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あの日、私たちは、こたつ布団を洗濯した。 干す場所もないのに。 あの頃の私たちは、…
洗剤や柔軟剤の香りに包まれて、私たちの心は、ふわふわと、まるでシャボン玉みたいだった。…
カツサンドの横についているパセリは、サラダなのか。それとも飾りなのか。 そんな話題で…
何事も、はじめてしまったからには、かたをつけなければならない。 「ならば、お金でかたを…
タケトが軽自動車に乗ってやってきた。 優秀なタケトは、こたつ布団が入る大きなビニール…
泡の隠蔽には成功した。 しかし、びしょ濡れのこたつ布団から水分を絞りだすのに、おおい…
私たちは、こたつ布団を洗濯した。 干す場所もないのに。 あの日のことを思い出すと、たまらない気持ちになる。 どうにも切なく、心が乱れてしまった。 なかなか続きを書き出せなかったのだ。 うつりゆく草木の様子を眺めたりしながら気持ちを逃避させていた。 やっと落ち着きを取り戻してきたので、もう一度、こたつ布団を洗った日のことを思い出してみようと思う。 (つづく) 「シャボン玉」は「金魚」「ティーソーダ」「ハムスター」「布団」のつづきのおはなしです。
両目をあけたまま、じゃぶじゃぶと顔をすすいだ。 すすぐべきものは他にもある。 泡だ…
鏡の前に立ち、しっかりと正面から自分を見た。 額の汗で眉毛がぐっしょり濡れている。 …
浴槽と便器の間に小さな洗面台がある。 そこにある鏡を見上げると、意外なことに鏡面は曇…
洗えてはいると思う。 どこもかしこも泡だらけなのだから。 洗剤は、よく泡立っている。…
左足で布団をしっかりと押さえる。 この左足を軸に体を支え、右足をピッと右に伸ばす。 …
洗濯機が洗濯を拒否したからといって、水に濡れ、粉洗剤にまみれたこたつ布団をそのままにし…
こたつ布団が洗濯機に収まった時点で、こういった事態を予測すべきだった。 洗濯槽は、こたつ布団で、いっぱいだった。 他のものが入り込む隙間なんてなかった。 その上に粉洗剤をふりかけ、ふたをし、スイッチを入れたのだ。 自動で注ぎ込まれる水は、ほとんどすべてが外へあふれ出し、まわりだした洗濯機は、ものすごい轟音を立てて、右へ左へ、ずり動き、のたうちまわり、熱くなったアイロンみたいなニオイをさせながら、最後にひとつ、がったん、と大きく頷いて、停止した。 「ダメだね」