布団 9
洗えてはいると思う。
どこもかしこも泡だらけなのだから。
洗剤は、よく泡立っている。
綿の隙間にまで行き渡っているはず。
問題は、すすぎなのだ。
水をかけ、足で踏み、しぼり出す。
裏返し、また水をかけ、しぼり出す。
くり返しているのだけれど、しぼり出される水が澄んでくる様子は一向にない。
この作業をはじめてから、どれだけ時間が経過したのか。
お湯は一切使用していない。
それなのに、浴室の空気が白く霞んでいる。
まるで入浴中みたい。
私の体から湯気がふきだしているのだろうか。
(つづく)
「布団」は「金魚」「ティーソーダ」「ハムスター」のつづきのおはなしです。
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