの選手がいたことからも、菜食主義がなぜ結果を出せたのかを解明していく。

現代、菜食主義で記録更新していくアスリート達

①総合格闘技であるにおける肉食論争(菜食主義がチャンピョンに)

コナー・マクレガー(当時チャンピョン)は大の肉好きでありであり一方の対戦相手のネイト・ディアスは菜食主義。

コナーは肉食神話を信じており、スタミナ持久力ともに肉なしの菜食主義は相手にならないと豪語していたが、結果、菜食主義のネイトをバカにしていたが、結果はなんと菜食主義のコナーの勝利

コナーは敗因を「スタミナ不足と毎日肉を大量に食べていたが無駄だった」と振り返っている

②その他、多くの菜食主義のアスリートが活躍している

>長距離トラック:モーガンミッチェル選手
オーストラリアで2度の優勝/2016年オーストラリアオリンピック代表

>サイクリング:D・バウシュ選手
全米優勝8回(2012年39歳でオリンピックの表彰台に立った)

>長距離マラソンの王者:スコットジュレクさん
ダントツで優勝し7連覇も果たしており勝利の原動力は菜食と確信している
3540Kmの山道のマラソンをも菜食で充分なエネルギーを確保した

>重量挙げ:K・ファリス選手
2016,2012の2度のオリンピックで米国代表(2度の米国記録を達成)

>怪力アスリートの4つの世界記録保持者:パトリックバブーミアンさん

>アメフトNFL :デリックモーガン選手

>ファイターヘビー級ボクサー:B・ジェニングス選手

など、持久力、スタミナ、瞬発力、筋力など必要な多岐に渡るスポーツの分野で活躍しているこれらのアスリート達は皆「菜食にして成果が変わった」と口を揃えて言っている。

植物性食品で十分なタンパク質は摂れるのか?

①スポーツ栄養学の最大の誤りは動物性タンパク質への過信  

実はこれは大きな大きな誤解で、牛肉に含まれるタンパク質は「牛が食べる植物に由来している」わけであって、全てのタンパク質源は植物であって、動物は単なる中継ぎでしかない。

②タンパク質の摂取量

タンパク質の摂取量を比較した研究では、菜食主義は必要量を7割超える量を摂取しており、肉食の人であっても実はタンパク質の摂取量の半分は植物由来であったという報告がある。

つまり、アスリートにとってはタンパク質は生命線なので、菜食に変えても摂取量は十分である。

③タンパク質の質

質的にはタンパク質はアミノ酸が結合したもので体内では合成されない必須アミノ酸でが重要。

多くの人は動物性の方が完全と思っているが、これは誤りで、植物にも全ての必須アミノ酸が含まれており、筋力に関しアミノ酸の消費量が適量であれば動物性か植物性かは関係ないのである。

④タンパク質による回復力

アスリート達にとって怪我はつきもので、いかに早く炎症や怪我の治癒を早めるかは重要である。

実は動物性タンパク質は、複数の炎症分子を含んでいるから炎症を引き起こす可能性があると言われている。それにより、動物性食品の摂取は消化中に腸内フローラを変質させ、その結果炎症を促進する細菌種がはびこり、炎症ミディエータTMAOを生産する。

ハンバーガー1つで血流を損ねるとともに炎症の可能性を高めるという報告があり、炎症は動脈の血流を悪化させ、筋肉や関節の痛みを増加させる。

一方、植物性食品はタンパク質源であり、ミネラルビタミンも豊富で抗酸化作用もあり、炎症を抑え、腸内環境を整える血液供給身体能力も高めてくれる。

植物性食品は抗酸化物質の宝庫で、その含有量は平均値で動物性食品の64倍と言われており、菜食に切り替えるだけで3週間の炎症の数値が29%も減少する。

菜食は腱や筋肉の血管を太くし、傷ついた組織を修復し新しい組織を生成する免疫力を高め、感染症を撃退し、あらゆるレベルで自然治癒力を高めてくれるのである。

植物性と動物性食品の摂取後の血液の違い

①食事と血管内皮機能の相関関係

内皮は薄い皮の細胞の総血流を調整しており、筋肉や臓器の必要な血流量に応じて拡張するが細胞が弱まると血管が拡張せず充分な血流量が流れずパフォーマンスが出せないことがわかっている

実験:植物性と動物性食品摂取後の血液の違いは?
男性A:初日と2日目(植物性(豆)を摂取してもらう)
男性BとC:初日=動物性(鶏と牛)、2日目植物性を摂取してもらう

結果:血液の濁りが違う
男性A:2日とも血液内の濁りがない
男性BとC:初日と2日目で大きな差があった。つまり初日の血液(動物性食材の摂取)の方が濁って脂肪があり、2日目の後の血液の方が濁りが少なかったことが明らかになった

動物性食品摂取と疾患発症リスクの関係

①動物性食品と冠動脈疾患や心臓病疾患との相関性

動物性食品を食べ続けると、動脈にプラークを形成し血流を妨げてしまうため、体を維持するために当然心臓に負担がかかり、心臓疾患のリスクが上がると言われている。

毎日1mgのヘム鉄の摂取で冠動脈疾患のリスクが27%高まると報告がある(ハンバーガーにはヘム鉄が2−3mg含まれている)。

ここでも動物性タンパク質も問題となっており、動物性タンパク質は摂取した時点で体内の化学変化が起きるのだが、動物性タンパク質は加熱したり保存されたり町内で消化されると炎症化合物が生成されるので、菜食主義は肉食の人と比べ55%も心臓病疾患のリスクが低いと言われている。

②動物性食品と癌発症の相関性

また動物性の高タンパク質な食事をする人は早死にする確率が75%も高く、がんや糖尿病での死亡率も4−5倍高くなる。

動物性食品とがんとの関連性はは米国国立がん研究所も明らかにしており、乳製品由来のタンパク質を過剰に摂取すると前立腺癌のリスクが高まるとも菜食主義者が週に1度肉や魚を食べると結腸癌のリスクは3倍以上に言われている。

人間の祖先は肉食って何故言われてきたの?

①20世紀前半の考古学者の偏見

実は、肉食説は20世紀前半に盛んに言われ始めた。

確かに栄養学は現代ずっと進化しているが、昔のイメージのままであるのが現状である。これは、遺跡から道具と動物の骨ばかりに注目した考古学者の偏見が事実を曲げた事実がある。

骨や道具の保存状態に比べ、植物はすぐ腐敗するため、当時の研究材料として残っていなかったことが理由としてあげられる。

しかし、テクノロジーの進化のおかげで、古代人の骨や歯を研究すると菜食に近かったことがわかってきた。微細な植物の化石も保存されている旧石器時代には様々な植物があった。

②遺伝子・身体的にも人間は肉食に適していない(腸・視力・歯の構造)

>腸の構造
人間の腸は、植物の消化吸収に適応した構造である。どういうことかというと、肉食動物に比べ消化管が長いので、植物を消化できる構造になっているのである。人間はビタミンCを自分で生成でず、ビタミンCは植物に含まれており、人間が植物を必要とする所以はそこにもある。

>視力の構造
人間は三色視で色を見ることができるが、肉食動物は二色視力で、実はこれは新鮮な果物を見つけるには色が見えるのが大事なために三色視であったと言える。

>歯の構造
肉食動物の歯の形はハサミのような歯の形で肉を細かく裂くためにあるが、人間の歯は尖っておらず、構造的にもすりつぶせるよう植物繊維向機である。つまり人間の歯は肉食のためではなく、我々の歯の形も肉食でないことを物語っている。

③本来B12(栄養素)も野菜についた微量の土や川の自ら摂取していた

栄養素の観点で言えば、B12は動物性食品にしか含まれていないと言われているが、実際は土の中のバクテリアが作っており、動物は仲介するだけなのである。

昔は、動物も人間も野菜についた微量の土や川の自ら摂取していたが、人間が殺虫剤や抗生物質がバクテリアを殺してしまい、今は家畜もサプりが必要な時代となってしまった。B12はサプリで摂ればよく、肉食か菜食かは関係ない。

「男と肉」はマーケティングによるイメージ操作


あの俳優のアーノルドシュワルツェネッガーも現在は菜食主義であったが、肉を食べていた時は、沢山のハンバーガーや肉のコマーシャルに出演していたし、そんなイメージの広告がそこらじゅうあり、それこそ男らしさ(持久力や強さ)の象徴と思っていたと語っている。

ただ、実は、肉を食べれば食べるほど男らしさを失うことがわかってきている。

①菜食の方が男性器の働きも良い兆候

実験:植物性と動物性食品摂取後の男性器の働きの違いは?
3人の男性対象に、肉とソイミートの食事で就寝中の勃起の状態を測定

結果:菜食の方が回数と持久力硬さが肉食の時より全て上回っていた
(5倍も違っており、科学的には証明されていないが興味深い実験結果)

②テストステロン(男性ホルモン)エストロゲン(女性ホルモン)

大豆食品はエストロゲンの宝庫なので、菜食になると男性ホルモンが減少するのでは?という懸念があるが、実はこの植物性のエストロゲンは、乳製品由来のエストロゲンの過剰な生成を防いでいる働きがある

実は、逆にエストロゲンは鶏肉、卵、牛乳に含まれており、ホルモンレベルに大きく影響して、コップ1杯の牛乳で、エストロゲンが1時間で26%も上がりテストロゲンが18%も減ると報告されている。

③コルチゾール減少や体脂肪減少にも貢献

また食事を動物性から炭水化物中心に変えるとコルチゾールレベルが27%減少することもわかっており、ビーガンは糖質を摂りすぎると言われるが
バナナやサツマイモのような自然な糖質が体脂肪の減少に関係しており、体を絞りたい男性にもぴったりの食事である。

④食品業界のマーケティング(タバコも昔は健康に良いとされていた)

そもそも、どうして、「肉=男らしい、運動に向いている」というイメージを我々は持っているのか?

実は、昔はタバコも健康に良いと広告されており、あの有名な野球選手のベイブルースもタバコの広告塔になって、タバコが拡散されていたし、スポーツのスポンサーには多くのタバコ会社がついていた時代がある。

タバコと癌の相関関係が発表されていても、タバコ業界は長い間、この銘柄は体にはいい or 悪くないなど、うまくごまかし続け、やっとなくなってきたのが近年だが、今度はその代わりに「肉=力強い」という広告に変わっている

いまだに、肉はがんとの関係はないと宣伝しており、科学的な根拠はあるが、食品業界は表立った反応をせず学説を否定している状態で、これ昔、タバコと癌が関係がないと言われ続けた昔と同じなのである。

環境破壊と畜産業界

①世界の農地の4分の3は、「家畜の生産」に使われている

生物多様性には莫大な費用がいるが、彼らの生息地を破壊する唯一の最大の原因は畜産部門である。

肉・乳製品・卵・養魚は、世界の農地の83%を占めているが、たった18%しか得られるカロリーはない

家畜に農地が必要な理由は、家畜は単なる仲介者であり、生成するタンパク質の6倍を必要とする。

毎年700億以上の家畜が消費され、飼料に広大な農地が使われているのが現状。

②水問題(ハンバーガー1つの牛を育てるために、2400Lの水を使用)

畜産業は、森林破壊の主な原因の一つで大量の水も使われている。実は淡水を過度に使っているのは家畜で、家畜の飼料を育てるために使用されているため、世界の川のの25%は海まで流れていない。つまり、牛に与えられる穀物に水が供給されるのである。

わかりやすい例でいうと、たったハンバーガー1つの牛を育てるために、2400リットルの水が使用されているのである。

動物性食品に使う水は人類の消費量の1/4以上で水の問題は枯渇のみではな水質汚染もある。

アメリカでは、年に家畜は、全人口の廃棄物の50倍以上の廃棄物を輩出しており、全米の川湖地下水を汚染している。

そもそも、世界の人為的排出量の15%は畜産部門に責任がある。
(大局的な視点から言えば、飛行機・列車・自動車・船など全世界の全輸送形態の排出量を合計したくらいの量に匹敵する)

③肉食を減らし菜食を増やすだけで、公衆衛生的・環境にも絶大な効果

肉消費量が世界平均の3倍のアメリカで、もし動物主体の食事を転換するだけで排出量を最大73%削減することができ、1人当たり年に水100万リットル節約可能となると言われている。

その結果、アフリカ大の土地が潤い絶滅寸前の生態系や生物の負担を減らすことができ、野菜を多く摂り、肉と乳製品を少なくするだけで、これだけ公衆衛生的にも環境にも絶大に効果がある。

全部かゼロではない

今から肉食をやめて菜食になるのは無理と決めつける人も多いが、一気には無理な話であり、全部かゼロではない。

説明をすれば変わるはずだし、「週に1度でいい肉から離れるだけでも大きく変わる。

50年前はタンパク質を野菜からとるなんてだれも信じなかったが、今は菜食主義で結果を出しているアスリートもたくさんいる。

誰もが健康で良い体を作りたいと思っているはずで、適切な栄養が必要。遺伝子が全てではない。家族が同じ病気で亡くなっても、食事を変えれば変えられるし、正しい知識で武装し以前より多くの命が救える

適切な栄養のためにも、環境のためにも、動物のためにも菜食は素晴らしいものである。

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