シャボン玉 2
泡の隠蔽には成功した。
しかし、びしょ濡れのこたつ布団から水分を絞りだすのに、おおいに苦戦している。
少しでも水気を減らそうと、踏んでみたり絞ってみたり。
端から握って、ひねってみても、はっきりいって、屁の突っ張りにもならない。
脱水したい。
脱水だけなら洗濯機でもできるだろうか。
浴室の扉を開ければ、脱衣所があり、そこに洗濯機はある。
ぐっしょりと濡れたこたつ布団からどれだけの水がしたたり落ちてしまうのか。
想像すると恐ろしくなる。
脱衣所の床は水浸しになってしまうだろう。
ユニットバスで、ひとり、途方に暮れた。
私自身も汗だくで、びしょ濡れ。
結局、橘に見られてしまった。
「うひゃあ、びちゃびちゃ」
浴室の扉を開けるなりそういうと、乾かす場所がないじゃんと大笑いしながら、橘は電話でタケトを呼び出した。
(つづく)
「シャボン玉」は「金魚」「ティーソーダ」「ハムスター」「布団」のつづきのおはなしです。
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