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鶴見のまちと多文化共生

横浜市の中でも、鶴見区は在住外国人の人数が多いことで知られています。明治時代、鶴見区は臨海工業都市としての立地に恵まれていることを理由に埋め立てが始まり、以降京浜工業地帯の中核として発展しました。そこで働くために朝鮮半島や沖縄から移り住んだ人、その後沖縄の親戚を頼り南米から来日した人と多くの人々が鶴見区に集まりました。多くの外国人のみなさんが鶴見区に住むようになり、多文化を色濃く映し出すまちとなった背景にはこのようなさまざまな要因と人々の物語が見えてきます。 
 「多文化共生のまち鶴見」と鶴見国際交流ラウンジの活動について、鶴見国際交流ラウンジ館長の小林と鶴見区マスコットのワッくんが一緒にご案内します!


鶴見国際交流ラウンジ館長の小林です。ワッくんと一緒にご案内します。

在住外国人が増える鶴見の魅力

今年、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の物語の舞台となり、大きな注目を集めたまち、“鶴見”。人々が行き交う賑やかな鶴見駅前から東へ10分ほど歩くと、鶴見川に辿り着きます。東京湾に流れ込む大きな川に沿って続く緑道には、散歩や釣りを楽しむ人がちらほら……。ここ鶴見区の人口は約30万人で、そのうち外国人は2022年10月末現在で13,889人。この数は横浜市の中でも中区に次いで2番目です。多い国は、上から順に中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル、ネパール、ペルー。この5年間で1,769人増え、全体としては1.15倍増加しました。特にベトナムがこの5年間で715人増え1.89倍に急増しています。その背景には、京浜工業地帯の近隣に位置し、都内へもアクセスしやすいため通勤に便利なこと、また物価が比較的リーズナブルで、住みやすいといった点があると考えられています。

鶴見川にかかる潮鶴橋から川下を臨む。潮鶴橋を渡った先にある潮風大通りをしばらく歩くと、沖縄や南米につながるお店が点在する潮田エリアの入口に到着します。
更に先に進むと工業地帯にたどり着きます。
工場地帯では仕事に従事する外国人のみなさんの姿も見かけます。

鶴見には沖縄や外国につながるお店がたくさん!

こうした国際色豊かな鶴見区の中でも、外国人が多く暮らしているのが鶴見駅からバスで10分ほどの潮田エリア。通りを歩くとブラジルやペルー、ボリビア、インド・ネパールのレストランが所々に立ち並んでいます。ここでは、南米からの日系の多くの人たちが沖縄につながりがあり、南米料理と沖縄料理を同時に楽しめる店が多いのも頷けます。今年4月には、新たにブラジルの輸入食材のスーパーもオープンしました。更にこの地域の小学校では約150人もの外国につながる児童が学び、国際教室ではさまざまな言語が飛び交っています。また毎年、沖縄の食と文化をテーマとした「鶴見ウチナー祭」も開催されています。

2022年11月に開催された「ウチナー祭」ポスター。
沖縄につながるの方々の活動も活発で、鶴見での沖縄文化継承にも力を入れています。
鶴見区潮田周辺では沖縄、中国、インド、ネパール、ブラジル、ペルー、ボリビアなどさまざまなお店を見かけることができます。
沖縄やそれぞれの国の雰囲気を感じることができ、歩いているだけでも楽しいですよ!


「だれもが安心して豊かに生活できるまち」を目指す鶴見国際交流ラウンジ

鶴見国際交流ラウンジはこうした沖縄、南米のほか、アジアの様々な国々の文化が息づく地域の中にあって、「多文化共生のまちづくり」を軸としたさまざまな事業を行っています。現在、最も力を入れて取り組んでいるのが、子育てをテーマとした共生の地域づくりです。具体的にはWebサイト「外国人のための子育てつながりマップ」の制作を、来年3月の完成を目指して進めています。地域の公共施設、子育て拠点のほか、小中学校、レストランなどの情報を盛り込む予定です。このマップづくりは、単に場所を伝えるだけが目的ではありません。子育てを通して外国人親子が日本人親子と、また地域とつながることが一番の目的です。各施設を点に例えたら、点と点がつながって線となり、地域に多文化共生のネットワークが構築されていくことが大事だと考えています。そのため、私たちは各施設のスタッフの方々へ外国人親子の受け入れとともに、多文化共生への理解を深めてもらえるように掲載の依頼をしています。施設紹介のページは、外国人親子が読みやすいように、やさしい日本語、ポルトガル語、スペイン語で情報を発信し、来年度以降、さらに掲載エリアを拡大していく予定です。


現在重点を置いている「子育てをテーマとした共生の地域づくり」では、
ラウンジだけではなく、区役所や地域の団体、支援者と協力して事業を展開しています。

他には、地域の子育てサロンに出向いて、外国人親子が日本語と出会うイベントも開催しています。この取り組みを実施していく中で、「孤立しがちな外国人ママをサポートし、一緒に外国人の子どもたちも育てていこうとする意識」が地域のキーパーソンに芽生え始めています。このように多文化共生に共感する人材が増えていくことに私たちも大きな意義を感じています。 
 これからも外国人親子と日本人親子が交流し、草の根レベルでつながっていけるように、さまざまな事業に取り組んでいきたいと考えています。毎月、月末土曜日には鶴見銀座商店街のイベント「つるぎんどっと来~い‼」にラウンジのブースを出展し、外国の文化に触れてもらう企画を実施しています。

地域で外国人親子のみなさんと一緒に遊びながら日本語を学ぶ企画を実施しました。
地域へ出向いていくことも大切にしています。


「つるぎんどっと来~い‼」での出展の様子。外国語で数字を言い当ててもらいました。

他にもこのような事業を展開

相談 生活などの相談を多言語で対応しています。行政窓口等への通訳派遣の相談もできます。

国際理解 交流イベントを通じ、在住外国人のみなさんや海外の文化等を知る機会を提供しています。

おしゃべり会 外国人のみなさんが気軽に日本語でおしゃべりできる会です。参加したみなさんが知り合い、つながることも大切にしています。

日本語教室 在住外国人のみなさんを対象とした各種日本語教室を開催しています。ボランティア向けの講座も開催しています。

日本文化紹介 在住外国人のみなさんが日本の文化を知り、一緒に楽しむイベントを開催しています。浴衣や着物の着付などがあります。

学習支援 ボランティアグループによる外国につながる子どもたちを対象をした学習支援教室が開催されています。

鶴見国際交流ラウンジ 

〒230-0051 横浜市鶴見区鶴見中央1-31-2 シークレイン2階
Tel.045-511-5311 Fax.045-511-5312
E-mail mail.tsurumilounge@yoke.or.jp
JR京浜東北線「鶴見駅」東口より徒歩2分
京浜急行線「京急鶴見駅」より徒歩2分

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