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【調べ物】ラストワンマイル(解決編③:その他)

 はい、今日はラストワンマイルの「解決編③:その他」という事で、①物流分野②限界集落(公共インフラ)以外の分野からラストワンマイルの対策を見ていきたいと思います。事例編で挙げた例の中で「その他」に入ったのは、「血管・組織」の2つですが、調べていくうちに「樹木」も入りそうだなと思ったので「樹木・血管・組織」の3本建てで行きたいと思います。

■ それぞれのラストワンマイル問題

 解決する前に、そもそも「樹木・血管・組織」におけるラストワンマイル問題ってなんやねん、という事を改めて決めましょう。もともとラストワンマイルを調べた目的が「伝えたい情報を個人レベルに出し分けて確実に伝えるのって難しくないか」という問題意識だったので、どうやって末端組織まで必要なものを伝達しているかという仕組みが一番気になる部分です。そこで、あえて定義するなら、調べたい対象は以下のようになります。

(1)樹木 … 根から蓄えた養分を葉の先まで伝達する仕組み
(2)血管 … 冷え性(毛細血管に血流が行き届かない)の原因と対策
(3)組織 … 意思伝達・理念共有が行き渡る組織の作り方

では、それぞれ見ていきましょう。

■ 樹木のラストワンマイル

 まずは「樹木」です。樹木は根を使って周りの土から水を取り入れ、その水を茎を通して葉まで運び、葉の光合成で作られた養分を循環させる仕組みを持っています。水の通り道を導管、養分の通り道を師管といい、導管と師管のペアを維管束といいます。中学か高校の理科で出てきましたね。

 ちょっと樹木を調べて気になったのが、「根から取り入れた水を、上昇させて末端の葉まで運ぶ」という点です。普通水は高いところから低いところに流れるのですが、その逆の流れで供給するにもかかわらず末端の葉まで届けているのが凄い供給ネットワークだなと思いました。

 なぜこういうことができるかと言えば、光合成で養分を作り出す葉の部分を主役に考えた時に、日が差し込むと自動的に葉の部分で光合成や蒸散が行われ、水が足りなくなるんですね。そしてそのアンバランスを埋めるために吸い上げられるような形で水が供給されていく仕組みなのだと思います。(確定的な文献は無かったので間違っているかもしれません。)

 末端の部分が重力とは反対の上側にある場合でも確実に水分が届けられている。その仕組みを、幹の部分からの押し出しではなく末端部分からの吸い上げであると考えると納得がいったので、ラストワンマイルを考える時に中央からの押し出しではなく末端からの吸い上げの方が確実に行き渡りそうだなぁと思いました。

■ 血液のラストワンマイル

 人間の血液の流れも樹木の流れと似ています。導管・師管は動脈・静脈に対応し、光合成を行う葉の部分は身体の各組織と捉えると同じような構成をしていると考えられます。違いは心臓というポンプを持っている点で、血液を押し出す効果が働いていることかなと思います。

 心臓から送られた酸素たっぷりの血液は、大動脈と各種動脈を通り組織付近まで到達し、毛細血管の中をゆっくり移動しながら組織との酸素や栄養のやり取りを行い、酸素を十分に使い切った血液が静脈を通って心臓へ帰るようなサイクルになっているようです。

 「冷え性」は手足などが冷えて末端まで十分に血液が回らなくなる現象で、男性よりも女性に多いそうです(男性は1割程度、女性は半数~7割程度が冷え性に悩まされているようです)。原因は以下のようなものだそうです。

・自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れ
・女性の方が筋肉量が少ない
・女性の方が皮膚表面温度が低い
・貧血の人の割合が多い

 手足の末端まで血流が行かないのには、血液を送れと指示している自律神経が乱れる送り側の原因、手足が冷えて血管が収縮して通りにくくなる通り道の原因があるようです。

 そのため冷え性の対策としては、以下のような対策が有効のようです。意外と夏場の冷房で冷えたりするので、冬場だけではなく夏場も気を付ける必要があるようです。

・運動をする(熱を発する筋肉量を増やす)
・手足を温める(末端箇所を冷やさない)
・冷たいものを飲まない(体温を下げない)
・服装などで寒暖差をやわらげる(自律神経を安定させる)

■ 組織のラストワンマイル

 長年過ごしてきた夫婦だと何も言わなくても「あうんの呼吸」で息が合うかもしれませんが、会社のように他人が集まり、その人数が多くなってくると「あうんの呼吸」が通用しなくなってきます。大企業になると数万人の従業員を抱えることもあり、組織の一人一人への意思伝達は非常に大変な課題だと思います。

 こちらのブログ「組織のざっくりとした3タイプ。軍隊、都市、植物。」が非常に参考になりました。このブログによれば、企業の組織構造はざっくりと3タイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるようです。

 ヒエラルキー構造の「軍隊」は日本企業ではおなじみの組織タイプで、中央集権で計画を達成することには向いているようです。しかし階層構造になっているため、現場が直接判断して動くような自主性が失われてしまい、冷え性に似た症状を引き起こしてしまうリスクがあります。

 「都市」タイプは米国の企業でこの形が多い印象です。中央の機関はありますが、その下で各部署がフラットに配置されていて、それぞれの部署の自由度は上がります。ただし全社まとめて「○○を目指す」という体制には向いていないそうです。「キャリアもノンキャリアも関係なく、それぞれが現場の判断で正しいと思う方向に動いてくれ。報告はその後で良い。全責任は私がとる。」という映画・踊る大捜査線の室井管理官のカッコいい発言が思い出されます。

 「植物」タイプはそもそも中央を置かないという発想のようです。各チームや個人が自律・分散型で行動を行い、各所にコネクションを繋げる方法のようです。国や業種、企業規模等を超えて、企業間や部門間、個人間などで築くことが可能で、インターネットにはこの発想があっていそうです。

■ まとめ

 樹木・血管・組織の3つの分野のラストワンマイル問題の解消案を見てきましたが、前回・前々回と合わせて何とな~くですがぼやっとポイントが見えてきた気がします。次回は「学び編」ということで、解決編①②③を抽象化して、共通点などをまとめ、ラストワンマイル問題を閉めたいと思います。

【参考資料】


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