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悲しみや痛みを知ってこそ。

今日の午前中、退職の最終手続きを終えてきた。
皆さん優しく丁寧にお迎えしてくれ、お陰様で無事スムーズに手続きを終えることができた。

帰ってきた瞬間、どっと疲れが。
たぶん気疲れだろう。

「ご迷惑おかけしました」「すみません」「お世話になりました」「申し訳ありません」「色々とありがとうございました」そんな言葉たちと共に久々ペコペコしてたら疲れちゃった。

帰ってハーブティーを飲みながらぼーっとして、昼食後たっぷりと午睡をとる。


たとえば、お風呂。
たとえば、歯磨き。

人生の中で、毎日継続することは数多くある。

たとえば、ソファに腰掛ける。
たとえば、お洋服を着替える。

人生の中で、毎日似通った行動をすることも多々ある。

だけど、全く持って何もかもが同じという日はない。人生の面白いところ。
その面白さは、同時に幸せに満ちた日と悲しみに打ちひしがれる日をも兼ね備えてやってくる。

今日の半日は、人生で二度も三度も経験するような日ではなかった。
慣れていないから、とにかく気疲れして、頭がキーーンとなって、短時間にも関わらず身も心も疲弊してしまった。

でも。

悪いことばかりじゃなかった。

実は、凄くありがたい言葉をいただいた。

私がよく相談させてもらっていたトップのお偉い方。T氏。
研修の後には自身の経験談を元に身のある話ばかりを私にしてくれ、いつも親身にアドバイスしてくださった方だった。私の退職の手続きも迅速に行なってくれたからこそ、私は無事に転職することができている。仕舞いには、転職そのものをお祝いまでしてくださり、感謝の気持ちでいっぱいになる。

T氏の第一声は、私の体調を心配するもの。
体はもちろん、必ず「気持ちのほうは」と聞いてくれるのが常。
研修時代が懐かしくなる。

「お陰様で」という日本語は誠にありがたい枕詞で、今日ほど多用したのはきっと人生で初めて。安定してきた体と心のうちを伝え、「よかった」と安堵の一言をもらう。

それからこんな話を。

悲しみや痛みを知らない人生は、不幸だ。
あなたが体験した悲しみや苦しみは、必ずやあなたの人生の糧になる。

今後、この1年間のことを思い出す日が来るかもしれない。
忘れようと思っても、忘れられないことはある。
けれども、1年後、2年後、5年後、10年後、と思い出した時の痛みの重みは自然と軽くなっていくもの。だから安心しなさい。
悲しみや痛みを知る人間は、人の悲しみや痛みに寄り添ってあげることができる。どの現場でも活きてくること。自信を持って、新しい道へと進みなさい。

T氏の言葉。

最後の研修を受けた気分だった。
T氏は私に様々なことを話してくれた。
今までの話が走馬灯のように頭を駆け巡る。

そうか、無駄なことなんて何一つなかったのか。
苦しんだ分だけ、自分の力になってくれるのか。

懐かしさに切なさや、やるせない想いがぐるぐると目まぐるしく脳内を支配していたけれど、T氏の言葉で救われた気がした。行って嬉しい場所ではなかったけど、行ってよかったと思えた。


T氏の言葉を胸に抱くようにしながら職場を後にし、私は新たな世界へと確実に一歩を踏み出した。

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