布団 11
鏡の前に立ち、しっかりと正面から自分を見た。
額の汗で眉毛がぐっしょり濡れている。
睫毛も濡れて、充血した白目は真っ赤。
霞んでいるのは私の目だった。
汗が目に流れ込んでいるのだ。
そのことに気づくと、途端に目が痛くなってくる。
汗が目にしみる。
だけど、自分自身の凄まじい顔面から目を離すことができない。
鼻の頭、唇の上。ぷつぷつとした汗の玉がびっしりと並んでいる。
なんて酷い顔をしているのだ。
見られたくない。
誰かに見られる前に、顔を洗おう。
(つづく)
「布団」は「金魚」「ティーソーダ」「ハムスター」のつづきのおはなしです。
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