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シャボン玉 6

 洗剤や柔軟剤の香りに包まれて、私たちの心は、ふわふわと、まるでシャボン玉みたいだった。
 つまらないことでも、ケラケラと笑えて、サクランボが赤いということさえ、私はすっかり忘れてしまっていた。
 異様なほどの盛り上がりに浮かされて、この楽しさを継続させたい、もう一度体験したいと、そればかりを期待した。

 期待していたのは、きっと、私だけではなかったはず。

 洗えなかった方のこたつ布団を、また明日、必ず持ってこようと、張り切って橘が宣言した。


 もう一方のこたつ布団を洗う日は、結局、やってこなかった。


 シャボン玉みたいな、儚い約束だった。


(つづく)


「シャボン玉」は「金魚」「ティーソーダ」「ハムスター」「布団」のつづきのおはなしです。


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